497話 朝からトラブル
霊人族の町は早い。
日が昇るともう動き出している者がいる。商店街は朝食用の食事処や牛乳屋など、朝には欠かせない店も多く。活気に満ちている。そんな中で夜通し酒を飲み、ふらふらと酔っ払いが商店街を歩いている。
これも朝の光景の一つである。
男「うぃー、ふー、飲んだなー。もう朝だ仕事に行かないとなー。」
男2「仕事かぁ、俺は今日休みだから家で寝る。うぃー、うっ。」
そんな酔っぱらいはいつもの事で誰も相手をしていない。
だが酔っ払いは、突如おかしな行動をとる事が多々ある。
男「おーーーー、牛乳屋これ貰うぞー。」ゴクゴクゴク。「カー、酒の後の牛乳はうめー。」
男2「俺も飲むかなー。」
牛乳屋「ダメですー、これは配達分なんです。足りなくなります。」
必死に駆けよる牛乳屋であったが、男は牛乳を飲んでしまった。そして金も払わずにふらふらと歩き始めている。
牛乳屋は、怒りに満ちた目で男たちに迫り、蹴りを一発かましていた。
後ろから蹴られた男は、前のめりに顔から倒れていく。隣にいた男2は「てめーなにしやがる」と意気込んだが牛乳屋にパンチを入れられ真後ろに倒れてしまった。
男たちの対処は終わったが、飲まれてしまった牛乳は戻っては来ない。
これから配達であることでどうする事も出来ない状態であった。
牛乳屋「クソー、牛乳2本どうするか。」
この町では、朝の牛乳は欠かせない朝食セットである。その為に毎朝新鮮な牛乳は各家庭に配達されているのである。争いの絶えない霊人族にとって決まった事から外れる事は争いの元となっている。
牛乳が配達されない家庭は、揉めること間違いなしであった。
牛乳屋は、真剣に考える。どこの家で謝るか。配達が出来ない家が出る事は決定しているのだ。
牛乳屋は、一番配達量の多い家にする。そうすれば量は減るが、みんなで飲む事が出来るだろうとの思いであった。
だがその家は霊人族の族長宅である事を牛乳屋は気にも留めなかった。
アル達が泊っている霊人族の屋敷では、族長自慢の朝食が準備されている。霊人族にとって欠かせない牛乳は朝のメインの一つであった。
霊人族族長宅では、客人をもてなす為に調理場は大忙しであった。
族長の屋敷は、かなり大きく使用人も多い。
毎日牛乳が大びんで10本も配達されている。大びん10本は、10Lもあり朝だけでは飲みきれない筈であった。
だがそれは客人がいない状態である。今回はアルを含めて6人も増えている。足りなくなる恐れがあったのだ。
それは屋敷に働く使用人達は皆認識している。今日はもしかしたら少し牛乳が減るかもなと思っていた所、牛乳配達が訪れる。そして10本が8本になった事実が突きつけられる。謝り倒す牛乳屋であったが、分かった災難だったなの言葉は何時まで経っても出てこない。
牛乳屋は、顔を上げる事が出来なかった。
使用人「そのまま待ってくれ。族長に確認してくる。」
牛乳屋は、族長?確認?と思ったが、そんな大げさなー、っと軽い気持ちが段々ともしかして不味いのかと恐怖が襲ってきていた。
牛乳屋は屋敷内がいつもと違う雰囲気である事にやっと気づいた。(もしかして客人が来ているのか.ま、拙い。)
使用人は、族長からおしかりを受け何とかしろと言われてしまった。
上の言葉は絶対である。
使用人は、牛乳屋に対して同じ言葉を牛乳屋に伝える。
牛乳屋「む、無理です。すいません。申し訳ございません。」
謝り倒す牛乳屋であったが、使用人も如何にかしろの一点張りである。無理です、何とかしろの応酬となっていた。そこに朝食前の朝の散歩をしていたアンネの目に留まった。物陰で言い合っていた牛乳屋と使用人であるが声が大きく周りに聞こえていたのである。
アンネは、あー色々と大変ねーと軽い気持ちであったが、必死に謝っている牛乳屋に同情もしたが、自分の食べる朝食である事が分かると他人事ではなくなった。
アンネ「牛乳の話が聞こえたわ。私がその牛乳を手配してあげるわ。」
使用人と牛乳屋は、声の聞こえた方を見る。にこやかにほほ笑みながら近づいていく客人の姿に使用人は、膝をつきお見苦しい所をお見せして申す訳ありませんと謝罪している。その姿を見て牛乳屋も膝をつき同じように謝っている。
アンネ「牛乳が足りないのね。はいこれ使って。」
アンネは、巾着袋の中から牛乳を取り出す。その牛乳は、牧場などで使用されている大きな樽に入っていた。アンネは行儀よく両手で持ち使用人へ渡す。
だが普通の者が大きな樽など持てるはずもなく、使用人は樽と一緒に倒れてしまった。
アンネ「あらあら、大丈夫かしらー。」
牛人屋は使用人に駆け寄り樽の下敷きとなって気絶している使用人を助ける。
牛乳屋「おい大丈夫か、しっかりしろー。」
大声の牛乳屋に気付いた他の使用人達が集ってくる。
アンネは、牛乳屋に「後は頼むわね。」と告げると颯爽とその場を離れていった。呆気に取られていた牛乳屋だが、樽の牛乳が目の前にある事で笑顔が戻っていた。
だが樽の牛乳が自分の納得のいくものであるかはまだ分からない。
集って来た使用人達に樽の件を伝えていく。
牛乳屋は厨房迄入り込み樽の中の牛乳を検査していく。
牛乳屋「こっこれは、極上品だ。すっ凄い。」
料理長「そんなに上等品なのか。」
牛乳屋「家の牛乳の2段は上の品です。普通じゃ手に入らないでしょう。」
料理長は、これから出す朝食に合うのか品定めの為に牛乳を飲んでみる。
料理長「な、な、なんだこれは、これが牛乳だと。」
牛乳屋「これは、もしかしたらレットブルという魔物の牛乳かもしれません。」
料理長「何、あのレットブルだとー。」
そうレットブルとは、幻に牛乳と言われている。ダンジョンでしか取れない貴重な牛乳であり。鮮度が命の牛乳の中でレットブルはダンジョン内でしか飲めないと言われているのであった。それが今樽一杯に牛乳が有るのだ。
料理長「朝食の品を変えるぞー、急げーーー。」
「「「「えっ、おおーーーー」」」」




