500話 各種族の集まり
霊人族が、近隣種族を招き宴がひらかれた。
虎人族、獅子人族、熊人族、狐人族の4種族は、この界隈では力を持ちかなりの有力種族である。
そんな有力種族が霊人族のようなよくわからない宴に参加する事は稀であり、霊人族や他種族から好奇な目で見られている。
霊人族長「皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。心ばかりですが酒と食事を用意してありますのでご堪能ください。」
族長の無難なあいさつで始まった宴は、かなりの盛り上がりであった。出された料理と酒が普段食する物とかなり違っていたからだ。
「うめーーー。」
「何だこの酒は、う、美味すぎる。」
「この肉は何だ。溶けるぞ。」
この酒と食材は、小人の行商が緊急手配した物であった。
アル達はドラゴンに伝言を託して山脈の向こう側から取り寄せたものであるために、この西側では食せない物がズラリと並べられていた。
この食事だけでも、宴に参加したかいがあるだろう。
宴が盛り上がっている途中で4種族の族長は、別の部屋で会談を行う事になっていた。
その部屋にも酒と料理が並び会場よりも酒の種類が多くなっている。
少し豪華な部屋に7人の男たちが集まっていた。霊人族族長、虎人族長、獅子人族長、熊人族長、狐人族長とアルと小人の行商であった。
霊人族長「虎人族、獅子人族、熊人族、狐人族の族長、よく集まってくれた改めて礼を言う。」
虎「フン、マジックバックの事を言われては集まらぬはずがなかろう。」
獅子「そうだな、本当にマジックバックを種族に一つ貰えるのか。」
霊人「あー、渡す。その前に紹介したいものがいる。今回のマジックバックを提供してくれる方だ。」
アル「霊人族と友好関係を結んでいる。アルフォードだ。」
霊人「アルフォード殿は、山脈の向こう側から来た者なのだ。霊人が少し争っている時に仲裁に入ってもらったのだ。その時の縁からマジックバックを提供する話になり、山脈の向こう側と交易を進める話になったのだ。」
狐人「交易というと酒や食料が主流なのか。」
霊人「いや、酒や食料もあるが、他にも色々と交易が出来るようになる。だが戦争や紛争中の種族には交易が行われないという事なのだ。」
熊人「何故だ。戦争中こそ物資が必要だろう。」
アル「我々は、交易で種族を栄える事を望んでいる。戦争や紛争や争いで種族が戦っている所ではまともな交易は出来ない。だから争っていない種族のみを対象とする。」
「「「「んーーーーーーーーーー。」」」」
4種族は、一斉に唸り声をあげて考え出す。交易によって栄える事は望ましいが、基本が脳筋の集まりであり、戦う事が3度の飯より大好きな者たちなのだ。悩む事は当り前なのだ。
4種族の族長は、マジックバックが霊人族から提供されることでこの会議に参加している。会議に参加すれば後はどのようになろうともマジックバックを提供すると霊人族が伝えた事もあり参加していた。
その為にもうマジックバックを一つ貰う事は確定している。
各族長は、利益が確定している為に会議が成功しようがが失敗しようがどちらでもいい事である。
だがアルや小人の行商から色々な提案がされていた。
美味い酒に食材などとは他にも簡易なマジックバック(少量や時間停止なし)の販売や生活必要品などであった。
4種族は、小人の行商と交易は大歓迎であったが、アル達の提案である争い中の種族とは交易しないというものであった。
4種族にとって争いとは本能であり、欠かせないものである。
アル「ではこの地域での争いでどうです。この地域で争わなければ交易を続けます。ですがこの地域で争いが起これば交易と止めます。特にその原因となった種族は、永遠に交易中止とします。」
「「「「うっ。」」」」
霊人「おーーーそれは良い考えだな。この地域で争いが無ければ発展する事は間違いなし。」うんうん
虎人「外で戦争する事は問題ないのだな。」
アル「問題ない。」
狐人「それならば我らは霊人族と同盟を結ぼう。」
獅子人「よかろう。我らも同意する。」
熊人「交易することは問題ない。だが熊人には金が無い。他の種族から強奪しなければ交易品に払う物が無い。」
この熊人の言葉は、他種族にも当てはまっていた。争いで全てを解決しているこの大陸で金や物を払って交換する事は異常なのだ。欲しいならば奪えがこの世界では常識であった。
小人「御心配には及びません。私が各種族の交易品となる物を探します。万一交易品が無ければ造り出すことを約束しましょう。」
虎人「交易品が無くとも作り出すことが出来るのか。」
小人「出来ますよ。そうですようねアル様。」
アル「あー出来るな。まぁ一つは酒だ。間違いなくできる。酒は色々な物から造りり出すことが出来る。酒の種類が増えるぞ。」
「「「「「おーーーーーー」」」」」
アルの酒発言は、4種族だけではなく霊人も驚きの声を上げていた。
霊人族の縄張りと虎人族、獅子人族、熊人族、狐人族の5種族は交易同盟を結んだ。
この同盟関係により、小人の行商が各地を廻り交易を行なう事に決定した。
各種族は交易品を探し、そして各種族は酒造りを行う事になっていく。
酒という言葉は、魔法の言葉の様で酒造りは絶対となっていた。
熊人「何ーーーーーーーーーーーーぃ、それは本当かぁぁぁぁぁぁ」
小人「耳が痛いです。そう少し小声でお願いします。」
熊人「おーーーーすまんすまん。余りに驚きすぎて少し大声になってしまった。」
小人が熊人に語った事は、蜂蜜酒の事であった。熊人大好きな蜂蜜が酒になると知った熊人が大声になってしまっただけである。
獅子人「うちの縄張りはどうだ。何か思いつくか。」
小人「そうですねー、大麦があればビールが出来ます。ブドウがあればワインが出来ます。ビールやワインなどは、作り手によって味も変わります。同じ種類でも味が違ってきますから問題はないでしょう。」
獅子人「ほーそうなのか、ならば我らはビールとワインを作る。アハハハハ、これで酒が飲み放題だー。」
狐人「我が種族もビールとワインを作るぞ。」
熊人「うちは3種類造る。」
虎人「うちも同じだ。」
こうして戦闘狂達は同じぐらい酒も好きである事が証明された。




