426話 南の拠点に到着・・
レンは、大事な妹を残し今南の拠点と呼ばれている場所にいた。それも拠点の領主の館にいるのだ。
緊張で喉がカラカラとなっているが、出された紅茶を飲む勇気もない。もしティカップを落としてしまったらと考えると触る気持ちにもなれなかった。
そんな緊張の中、領主であるアルが現れる。
アル「よく来たな。君がハーフたちのまとめ役かな。」
レン「は、はい。初めましてぼ僕は、レンと申します。」
アル「大体は、小人族の行商から話は聞いている。レン君の集落でエールを作り販売しているという事で間違いないかな。」
レン「はははい、間違いありませ。」
レンは緊張のあまりアルとの会話を覚えていなかった。大きな失敗はしなかったと後から小人の行商から聞いてほっとしてその場にへたり込んでしまっていた。
その為にレンを領主の館で休ませることとなり、又緊張状態となってしまっていた。
レン「ううううううっ、こんな場所じゃ休めないどうしよう。」
ベットに寝ているレンは、必死で考えているが、今のレンには如何する事も出来なかった。
よして翌日にやっと解放された。だがレンを待っていたのは、アル達であった。
レン「えっ??????」
レンはやっと館から解放され、お土産を買って一人で戻るつもりであったが、どういう訳かアル達と一緒に戻る話になっていた。
そんなレンに小人の行商が、説明してくれた。
レン「えーーーっ、アル様たちと僕たちの集落に行く事になっていたの。」
小人「はい、アルさまの話を聞いていたでしょう。」
レン「うっ、緊張で話をすべて忘れてしまいました。」ガックリ
小人の行商の説明はレンにとって耳を疑う内容であった。レンはアルと話した内容が余りにも信じられない内容であった。
レンはアルとの話でレンたちの集落をこの拠点と定期便によって繋ぐという物であった。
レンたちの集落は、天然の要塞と言ってよい場所にあり、下手な種族の襲撃ぐらいでは落ちることは無いと小人族の判断であった。その為にこの拠点から歩いて10日余りの距離にあるレンたちの集落は丁度良い場所であったのだ。小人族の行商たちの活動範囲は広い、その為に第2の拠点が必要であり、単独の種族を取り込む事は、危険でありメリットも無かった。
だがレンたちの集落は、アル達にとって理想的であった。村や集落からのいらない者たちの集まりであり各種族がいる。他の種族の縄張り外に位置している為にレンたちの集落が揉めることも無い。
レンたちの集落は、大森林の中にある。大森林の中は各種族の縄張りではなかった。大森林の淵あたりは縄張りとなっているが、奥に入ればもう誰の物でもないのだ。
レンたちは、それほど奥ではないが各種族が余り立ち入らない場所であった。
各種族は大森林を恐れている。過去に被害を受けている事もあるが、定期的にスケルトンやレイスが溢れてくることで恐れ嫌っているのだ。霊的なものは物理攻撃が効かないために各種族たちは嫌っているのであった。
そんな事を全く知らないレンたちは、安心できる場所と思い込み自分たちの集落を作ってたのであった。
小人の行商から内容を聞いているうちにレンは、少しアルとの会話を思い出していた。霊系の話で自分が真っ青になり急いで帰ろうとしたことを思い出していた。
レン「あっ、急いで帰らないと。」
小人「大丈夫ですよ。その為にアル様たちが同行するのですから心配ありませんよ。」
レン「あっそうだった。助けてくれるんだった。」ほっ。
アルは小人の行商から面白い報告を受けていた。それは拠点から10日の距離にあるハーフたちの集落の話であった。ハーフたちが集まりエールを作り売っているという話であったが、小人の行商が大森林の事も同時に説明していた。そこで大森林の中で何の抵抗もなく暮らしているという。話した小人の行商も不思議なんですという程であった。
アル「大森林は各種族にとって鬼門という事か。」
小人「鬼門と言えばそうですが、同時に食料庫ともいえます。各種族が住み着く事はありませんが食料が豊富なために皆大森林の近くに集落や村を作り暮らしています。」
アル「大森林の中を拠点に出来れば行商もやり易くなるな、それにこちらとしても都合がいいな。」
小人「ですが大森林は、スケルトンやレイス、デュラハンなどがいます。」
アル「そのハーフたちは無事なのだろう。」
小人「はい無事です。そこが不思議なのです。何故無事なのか不思議です。普通は何日も大森林内にいると少し気が変になっていきます。20日から30日で気が狂ってしまうと言われています。ですがハーフたち、孤児たちにそのようなことは起っていません。今は私たちしかその事実を知りませんが、各種族が知れば大森林が縄張りの奪い合いになる事は間違いないでしょう。あそこ程豊かで暮らしやすい場所はありません。」
アル「一度見てみたいな。」
小人「長くいれば狂いますよ。」
アル「アハハハハ、大丈夫だよ。俺たちは元から狂っているからな。」
小人はアルが冗談を言っていると思っていたが、ふと考えると冗談ではないと思ってしまった。
小人「アハハハハハ。」
レンは、アル達の人数に驚いている。
レン「えっ、こんなに行くんですか。」
アル「行くぞ。俺と妻のアンネローゼ、兄のカインとその妻のルビーと騎士。戦士達100人だ。」
レン「そんなに泊まれる小屋がありません。」
アル「心配するな小屋なんかは自分たちで建てる。」
レンはアルとの話の内容をまだすべて思い出してはいなかった。
レン「そ、そうですか。」
アル「道案内は小人の行商が行いからレンは案内しなくて大丈夫だぞ。」
そして出発となったが、レンはある事を思い出してしまった。
そうお土産を買う事を忘れてしまったのだ。その道中レンは妹への言い訳を必死で考えていた。もし嫌われたら口を聞いてもらえない。以前は怒らせて半日も口を聞いてもらえなかったことがありレンは必至で言い訳を考えていた。まぁ素直にごめんと言える年齢でない事もあり、レンは必要ない言い訳を考えてしまっていた。
道中は至って平和であり、アルもレンも楽しい旅となっていた。




