501話 一発芸
霊人族、虎人族、獅子人族、熊人族、狐人族の5種族が交易同盟を結んだことでかなり広域な縄張りが(領地)が争いの無い地域となった。このニュースは周りの種族にも伝わり、各種族は自分たちの縄張りに攻め込んでくると大きな勘違いをしている。実際には勘違いではないのだが、5種族は直ぐに他種族に攻め入る事は無い。
それはアルと小人の交易が大きく影響している。
小人たちは、ワイバーンによって交易を行なう。西の者達もワイバーンは脅威の象徴のような物でそれを操る小人たちは一目置かれる立場であった。
西に住む小人族は、中央の小人族と連絡を取り合い、自分達もワイバーン乗りとなる事を願っている。
小人たちは交易路拡大の為に西の小人たちを使う事は決定している。
戦闘民族の4種族は、酒がいつ届くのかと見張りを出して待ち構えている。
虎人族長「まだか。」
虎人「10分前も聞きました。もう少し落ち着きましょう。約束は今日中に届くというものです。まだ午前中ですよ。」
虎人族長「分かっている。だが好きなだけ飲めるのだぞ。酒を浴びるほどのめる事等無かったのだ。期待してしまうだろう。」
虎人「まぁお気持ちは分かりますが・・。」
虎人族長が、又30分後にまだかとまだかと騒ぎ出す。その行為は、小人の行商が到着する午後3時まで続いたが、赤いワイバーンが見えると皆歓声を持って迎えられていた。
小人の行商ももう慣れたもので、初めての行商の場合はたいてい大歓迎を受けている。
小人「お待たせしました。」
族長「おーーー、待っていたぞ。早速酒を見せてくれ。」
族長は待ちきれなかったようで、先頭に立ち向い入れていた。
小人「今回の酒はワインとビール、そして蒸留酒です。」
族長「おーーーー、ビールとワインは分かる。蒸留酒とは何だ。酒なのか。」
小人がにこやかな笑顔で答える「極上な酒です。」
「「「「「おーーーーーー」」」」」
そして小人の予想を超えていた。
虎人族は、物々交換用に色々な物を用意していた。小人はその中で価値のある物と交換していく。
虎人たちは行列を作り酒と交換していった。交換する者は他にもあったが虎人たちは全て酒と交換している。少数だが女性たちは別の物と交換していた。
大量の酒を手に入れた虎人たちは、広場に集まり宴会を始めてしまった。
早く酒を飲みたいとの願望であった。
人は酒を飲むと大虎になる者がいる。だがこの虎人族では全ての者が大虎となってしまった。
大量の酒を飲んで騒いでいる虎人たちは、自分の自慢話から始まり虎人同士の殴り合いの喧嘩も始まってしまった。小人の行商は身の危険を感じる程の喧嘩は、翌朝まで続いたという。
村の広場は血の海となり虎人たちの骸が転がっていたという。(死んではいません酔っ払いです)
他の種族も同じような物であったが、熊人たちだけはかなり大人しかったという。蜂蜜と蜂蜜酒を待っていた熊人たちは、小人の行商から届くと同時に1人一瓶を手に取りペロペロ、チューチューとやり始めてしまった。喧嘩どころか話し声も聞こえない奇妙な宴会であった。
その後、アルに報告にやって来た小人の行商は、4種族の大乱闘などを面白おかしく伝えていく。
霊人族の族長も笑い転げてしまったほどだ。
霊人族長「虎人が大虎にククククッ、笑い過ぎて腹が痛い。もうやめてくれー。」
小人「熊人は、ペロペロ、チューチューですよ。」
霊人族族長「ヒッヒッヒッ、もう駄目だー。」
アル「それで大虎たちに死人は出なかったんだろうな。」
小人「はいそれは大丈夫です。大虎たちは酔って喧嘩をしましたが元が頑丈である事と酔っ払いパンチもも物に当たっていましたか。」
アル「死人が出なければ上々だ。」
アルは小人の話で多少顔を引きつらせる場面もあったが一応平静を保っていた。
アンネ「私も大虎さんを見てみたいわ。どんな形に変身するの。」
小人「えー、マー、色々と変身していました。」
アル「アンネ、今度見に行こう。」
アンネ「そうね行きましょう。」
この日、霊人族に届けられた酒と食料で、霊人族でも宴会が始まった。
宴会は、大歓声とともに始まり酒の力がいかんなく発揮されていた。
族長の息子である元狐j人は酔った勢いで狐人のすばらしさを演説している。元狐人以外は誰も聞いていないが、雑音を嫌う者たちから煩い、黙れとやじが飛んでいく。
族長の息子は野次に敏感に反応する。
ネッツ「俺は族長の息子だぞー、次期族長になる者だぞー。」
霊人「それがどうしたー。うるさいぞ。黙れー。狐狐と鬱陶しいー。」
ネッツ「きき貴様ー、許さんぞ。狐人族を愚弄するなー。」
そしてネッツは、怒りに任せてその者に殴りかかる。だが非力なネッツと霊人(元獅子人)では体格も武力も全く違っていた。ネッツの怒りの鉄拳が霊人の腹に炸裂する。どうだとばかりにネッツがニヤリと霊人を見るが、霊人は殴られた事等無いように余裕でニヤケている。
ネッツ「クソー、うおおおお。」
ネッツの拳から連打が炸裂する。だが全く聞いていない。霊人(元獅子人)は小指で耳をほじくっていた。そして空いている片方の腕で一発腹パンをくらわす。
ネッツは、吹っ飛んでしまった。仰向けに伸びてしまったネッツだが、ネッツの一発芸が披露される。
それは、寝ゲロ(気絶ゲロ)であった。
仰向けに気絶しているネッツは、口から今まで飲んでいた酒を噴水のように天高く噴射していた。
周りの霊人たちは、目を背けてしまっていたが小人は何て芸術的なと感心していた。
見事な噴水ゲロはそのままネッツの口に落ちていく。苦しくなった気絶ネッツが又噴水のように噴射していた。繰り返す事2回であった。風の影響がなければ、首が傾かなければあと1回は見れたかもしれない。
小人「見事な一発芸ですねー。」
霊人族長「・・・・・・・あやつに次の族長は無理かもしれない。」ボソッ。
霊人たちは、普段通りで喧嘩をよくするがこの日は喧嘩をしていない。いや、いたのだが族長の一発芸で酔いがさめてしまった者が多くいたからであった。




