491話 鹿人混乱中
鹿人とロバ人の戦いで捕虜となった15000もの鹿人の扱いで揉めていた。
ロバ人族族長「どうする、15000人も養う事はできないぞ。」
重鎮「仕方ないだろう、鹿人との交渉結果が出るまでは養うほかあるまい。」
重鎮2「大赤字になるな。」
族長「・・・・・バカ鹿がー。」
ロバ人たちの会話を黙って聴いていた。応援部隊の蜂人と大鼠人は、苦笑いしている。
鹿人は、大柄で大食間の者が多く、ロバ人の2倍ほどの食料が必要なのだ。ロバ人で換算すると30000人程の食料が必要とされるのであった。
ロバ族長「鹿人の武器などは売れるか。」
重鎮「小人の行商に交渉中だ。食料と交換してもらう予定となっている。」
ロバ族長「うむ。」
大鼠隊長「少し宜しいか。」
ロバ族長「なにかな。」
大鼠隊長「ロバ人族の縄張りは守る事が出来たが、これからどうするのかを方針を確認したい。」
ロバ族長「方針?まさか鹿人の縄張りを奪うつもりなのか。」
重鎮「・・・・・・・む、無理だろう。」
蜂人隊長「鹿人は今弱っている。35000もの兵の内、捕虜が15000、戦死者が13000となっている。逃げた者達は7000から8000という所だろう。鹿人の村で戦える者はそう多く残っていないと思われる。」
ロバ族長「我らは、遠征となれば5000がいい所だろう。蜂人と大鼠人はどのくらい出せるのだ。」
大鼠「この場にいる兵は、4000だが、応援部隊があと4000待機している。合計8000だ。」
蜂人「うちは、今の3000だけだな。」
ロバ族長と大鼠隊長、蜂隊長と重鎮たちは話し合い、鹿人の村への遠征が決まった。
鼠族と猿人族も遠征を要請する事で、確実に勝つふじんとした。
大鼠人族、 8000
鼠人族、 5000
ロバ人族 5000
猿人族 3000
蜂人族 3000
の24000もの大軍で鹿人の縄張りを奪取する事となった。
(各種族の縄張りとは、族長がまとめる各集落を含めたものである。各集落は族長の住む村を中心に縄張りを主張している。各所属は族長の村を占領し縄張りを奪う事でその他の集落も従わせることが出来るようになっている。)
猿人と鼠人の到着を待ってからの遠征となり、15000の捕虜たちは一時棚上げとなり、ロバ人族の村で戦争終結まで養う事も決定した。勿論ロバ人だけで養う事は不可能の為に5族プラス小人族の協力で食料確保をしていく。
この捕虜問題が一番の話題であった。鹿人を滅ぼしたならば捕虜を金に変える事は不可能となる、ならば交渉を先にすれば鹿人の戦力増強となってしまうからだ。
大鼠族が最終的に鹿人たちを一人幾らで買い取る事を提案したことで決定していた。
(大鼠族は、小人族からの援助で買い取る事になった。)
大鼠族を中心に5族が結束(支配)しているが、実際に支配している者は小人族だろう。食料から全て小人族に頼っているのである。
鹿人捕虜の問題も小人族の提案であった。
小人「これで鹿人の村は滅ぶかな。」
小人2「村は滅ぶけど、逃げ出す者は多くいると思うよ。遠くの鹿人村に逃げるよ。」
小人3「援軍に来ることは無いかな。」
小人「ないね。鹿人は同じ鹿人であっても助ける事はしないよ。鹿人同士で序列があるんだよ。あの村は嫌われているから助ける事はないよ。」
十日後、5族の応援部隊が到着すると鹿人の村へ向かって進軍を開始した。
鹿人村では、鹿人の族長が怒り狂っていた。
何故負けた、何故負けたと負けた事で怒り狂いこれからの対策をしていない。重鎮達も誰に責任を取らすかで頭が一杯の様で5族が攻め込んで来るとは一ミリも思っていなかった。
そこに5族が鹿人村へ進軍中と報告があり、族長と重鎮たちは大慌てとなる。
鹿人族長「迎え撃つ、兵を集めろー。」
重鎮「兵はどのくらいいるのだ。」
重鎮2「男は全て兵に志願させろー。」
そして族長と重鎮たちの指示もむなしく、集まった兵は、3000であった。老兵と成人したばかりの子供であった。
鹿人族長「こ、これだけか。」
5族の進軍は大軍である為に軍行速度はかなり遅い。鹿人の村まであと四日もかかるだろう。
鹿人の族長が兵が集らず途方に暮れている頃、鹿人村の者達は、別の動きをしていた。
それは、ロバ人との戦で撤退した副隊長率いる5000の兵が鹿人村の近くで隠れていた。
副隊長は、鹿人の族長と重鎮に嫌気がさし独立する事にした。
副隊長は、兵たちの家族を村から出すために段取りを行っていた。5族が攻め込んでくる前に村を出さなければならず、バレる事を前提に動いていた。
だが鹿人の族長と重鎮達にバレることは無かった。鹿人たちは副隊長の動きに皆が協力してくれていたからだ。5000の家族たちと共に移り住む事を鹿人村の多くが希望していたからであった。
その事実に副隊長は頭を抱えてしまった。予定の数倍となる事で計画が狂ってしまったからであった。
副隊長の予定では、5000とその家族で多くても20000人と予想していたが、実際はその3倍となっていた。
まだ全ての鹿人が来なかっただけよかったといえよう。
戦死者と捕虜たちの家族の多くが残り、それ以外は副隊長について行く事になっていた。家族を二つに割る者も多くいたが、残る者たちも副隊長の新しい村に万一の時は逃げ込めるという算段もあった。
副隊長の一派は今の鹿人の縄張り内の一部を自分たちの縄張りと宣言して独立した。
この衝撃は、鹿人族長と重鎮達にとって大きすぎた。宣言を聞いた族長は怒りで頭から血が噴き出してしまった。そして族長はそのままあの世へと旅立ってしまった。
鹿人にとって戦争に大負け、族長が亡くなり、5族が攻めてくる、鹿人の一部が独立とこの短い間に重大事項が同時に起こっているのだ。大混乱しても仕方のない事だろう。だが敵は待ってはくれないのである。右往左往していると5族の軍が鹿人の村を囲んでしまった。5族もすぐに攻撃を開始することなく。
まずは降伏勧告を行った。小人族からの情報で鹿人の一部が独立したことを知ったからだ。
戦う兵士が足りない事が分かったために降伏勧告を出したのだ。
だがその降伏勧告も鹿人たちの混乱に拍車をかけるものとなってしまった。




