496話 霊人族とは・・
アル達が待たされる事、30分少々であったがその間にお茶とお菓子が運ばれてきたことで待たされたという感覚はなくなっていた。
美味しくいただいていると霊人族の族長が現れた。
族長「お待たせして済まない。私が霊人族の族長だ。」
アルとアンネは、族長に対してにこやかに挨拶していく。
アル「霊人同士が揉めていたのでその仲裁をしてここに招待されました。旅の途中ですので長居はしません。」
族長「旅の途中ですか、どちらに向かうのですか。」
族長は、息子のジョンから伝えられたドラゴンに乗り、強力な力を持っている事を確認している。その為にかなり警戒をしていた。霊人族は、この地域では特殊な種族として他種族と一定の交流はあるがどこの種族とも揉めてはいない。(多少は揉め事はある)それは霊人族が多種多様な種族の前世記憶持ちである事で他種族ともめる事を霊人族自体が嫌っているからである。その代り霊人族内ではいつも争いが絶えない状態となっている。
アル「そうですね、西へと旅をしていますがハッキリ言って何所に行くかは決まっていません。」
族長「決まっていない。それは又目的地の無い旅という事なのでしょうか。」
アンネ「目的はあるわ。今中央と纏めているのは私たちなのよ。それを広げていきたいの。ねっアル。」
アルは、あちゃーーーっと頭を抱えたくなってしまった。アンネが微笑みながら語った事は政治の駆け引きとしては0点であったからだ。アンネは故郷では女王として君臨していたが、女王の仕事はほとんどしていなかった。宰相に丸投げしていたことで全く駆け引きなどしたことが無かったのだ。
族長「フォフォフォフォ、正直なご婦人だ。よいよいこの影星は力が全て、実力があれば通るのだから問題ない。フォフォフォフォ。」
アル「失礼しました。正直に言いますが、今中央では争いがありません。生活が豊かになり争っている暇がなくなりました。」
族長「ほーーっ、争いが無い。そして争っている暇がなくなったというのか、実に興味深いな。」
アルは、霊人の族長に中央の状況を説明していく。小人の行商網が広がり各種族間に交易路が出来上がり酒や食料などがどんどん入ってくる状況であり、金が経済を回していることまで説明していく。
その説明でもう数時間も経っているがアルと族長の話は終わらない。
族長「興味深い話だ。これで終わるのは惜しい、今日は泊っていかれよ。夕食後も酒を飲みながら話を利かせてくれ。」
アル達は、族長宅に泊まる事が決定してしまった。
話に全く入れなかったアンネは頬をぷくっと膨らませて怒っていますアピールをしているが、アルは全く気にしていない。
そして気付かないアルにアンネは、アルの背中をポコポコとたたき出している。段々と強烈になっていくポコポコ攻撃でアルはアンネに対して「これは大事な政治のお話なんだと」言い聞かせるように説明していく。アンネも一時は女王であったことで理解はするが納得はできない。交換条件として後日狩りの約束をして矛を収めるのであった。
アル「霊人族はかなり特殊な種族だな。」
アンネ「そうかな、変わっているけど自由に生きているみたいで楽しそうね。」
アルとアンネの霊人族に対しての見方が全く違っていた。
アルは、他種族より一段上であると意識があるように見えていたが、アンネは、好きなように生きているように見えていた。
両方とも間違いではなが、正解でもない。
霊人族には前世の記憶がある事でかなり歪な種族となっていた。他種族から見れば気持ちの悪い種族であり、霊人の前世の家族たちから見ても素直に受け入れられない者も多くいる。その為に霊人が前世の家族を訪れても上手く行かない方が圧倒的に多く。問題が大問題児(家族間)になるケースが多い。
前世で未練たっぷりで死んだことで、生まれ変わってもその事実を忘れる事は無い。その為に前世の家族に執拗に迫る者も多くいる。
問題児の集まりである霊人族は、他種族との交流は切る事は無いがなるべく関わりを少なくするために今の縄張りとしていた。(大陸西の東端)
それでも霊人族の中には元の種族への拘りがある者が多くいる。こだわりの中にも元の種族であり続けたいものと嫌っている者がいる。嫌っている者は霊人族となりそれなりに楽しみながら生活をしているが、元の種族に拘っている者達は、かなり偏屈な者たちとなっている。姿かたちは元の種族となっている者が多くいるが完全ではない。
それは母親の種族の特徴が一部絶対に現れる事である。
例をあげれば、母親が鬼人であり、生まれた子供が狼人とするならば、姿かたちは狼人となるが額から角が生えているという事である。
霊人は2種族の特徴を持つ者たちなのだ。
この特徴の為に各種族は霊人族を同族として受け入れる事は絶対にない。受け入れられない事で霊人たちの一部は恨む者も出てきている。
霊人は未練たっぷりで死んだ者の集まりであり、第2の人生も未練の塊のような者が多くいる。
アル「未練を断ち切れない者が多くいるという事なのか。」
族長「そうだ。前世に拘り過ぎている者が多くいる。困ったものだ。」
アル「前世を覚えているという事がマイナスになっているな。記憶は消せないのか。」
族長「消せないだろうな、以前に嫌な記憶を忘れようとしていた者がいたが、忘れる事はできなかった。その者は自殺したよ。」
アル「そうだよな。覚えていたくないことまで覚えているという事はかなりきついからな。」
族長「霊人族は、呪われているのだろ。満足して生き死んだ者は誰一人いない。未練がある者だけが霊人となってる。」
アル「それにしても霊人族は多いな。この町だけでも5000人はいるだろう。」
族長「そうだな。この町には約7000人住んでいる。周りの集落も6つあり1000から1500はいるだろうな。」
アル「かなりの勢力だな。」
族長「・・・・戦争はしないぞ。霊人族は争わない種族だ。」
アル「この星では貴重だな。ハハハハ。」
族長「一つぐらいそんな種族があっても良いだろう。その代り霊人内では争いが絶えることは無いがな。」
アル「それは族長一人が疲れるだろうな。まぁ重鎮達も疲れるかな。」
族長「私はまだいい方だが、次がな・・・・」
アル「あーー、噂の次期族長か。」




