507話 狐人たち
狐人族の村では小人たちが走り回っている。
遊びで走っている訳ではなく、仕事が忙しいために駆けているだけであった。
その光景を村人(狐人)達はにこやかな表情で眺めている。
狐人にとって小人族など召使程度と思っているのだ。
小人「早くしてくれー。」
小人2「この書類は、大丈夫だよ。」
小人3「これはダメだね、元の部署に戻して。」
狐人族の事務仕事の全てを請け負う形で契約をした小人たちは優秀であり、狐人族の滞っていた書類などは解消されていった。
狐人族の幹部たちは、最下層の者たちの価値を今きちんと認識してしまった。
族長「小人たちに費用がバカ高い。このままでは狐人族は、酒も買えなくなるぞ。」
重鎮「拙いな。どうするのだ。」
重鎮2「最下層の者達を呼び戻そう。」
族長「出来ん。それに今さら戻らんだろう。狐人にとって最下層は、狐人族ではないのだ。」
重鎮3「そうだな、迫害した我らの所に誰が好き好んで戻るかだな。」
族長「狐人の意識が変わらなければ、同じことの繰り返しなのだ。」
重鎮3「意識改革か無理だな。」
族長「ああ無理だろうな。儂ですら納得できない部分が多いのだ。」
重鎮「ならばどうするのだ。このままでは狐人は小人の僕になるぞ。」
族長「うっ」
狐人族に入り込んだ、小人族の者達は、事務仕事の請負から内政の采配迄行っていた。もう小人族が居なければ狐人族の村は回らない状態となっていた。何しろ狐人の事務方が全く仕事が出来ないからであった。それでも族長から事務をキチンと覚えろとお達しが出ている為に必死になっているが、如何せん能力が足りない者たちの集まりであり、ににんがし、にさんがろくとまずは九九の暗記から始まめている状態であった。プラス足し算と引き算の勉強も行っている。
ギルバートの町
アル「どうだ調子は」
アルは、狐人たちをギルバートの町に住まわせている。この町は今や都市と言っていいほどに栄えている。そして事務方が大量に不足している状態であった。
アルとアリは、狐人たちと交渉して高額報酬で雇う事となったのだ。高額報酬だけではなく狐人自体を鍛える事も行っている。
狐人たちはまさか自分たちの戦闘能力が上がるとは思ってもいなかった。
剣や槍も使う事が出来るようになり、そして魔法で遠距離攻撃も出来るようになってしまった。
狐人1「アル様、ありがとうございます。これで・・・」
アル「復習したいか。」
狐人1「・・・・」
アル「望むのであればその機会はやるぞ。」
狐人1「えっ、」
アル「狐人の村では、かなり酷い事をされたと聞いている。普通に復讐したいと思うのは当然だ。それを止める事はできない。」
狐人1「したい。復讐をしたいけど、今の生活も続けたい・・・・・」
アル「そうだろう。好きな方を選べといいたいが、両方やれるようにしてやる。まぁ復讐とは少し違うが虐めていた狐人たちがギャフンと言わせてやる。」
狐人1「ギャフンですか、いいですね。本当にギャフン、ギャフンと言ってくれたら少しはスッキリします。」
この一言でアルは、ギャフンと言わせるように画策していく。
小人「はぁー?ギャフンですか??」
アル「そうだ。」
小人「負けたからってギャフンなんて言いませんよ普通は、只の言葉ですから。」
アル「まぁ、そういうなよ。やられたからってギャフンギャフンなんて言うやつは見た事無いのは事実だ。まぁキャンと鳴く犬が近いだろうがな。」
小人「本当に狐人たちに負けたらギャフンと言わすのですか。」
アル「そうだ、ギャフンギャフンと勝者の周りを3周させる。」
小人「悪趣味って言われますよ。」
狐人族の経済は破綻一歩手前であった。そこに小人族から天の助けのような提案がなされていた。
それは狐人にとってかなり都合の良い提案となっていた。
小人たちは、事務仕事の報酬が支払えない事は分かっていた。もう金と物がなくなっている状態をきちんと把握していたからだ。
小人たちは狐人たちに高額報酬を約束して闘技場で試合を行う事を提案していた。
それも相手は最下層の者たちとであった。
族長「本当にこの条件でいいのか。」
小人「いいですよ。試合で勝ったならば、勝者には商品として酒大樽二つを約束します。ですがもし負けたならば相手の周りをギャフンギャフンと言いながら3周ですよ。」
族長「ガハハハハハ、全く問題ない。」
重鎮「いいぞいいぞ。やろうやろう。アハハハハハハ。」
族長と重鎮達は大乗り気であった。族長たちは他の幹部たちにも話をしていくが誰も反対する者は居なかった。
誰が相手か分からない状態であれば、もう少し躊躇する者は出てだろうが、相手が狐人の最下層の者たちであれば話が違ってくる。
狐人にとって最下層の者達は、狐人族の恥さらしであり勝って当然の相手で会った。
狐人たちは、試合に出場するために必死であった。必ず勝てる相手との試合であり、商品目当てであった。
そして力のある者たちが試合の独占をしていく。
重鎮「族長も参加するのか。」
族長「当たり前だろう。儂は3試合はするぞ。」
重鎮「それはダメだろう。族長は1試合だけだ。他にやる事があるだろう。」
狐人にとって、必ず勝てる試合に見えていた。
最下層とその一歩手前の者達、総勢240人が一人2試合となった。最初は1試合であったが、狐人たちの強い要望で480試合行われる事となった。闘技場で行う事で他種族も観戦することなった。
これは小人たちが費用費用と騒ぎ費用捻出のための措置であった。
族長「まぁいいわい。儂の勇士も見せられるからな。ガハハハハハ。」
狐人たちの浮かれようはまさに滑稽でしかなかった。
最下層の者達が何故試合を行うのか、何故自分達が勝てると確信できるのか、何故、何故と少しでも疑問に思えたならば、罠でる事に気付けたはずだ。
狐人にとって最下層の者達が強くなるとは欠片も思っていなかった。
狐人事務屋「試合に勝ってあいつらに仕事をさせてやる。俺様が使い潰してやる。くくくまってろ。」
狐人事務屋2「おっ九九覚えたのか、俺は5の段まで覚えたぞ。」
狐人事務屋「くくくは、笑っていたんだ。九九の練習じゃない。フン。」
狐人事務屋2「まぁそう怒るな、アハハハハ試合権を買ったんだろう。」ニヤリ
狐人事務屋「当たり前だ。憂さ晴らしあいつらを徹底的に殴ってやる。」




