434話 のむ、うつ、かう
騎士「アル様、報告です。」
アル「おう、何かあったのか。」
騎士「いいえ定期報告書が出来ましたので、その報告です。」
その報告書には、アル達が影星にやって来てからの活動報告であった。
アル達は、影星の中央にある大陸に上陸している。中央大陸のど真ん中に上陸し、今ではそこそこの土地を支配するまでになっている。まぁそこそこと言っても中央大陸全体の0.01%以下である。
この中央大陸は、地球でいうユーラシア大陸とほぼ同じ大きさであるためにアル達が必死に支配している土地など米粒以下でしかない。それでもかなり広域な土地である。
アル「0.01%以下か、ハァー先は長いな。」
騎士「それでも広域な土地を支配しています。大森林の支配も順調に進んでいますので0.01以上になるのは時間の問題と思われます。」
アル「戦って戦っていけば自然と領地も増えていくだろう。ある程度広がったら小人に運営でもさせようかな。」
騎士「えっ、小人にですか。」
アル「当たり前だろう。俺たちは戦うためにここに来たんだぞ。誰が国の運営なんかやるか。」
騎士「で、ですがアル様がやらなければ纏まりません。」
アル「大丈夫だ。俺たちは黒幕として後ろから支えるんだ。問題ない。」
騎士は思う。それは国の運営とどう違うのか、只名前が王では無いだけでやる事は同じではないかと疑問に思ってしまっていた。
それに黒幕として国の運営を行なう為に指示を出すのだから王として直接行った方が迅速に行動できるのではないかと思っている。
騎士「アル様、黒幕にあこがれているのでしょうか、まさか中二病にかかったのではないでしょうか。」
アル「なるかー、中二病なんかなるかー、もしなったら恥ずかしくてもう表なんか歩けなくなるぞ。」
騎士「それは分かります。中二病は中人だけの病の様ですから、心配はしておりません。」
アル「・・・・・」
騎士とアルは定期報告の他にも色々と話し合いを行っている。この拠点が広がる事でかなりの事務仕事が増えてきているのが現状であった。だがこの影星に来ている600人はほぼほぼ脳筋連中となっている為に事務仕事、内政仕事が出来る者達は貴重であり、ほぼいない状態と言えた。
その為に一部の騎士とアル、アンネローゼ、ルビーの負担が急激に増えていた。
一部は小人族に委託しているがまだまだ国の運営と比べると小学生と高校生ぐらいの開きがあった。
それでも小人族の能力によって急速に差を縮めてきている。
騎士「あっ、最後に拠点に行き倒れが一人おります。」
アル「行き倒れ?倒れていり者が歩いてきたのか?」
騎士「流石にそれはありません。小人の行商が倒れている者を拾ってきました。」
アル「小人族もお人よしが多いからな。それで種族は?」
騎士「はい小人族は、エルフと言っております。」
アル「エルフか、この地域ではかなり珍しいな。」
騎士「はいこの地域にエルフの集落は無いと聞いております。」
アル「そうなると何処から流れて来たかだな。追い出されてきただけなら問題ないが、偵察だとしたら厄介なことになるな。」
騎士「この拠点の発展はかなり噂になっています。」
アル「そうだな、周りはまだ拠点を小さな縄張りと思っているようだから攻めてくるかもしれないな。」
騎士「まさか、拠点はかなり強化されています。白オークたちももうせめてくることは無いでしょう。まさか蜥蜴人はありえませんね。他には・・・あー行き倒れのエルフが攻めてくるとお考えですか。」
アル「エルフとは言わないが、この拠点に攻め入る種族は出てくるだろう。小人族によってかなり噂が広がり酒の魅力に取りつかれた馬鹿どもが大勢いるからな。」
そう小人族に寄って広がってしまった酒が、各所属との争いに拍車をかけていた。酒を買うためには物がいる(物々交換)。自分たちの物はもうほとんどなくなっている為に他の種族から奪う者が出てきていた。
その小さな奪い合いが段々と大きな争いに発展してきているのだ。
騎士「拠点の酒造りはかなり順調ですが減らしますか。」
アル「そんな事出来るか、暴動が起きるぞ。」
騎士「そうでした。」
拠点では、エール、ビール、焼酎、蒸留酒と色々な酒を作り出している。その為に拠点内では格安で販売もしている。
拠点内では酒(飲む)博打場(打つ)色街(買う)が出来る3拍子揃っている場所はこの拠点しかないのであった。
小人の行商たちの宣伝もあり、今ではかなりの数が拠点に訪れている。拠点も永住ではなく一時滞在の許可を出し、余希望丸出しの者達から色々と吸い上げている。まるでやくざが経営している町の様で普通ではありえない事だろう。アル達が悪徳であることは否定できないが、いい人が少ないこの影星では娯楽が無かったために突然できた娯楽施設に魅了されてしまう事は仕方んない事だろう。
アル達の戦略?である事で娯楽施設は今も拡張している。
戦略と言っても戦うしか能のない者達に少しだけ他の楽しみを教えてあげる可愛い物であった。
それが純粋?な者達には刺激が強すぎたようでのめり込む者たちが多く出てしまっている。
流石に借金漬けなどにはしていないが、一部の小人たちは貸付を行っている。
アルは見てみぬふりをしている。
この打つにドハマりしている者の多くは白オークたちであった。飲みながら打つ為に負け続けているのだ。酔った頭で賭け事に勝とうとしているのだ。
まぁそうでなければ胴元が大儲けする事はできないだろう。胴元は小人たちであるが大元はアルである。自称黒幕となっているアルは、何故か金を見ながらお主も悪よのーと独り言を言っていたという。
アル「話を戻すぞ。そのエルフは意識はあるのか。」
騎士「いいえまだありませんが、医師の話では疲れからのものだという事ですので明日には目が覚めるといっております。」
アル「そうか目が覚めたら、一度話を聞いてみるか。」
騎士「アル様自らですか、それならば我らが一度話を聞いてい参ります。」
アル「いいや、エルフに会ってみたい事もあるが、見極めたい事もある。」
騎士「では目がさめましたらお知らせいたします。」




