秘密のポケット
左手をレン君の肩に置き、右手に杖を持つ。右肩にはルイぴっぴが座って、ふんすふんすと言っている。不思議と、肩に重さは感じない。
安心感が、まるで違う。
よかった、レン君と出会えて――そう思うと、感動でむせび泣きそうになるのをこらえながら、とりあえず歩みを進める。
ちなみに、レン君が襲われた話から考えて、来た道を戻るのはまずいだろう。
だから、レン君が向かっていた方へ進んでいく。
しばらく進み、進み、進み続けて――さすがに疲れてきた。
立ち止まり、少し傾斜のある場所に腰を掛けて休憩をする。
すると、ルイぴっぴが肩から降りて、はい、と何かを手渡してきた。
「お水」
コップのようなものを受け取り、「ありがとう」と一言伝えて口にする。
水だ。
ただの水だ。
ふと、疑問がわく。
「これ、どこから持ってきたのさ?」
「ぽっけ」
ぽっけ?
頭の中がはてなで埋め尽くされると、
「そのウサギのおなかについているポケットから出していましたよ」
と、レン君が教えてくる。
便利なもの持っているねえ、ルイぴっぴ――と、手探りで頭の位置を探し、撫でまわす。
「むかし魔界に住んでたとき、青いタヌキがおっことしていったの。べんりなの。でも、たまに物なくなるの」
と教えてくれたので、「へえー」と生返事をする。
そのとき。
歩いてきた方角から、ばからばから、と大きな音を立てて何かが近づいてきた。
おそらく馬の足音だと思い、レン君に尋ねる。
「四頭立ての立派な馬車が来ています。ずいぶん急いでいる様子です」
疲れたから、乗せてくれないかな――とぼんやり思っていると、
その音が、目の前で止まった。




