484話 新族長
大鼠族の新族長となってしまった隊長は悩んでいた。
それは当然といえる。何しろ今までは戦っていればよかったのだ。
其れが今では、大鼠族の将来を考えなければならない立場となってしまった。
大鼠「隊長じゃなかった、族長早く人事を決めてください。」
族長「おまえなー、簡単に言うなよ。種族の人事だぞ。物凄く大変なんだぞ、責任者だぞ。」
大鼠「だから決めるんですよ。このままだとすべて族長がやる事になりますよ。いいんですか、ご飯を食べる時間も無くなりますよ。」
族長「マジか、それは重大だな。だけど重鎮を決めるのは大変だろう。それに今までの重鎮連中から続投の意思表示が来ているしな。」
大鼠「ダメです、絶対に続投は受け入れてはいけません。あいつらは大鼠族に寄生する害虫です。」
大鼠族は、族長が辞任又は亡くなった場合、族長一族の中から選ばれる場合が殆んどであった。重鎮も同じで今回の出来事は異例中の異例であった。
その為に重鎮達も大鼠族の重鎮として残る事為に必死になっている。だが前族長と同じで種族からの評判がすこぶる悪く、新族長が重鎮の続投を支持すれば新族長も同じ穴のムジナと判断されてしまうだろう。
大鼠「ハーーーー、ここに大鼠族で能力のある者たちにリストです。この中から役割を選んではどうですか。」
ニヤリ
族長「流石は、俺の副官だなーーーー。」ウキウキ。
大鼠「今回だけですよ。私は隊に戻らなければなりませんからね。もうやりませんよ。」
族長「分かっている、分かっている。ダイジョウブダヨ。」
大鼠「ハーーーー、どうして私はいつもこんなに苦労しているのだろうか。はーーー。」
新族長は、隊長としてかなり優秀であった。隊を率いれば統率力を発揮し、敵を殲滅していく。個人としての戦いでも強者と言われるほどの強さも持っている。ただ事務仕事などを苦手としていた。副隊長であるこの男にそちら関係は全て丸投げしていたのだ。
族長「おっこいつなんか良いんじゃないか、何々、重鎮の部下で外交を任されていたんだな。重鎮との関係は最悪でいつも言い合いをしていたか、かなりいいんじゃないか。」
サブ「この男は、外交に特化しています。今までは種族の方針がコロコロと変わっていた為に成果を出すことが出来ませんでしたが、種族の方針をきちんと決めてやれば大きな成果を出せるでしょう。それと次のこの男ですが、内政に特化しています。この男は今までの重鎮や前族長から嫌われていました。特に賄賂大好きな重鎮からは毛嫌いされていました。」
族長「アハハハハ、なる程、其れなば信用できそうだな。」
新族長と副隊長のサブは深夜遅く迄話合い何とか大鼠族の人事を決めた。事実上副隊長のサブが決めてしまっていた。
翌日、会議場へ集まった大鼠族の元重鎮とその関係者たちと新重鎮とその関係者たちの集まった会議場は異常な雰囲気となっていた。それも仕方のない事であった。元重鎮にしてみれば全く関係のない者たちが重要な会議に呼び出されているのだ、それは自分達がお役御免となる事を意味していたからであった。
族長「皆よく集まってくれた。これより大鼠族の新人事を発表する・・・・・」
発表後
元重鎮「な、納得できん。儂が大鼠族で役職ナシなど納得できん。」
元重鎮達「「「「「「そうだそうだ」」」」」」」」
族長「納得できないんであらば出て行け。」
元重鎮「出ていけだと小僧がー、何様の積もりだー。儂は長年大鼠族のために身を粉にして働いてきたのだぞ。それを出ていけだとー、小僧うぬぼれるなよ。」
元重鎮2「そうだ、小童がー、新族長などと浮かれおって重鎮に早く戻せー。」
族長「元重鎮達を逮捕しろ、会議を妨害した。」
元重鎮たちは、族長がなにを言っているのかを理解できなかった。今までは族長に対してもかかり過激な言葉でも許されていた。前族長も賄賂や身内びいきで重鎮達とズブズブな関係であったために強く言えなかったのであった。それが今は事情が全く違っている、今迄のようなズブズブの関係ではない。
大鼠族は、本来族長の権力がかなり強く族長の言葉は絶対となっていた。それが前族長(長期政権)となり元重鎮達とズブズブな関係となってからは仲良し政治となっていた。
元重鎮「なな、何だお前らはー、くるなーくるなー。」
大鼠の兵士に連れて行かれる元重鎮たちは皆信じられない表情をしていた。今までの特権が無くなったことを意味していたが受け入れるには時間がかかるだろう。
族長「いいかよく聞け、今迄の体制を一新する。強い大鼠族を復活させるぞー。」
「「「「「おおおおおお」」」」」」
ギルバートの町
アル「決まったようだな。」
騎士「はい、大鼠の新族長は、かなりの切れ者と言われています。戦いで英雄となった事で族長に押されたようです。」
アル「強い者が種族の長となる、影星ではそれが当たり前だろう。今までの族長は金で買ったと言われているからな。」
騎士「その噂は真の様です。」
アルは、小人族とは別に大鼠族に使者を出した。
大鼠族は、取られたいた縄張りを取り戻し完全復活までは行かないが、かなり力を取り戻していた。
周りの種族も大鼠族に簡単に手出しが出来ない状態となっている。大鼠と鼠族の共闘で負け知らずとなった事で周りの種族たちは連合を模索している。
その動きは小人の行商たちから大鼠と鼠族へと伝わったが、両者は静観している。
種族が連合を組んだのならば、一気に潰すことが出来ると大鼠陣営も作戦を進めている最中であったからだ。
大鼠族長「あいつらは学習能力がないのか。」
隊長「仕方ないでしょう。大鼠族と鼠族に負けた事で今の族長の立場が危ういようです。元の大鼠族の長の立場だと思ってください。」
族長「それは大変な立場だな。だから連合を組んで戦いを挑んで来るのか。勝てると思っているのか。」
隊長「勝つと思い込んでいるのでしょう。そうしなければ族長を辞めなければならないのですから。」
族長「前の族長と同じだな、はー仕方ないな。でも種族は滅ぼさないぞ。大鼠の下に付ける事にする。」
隊長「その事は、外交担当に任せましょう。種族は滅ぼさないと事を伝えればうまくやるでしょう。」
族長「皆優秀だからな、任せよう。」




