481話 地位逆転
蜘蛛の巣都市、灰の町、ゴーストタウンなど色々な名で呼ばれているこの地は、まだ人がかなり少ない。
一応、森のダンジョンが解放された事で種族のはぐれ者などがこの地に居ついている。
アル「少しは、というよりやっと村規模になったかな。」
騎士「村というより完全なゴーストタウンです。蜘蛛の巣都市の中心にしか人が居ませんから、それでもスカスカ状態です。」
アル「仕方ないだろう、人気がないんだから。」
騎士「何故でしょうか、ギルバートの町と何が違うのでしょうか。」
アル「ギルバートの町と機能的には全くか変わらないというよりこの都市の方が上だな。だがここは噴火の起きた場所だから各種族も警戒しているのだろうな、この地に来ている者の多くははぐれ者ばかりだ。又噴火する事を警戒しているのかもな。」
騎士「噴火ですか、一応各種族には説明しているのですが・・・」
アル「理解できないのだろう。溶岩を燃料にしているなど信じられないんだろうな。」
騎士「私はいまだに信じられません。」キリッ。
アル「アハハハハ、卿がそうなんだ種族が信じられるわけがないな。いずれ理解するはずだ。」
この地にも人が集れば宿屋と酒場は必ずできる。その酒場では、森のダンジョンで稼ぐ者達が毎晩騒いでいる。
熊人「おーーー飲め飲めーー。」
狼人「おーおごりなのか、おごりだよなー。」
熊人「奢ってやるぞー、今日はいい稼ぎだったしなー、マスター皆に酒を一杯出してやってくれー。」
「「「「「おおおおおお」」」」」」
小人「熊人の兄さん、ずいぶんと好景気ですね。」
熊人「何だ小人か、あー今日の稼ぎは特別だったな。まぁ明日も同じに稼げるけどな、ガハハハハ。」
この小人と熊人の会話を隠れて聞いている者が数人いる。その後、熊人が酔って店を出ると後をつけてくる者たちがいる。熊人はふらふらと歩きながら宿屋に向っていた。
覆面「よう、熊のおっさん景気いいようだな、俺達に恵んでくれよ。へへへへへ。」
覆面2「金寄こせー、金寄こせば殺さないでやるぞーへへへへ。」
熊人「あ”あ”-、ヒック、お前ら馬鹿か、俺様に勝てると思っているのかー、あ”あ”ーっ。ヒック。」
ボコッ。
熊人の後ろに隠れていたもう一人の覆面3が剣の柄で殴っていた。
熊人「なにすんだー、いてーだろー。」
覆面3は、熊人を殴った事で熊人は倒れると思っていたようでピンピンしている熊人に対して膠着していた。酔っている熊人は加減が出来ないらしく、覆面3を投げ飛ばしていた。覆面3が投げ飛ばされた事でもう二人の覆面が熊人に斬りかかっていく。だが実力が違う為に返り討ちに合ってしまった。
「ギャーーー許してくれー。」
「申しません、ごめんなさい、ごめんなさい。」
熊人「うーーーヒック、気をつけろよー。」
熊人は酔っている為にそのまま歩き始めていく。
覆面「た、たすかったー。」
覆面2「い、生きてるよかったー。」
覆面3「・・・・・・」気絶中
騎士「はい、強盗未遂で現行犯逮捕です。」
覆面「えっ?」
熊人を襲ってた覆面3人組は、見回りの騎士によって現行犯逮捕となってしまった。この覆面3人組は、大鼠族の者達であった。稼いだ熊人の金を襲いとろうとしたのだが、あまりにも実力差があったために成功しなかった事を翌日に縛られて広場で発表されていた。
大鼠人3人は頭を刈られ、尻尾の毛も刈られて皆涙目であった。大鼠の毛は短いが、全く怪我無い状態とならば薄いピンク色となる。
狐人「あれなんだー、禿げているぞー、ギャハハハハ。」
熊人「んーー何々、昨晩、強盗未遂て返り討ちとなった弱い大鼠です。僕たちが余りにも弱くてかないませんでした。毛を剃って反省いたします。何だこりゃーーー。」
犬人「こいつら馬鹿なのか、熊人を襲って返り討ちにあっただとー、馬鹿すぎる。」
この広場に居た他の大鼠たちは顔を真っ赤にしている。大鼠人=弱いとなってしまった事が物凄く恥ずかしいのだ。戦闘狂の集まりであるこの地では一番の屈辱と言えよう。
そこに騎士がやって来る。
騎士「張り紙に記載されているように昨晩、熊人を襲ったが返り討ちにあい許しを乞うていた者達だ。我ら騎士が取り押え拘束している。この者達は、強盗未遂の罪によって重労働100日間とする。」
今回のように強盗未遂で捕まる者は殆んどいな。なぜならば何方かは死んでしまっているからであった。
そんな何時ものようにはならなった事で今回の様に辱めの刑が実行されてしまった。
この辱めの刑は、かなりの効果というよりも大鼠族の品格が急降下してしまった。
戦い(強盗)に1対多数で負け、まだ負けただけであればそれは仕方なのだが、命乞いをして助かった事が大鼠族の評価を下げていた。
大鼠長「何たることだ。そ奴らを殺せー。」
重鎮「今は殺せないぞ。重労働100日間なっている。それが終わってからだ。」
大鼠長「クッ、何と不名誉な事だ。」
重鎮2「かなり噂になっているな、この大鼠の町に迄、噂が届いているという事は、もう各地の者達は知っているという事だろう。拙いな。」
大鼠長「我らの力を示さなければならない。戦争だ。」
各地に点在する大鼠族の村は地位を回復するために他種族へと戦を仕掛けていく。だが集団戦を得意とする大鼠族は、他種族の挑発に乗っていく。
狐人「おーー、大鼠の弱虫ども、お前らは1対多数でなければ戦えないんだってなー。情けない。相手をしてやるからかかってこい。弱虫どもがーー。」
大鼠「くっ、1対1で戦うぞー。」
大鼠2「やってやるー。」
大鼠人たちは自分たちの得意な戦法を捨て去り、挑発に乗ってしまう。
もう結果は見えていた。
大鼠人「クソー又負けたー、撤退だー。」
狐人「弱虫が逃げていくぞーー。」
狐人たち「「「「「「アハハハハハハハハ」」」」」」」
大鼠長「貴様ら、又負けただとーーー。勝つまで戻るなーーーー。」
各地の大鼠の長は負け続ける種族に怒りが爆発していた。大鼠は最弱者だ。小人族にもかなわない弱者とまで言われてしまっていた。
そこで普通であれば小人に等戦は仕掛けないのだが、以前の例もあり小人族に戦争を仕掛けてしまった村があった。小人の拠点の防衛力に敵うはずもなく。ボロ負けした大鼠は、揶揄で言われた小人より弱いが証明された結果になったのだ。
最弱者、弱者と大鼠族だけではなく鼠族迄飛び火してしまっていた。
当時大鼠の強盗を捕まえた騎士は、殺すのは忍びないと思いと都市の安全確保の為に後悔したのであって大鼠を陥れる考えは無かった。だがこの行為が最下位の種族であった小人族と大鼠の地位が逆転する事となってしまった。




