498話 牛乳騒動
朝の朝食の時間となった。
族長宅には、客人である6人と族長夫妻の8人が同じテーブルに座っている。そのテーブルにはレットブルの牛乳もある。
族長「今日の牛乳はいつものとは違うな。」
使用人「はい、今日はお客人から提供されたレットブルの牛乳でございます。」
族長「なに、レットブルだと、まことか。」
其れからの朝食は、皆勢いが違った。アル達は別にそれほど珍しくもない牛乳であったが、族長夫妻を始め使用人達は目の色が変わっていた。
族長「何だ今日のパンは、これほどの腕を持っていたのか美味い。」
使用人「レットブルのフレンチトーストでございます。」
アンネ「これ美味しいわね。」
使用人「本日の料理には、レットブルの牛乳を使っております。ホワイトシチューにカルボナーラに使っております。」
族長「おーーー、凄いな。こんな旨い朝食はめったにないぞ。ありがとうご婦人。」
族長は、アンネが提供してくれたことを知っている為アンネにお礼を言ったのだ。
アンネの美味しい朝食の為の提供である事で大満足であった。
朝食も終わり、族長とアルはお茶を飲みながら、交易の話になっていた。
族長「あのレットブルの牛乳は定期的に手に入るか。」
アル「あの牛乳なら定期的に手に入るから問題ない。どのくらい必要なんだ。」
族長は、家令を呼び牛乳に着いて問う。
家令は、少し考えてから答えていく。
家令「本日の樽であれば、鮮度が保たれません。マジックバックが必要となります。」
族長「あーーー、それは無理だ、マジックバックはダンジョンからしか出ない。」
アル「あるぞ。」
「「えっ。」」
アル「だからマジックバックなら譲ってやるよ。牛乳好きなんだろう。」
「「えーーーーーっ」」
アルは軽い気持ちで牛乳が好きなら飲めるようにしてやろうかぐらいの気持ちでマジックバックの提供を伝えただけだったが、そんな簡単な話ではなかった。
この大陸西では、マジックバックを持つものなど10人もいないという。
その数少ないマジックバックは、強者の証明の様なものとなっていた。ダンジョンの奥深くで偶に出てくるマジックバックは、強い魔物に勝利した証のような物となっていた。
アルは、自分のマジックバックから10個のマジックバックを取り出して、無造作に族長に渡す。
アル「牛乳配達用に一つは渡してやれよ。」
「「えっ、えーーーーーーー」」
族長と家令は、思った。牛乳配達にマジックバックはありえないだろう。強者の証が配達用マジックバックにだとーーーー。
だがレットブルの鮮度を保つにはマジックバックは欠かせないものであると直ぐに気付くと家令はアルに対して深々とお辞儀をする。
家令「アル様、牛乳屋に保管用と配達用の二つ提供いたします。」
アル「そうしてくれ、レットブルの牛乳は、鮮度が大事と聞いている。」
族長「アア、アル殿、残りの8個のマジックバックは、どどどどどうします。」
アル「族長にプレゼントするよ。友好の証にしようか。」
族長「します、します。友好の証に是非します。霊人族の全てに通達いたしましょう。」ニコニコニコ。
族長はもの凄い笑顔であった。その笑顔は少し気持ち悪かった。
アルにとってマジックバックは、只の消耗品の一つである。
だが場所が変われば価値も変わっていく。大陸の中でもこの西ではマジックバックは特に貴重な物となっていた。中央や東では西よりも数が多く出ている事で貴重だが西程ではない。
族長は、10個の内2個は牛乳屋に渡す。これは決定事項だ。残り8個は族長の自由裁量となったが、アルの為に少しでも貢献しなければと敬愛、尊敬する主人を思う使用人の境地となっていた。
霊人族の繁栄の為にも使わなければならない。霊人族の近くには、熊人族、虎人族、獅子人族、狐人族の4種族がいる。族長は4種族とアル達の友好の為にマジックバックを使う事を提案していく。
アル「いいのか。」
族長「8個の内4個を各種族に譲り、友好関係を築いてください。段取りは任せて下さい。4個は霊人族で使いますから問題ないです。」ニコニコニコニコニコニコ。
族長の気持ち悪い笑顔は別にしてアルは、4つぐらいは追加で出す事も出来たが霊人族の族長が必死で考えた事であるためにアルはあえて何も言わなかった。
数日、アル達は霊人族内に滞在する事となり、町へ出かけて行く事となった。観光になりアンネは上機嫌であった。
アルは、部屋で支度をするアンネを待っている。どの服にするかと迷っているアンネにアルは何もいう事が出来ない。ここで一言でも間違いを犯せばその日のアンネは不機嫌ととなり、アルはご機嫌取りとしなければならないからだ。
アンネ「今日のアルは青系のお洋風だから、私も青系かな、ねーどう思う。」
アル「そうだな、同じ系統の服もいいかな。」
アルはなるべく無難な答えをしていく。ここで一番中な事は否定はゼったしてはいけない。だがそれが一番いいなどと全面的な肯定もしてはいけない。確実な逃げ道を作っていなけれいけない。
アンネ「青系ねー。青、蒼、碧、藍どうしようかなーー。」
アンネの洋服選びだけでもう1時間も経ってしまっていた。グッと堪えるアルの元に族長の使いが現れる。
コンコン
アル「どうぞ。」
使用人「失礼いたします。本日の外出に案内役を申し付かりました。霊人族のトトと申します。宜しくお願いいたします。」
アンネ「トトさんね。宜しくね。」
案内薬が来たことでアンネの洋服選びが加速した。青系ではなく白いワンピースとなっていた。
50歳になるアンネローゼだが、見た目はどう見ても10代後半か良くて20歳ぐらいにしか見えない。アル達を始め移住者は誰一人年齢に触れる者は居ない。移住者全体が若作りであり、ハイヒューマンであるために年齢を気にする者がいない事も影響している。たまにハイヒューマン(年)の話題は出るがそれは男同士に時だけであり、女性を前では話題に上ることは無い。特にアンネローゼやルビーの前では、禁句事項となっている。
昔
可愛いねー、ねー幾つなのと以前にアンネをナンパしようとしたものがいた。恐れを知らないその者は、アンネのドスの効いたた答えに失神したという。「え”ー”ー”わ”た”し”ー”ごじゅ”っ”さ”い”よ”」そしてアンネの拳が炸裂したという。その者はもう二度と女性の前にでる事が出来なくなったという。
その者はアンネに般若を見たといってどこかに消えていった。その後その者を見た物はいない。




