表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/59

完璧な王子様

「でんかーーーー!!」

 イサメは大声で叫ぶと、真横にあった殿下のおみ足に抱きつき、再び叫んだ。

「でんか~~~!」

 イサメは感動していた。

 よく物語に出てくるようなダメな王子ではない。

 まさに弱きを助ける正義のヒーロー。

 そして何より、牢獄に入らなくて済みそうなことに。

「おおっ、でんか~! ありがとうございます! ありがとうございます!」

 嗚咽混じりに感謝を伝えていると、ルイぴっぴもイサメの頭にくっつきながら、

「よくやったな!」

 と、なぜか上から目線で礼を言っていた。

 幸い、ルイぴっぴが何を言っているのかまでは、マーカス殿下にはわからなかったようだ。

 しばらくされるがままになっていた殿下は、小さく息を吐いてから言った。

「すまなかったな。憲兵隊の者たちも、ああいう者たちばかりではないのだが」

 どこか申し訳なさそうな声だった。

「しばらくすれば容疑も晴れるだろう。貴殿らには、それこそ褒章を与えたいくらいだが……」

 するとイサメは、ぶんぶんと首を横に振る。

「滅相もないです。無罪放免になっただけで、わたしゃもう……」

 声を詰まらせながらそう言う。だが、

「おたから! おたから!」

 ルイぴっぴは懸命に褒章を要求していた。

 ついでと言わんばかりに、

「まぁ、酒とつまみくらいは出してもらいてぇなぁ」

 と酒呑童子まで言い出す。

 正直、この男に関しては町の建物を壊したのは事実である。子爵邸爆発の件はともかく、裁かれるべき部分はあるはずなのだが……。

 厚かましいことこの上ない。

 しかしマーカスは苦笑しながら、

「食事くらいなら用意できるだろう」

 そう言って続けた。

「それと、無実の罪を着せた側が、無罪を言い渡して感謝されるのは忍びない」

 一度言葉を切る。

「そうだな。困ったことがあれば私のところへ来るといい」

 穏やかな声だった。

「“一度だけ”だが、助けになろう。頼る時は、よく考えるのだぞ」

 その言葉を聞いた瞬間。

 イサメは感動しすぎて、息ができなくなるかと思った。ありったけの感謝を込めて、

「でんか~~~!」

 再び力強く、殿下のおみ足へしがみつく。

「いい加減、俺のズボンを引っ張るのをやめろ。脱げる」

 ちょっとだけ素が出た殿下に怒られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ