450話 大鼠の村→町
大鼠族の族長は、族長としての立場が地に落ちてしまった事で今村の為に必死で働いている。
村の整備は勿論、村の警備や畑に開拓まで良いと思われる事柄をすべて行っている。
その結果、族長としての地位を辛うじて維持できている。
まだまだ失くした信用を取り戻してはいないが、まぁ仕方ないかという雰囲気になっている。
そんな族長を冷めた目で見る者達もいる。重鎮達である。
この重鎮たちは、大鼠族の大家と言ってよい者達であり、大勢の使用人も雇っている。
その者達が事あるごとに族長の邪魔をして村人たちに悪い噂を広めている現状であった。
族長「クソー、あいつら働けー、噂ばかり広めて一体何をやりたいのだー。」
小人「それは貴方の後釜を狙っているんでしょう。」
族長「えっ、族長になりたいから噂を流しているのか。」
小人「そうですよ。あなたの後釜に収まれば今以上に自分たちは利益になると思っていますからね。」
族長「族長などやっても財産なんか増えないぞ、全く分かっていないな。」
小人「でもこのままでは、本当に解任させられますよ。」
族長「あいつらは儂以上に村人たちからの信用が無い、絶対に族長などに成れん。」
小人「そうなのですか、ですが一応重鎮たちの行動は探っておきます。それより今この村の酒の消費量が異常に上がっています。この村で酒を造りませんか。」
族長「ななな何ぃぃぃぃぃ、ささささ酒を造るだとーー。造る造る絶対造る。」
小人の提案により、族長が陣頭指揮を取り酒造りが始まった。大鼠人たち全面協力の元大規模なエール工場が出来上がった。
このエール工場は、近隣の村へも輸出できるほどの規模であり、大鼠人たちは格安で酒が飲めるようになっていく。
大鼠族は強さで言ったら中の下であり決して強者とは言えない存在であったが、酒により地位が飛躍的に上がってきている。大規模な酒工場を持っている事で近隣の村々が大鼠の村へと酒を買いに来るようになっていた。
元々、大鼠族ともめていた種族迄酒を求めてやって来るようになっている。
大鼠族としては受け入れる事を拒み又争いになると思われたが、争っていた種族が頭を下げてきた、大鼠族は許す余裕があった事で穏便に済ませる事に成功している。只族長だけは少し不満の様で謝りき来た者が族長ではなく下っ端の重鎮であったからだ。
流石に族長が頭を下げる事はできなかったようで大鼠人たちは、族長は何所もプライド高いねー、ぐらいの感覚であったが、大鼠の族長は微妙な感情であったという。
そんな大鼠の村は、元々大きな村であったが、今や町と言っていいほど発展している。
この街には、交易用の店が10件もあり、各種族が店を出している。
各種族は、毎度毎度各自が交換品を持ってくることを嫌い種族で店を構えてしまったのだ。その為に種族村として取引を行うようになっている。各個人でも酒を求めて取引は行われるがそれはあくまで個人取引となっている。
各所属の店は、自分たちの特産品を酒と交換している者が多く、中には別種族の特産品を並べている店も出てきている。
小人の行商たちは、此処で買い求め別の種族へと行商に出る者も多くなっている。それは小人の行商だけではなく、色々な種族が行商人となる者も居る。
小人「へー、狼族の方ですか。」
狼人「初めまして、女の身ではありますが、行商を始めました。これから宜しくね。」
小人「それで何を仕入れるおつもりですか?」
狼人「酒と塩を仕入れます。それを各狼族の村へで取引しようと思います。」
小人「流石です。先ずは堅実な物を仕入れて売る。赤字にならないようにしなければなりません。」
狼人「ありがとうございます。」
新米狼人の行商は、小人の言葉を守り確実な物を仕入れて旅立っていった。
他にも幾人か小人がアドバイスを行い行商としてのノウハウを伝授していた。小人も誰でもアドバイスを行う訳ではなく、ある一定の基準に合格した者だけである。その基準とは、対人への言葉使いであった。
横柄な態度の者へは一切アドバイスは行っていない。
そんな賑やかになった町では、各種族の店の墓にも食堂や酒場、布屋、鍛冶屋、武器屋、荷馬屋まで出来ている。
この一大拠点は、アルの拠点と小人の拠点、そして大鼠の町で三角貿易が出来上がっている。この内側と近隣では大きな争いは行っていない。
もし争いになれば酒の輸送が滞り、村人たちから突き上げを喰らう事が分かっている為に暗黙の了解でこの交易行路では争いを禁止となっている。
その効果は絶大で先ほどのように女性行商が出てくるほど治安が良くなっている。
アル拠点を特大とすると小人の拠点は大、大鼠の町は中と言ったところだが、その近辺の種族も交易場として小規模であるが独自の色を出してきている。
小人の拠点
小人「ようこそ、お出で下さいましてありがとうございます。」
アル「中々の町だな、この短期間でこれほどの町を造るとはさすがだな。」
小人「いえいえアル様のゴーレムのおかげです。ゴーレムが無ければまだ貧しい村ですよ。」
アル「それより、大鼠の交易は大繁盛のようだな。」
小人「はい、やはり岩塩の村だけはありますね。底力からが違います。」
アル「塩は、必要物資だからな。」
小人「大鼠の町が交易所となった事でうちとアル様の拠点と3角形で交易が出来るようになりました。その効果は絶大で争いが無くなりました。」
アル「流石皆酒好きの集まりだな。アハハハハ。」
小人「まさか本当にアル様の言う通り争いが無くなるとは思いませんでした。感服いたしました。」
アル「この三角形を広げていくぞ。小人と大鼠のラインでもう一つ3角形を作る。俺の所と大鼠のラインでも3角形を作り出す。小人と俺ののラインでも同じようには無理か。」
小人「ですね、大噴火の地域になりますからもう少し落ち着いてからでしょう。」
アル「3角形を広げて行けば安定した地域も広がっていく。酒をどんどん造らなければいけないが、酒の為に働く者達は多いだろう。エールとビール、ワイン、蒸留酒に果実酒それと蕎麦酒(焼酎)が出来上がったぞ。
小人「蕎麦酒を頂いても宜しいですか。(ゴックン)かぁーーーこれは少しきついですねー。」
アル「そのままではキツイが酒好きにならば行けるだろう。それに水で割って飲むか果実汁を入れて飲めばかなりの見やすくなるぞ。」
小人「いいですねエールを大量に運ぶよりかなり経済的になります」
アル「そうだろう。」ニヤリ




