ルイぴっぴは、すっごくがんばったのだ。
ルイぴっぴは、がんばったのだ。とってもがんばったのだ。あの別れの日から、ずっと。
木こりに、勇者に、魔王に。いろいろなものになって、三千世界を渡り歩いて、人の言葉だって理解できるようになったのだ。
それで、いつしか理にすら干渉できるようになった。なぜかって?
あの雨の日に出会った、大好きなごしゅじんさまに会いたかったから。ただ、その一心で。
やっとだった。やっと会えたと思った。愛するごしゅじんさまに。
でも、ごしゅじんさまの目は、ルイぴっぴのことを映すことはなかった。どうしても、映してはくれなかった。
ルイぴっぴは、決して、見えないことが悲しくて泣いているわけではなかった。そんなこと、どうでもよかった。
それよりも――ごしゅじんさまのために自分の力を尽くしても、光を取り戻してあげることができなかったという「無力感」が、ただただ悲しかったのだ。
ごしゅじんさまは、夜、ルイぴっぴの具合が悪くなったら、どんなときでも病院を探して、連れて行ってくれた。
とても眠たかったあの日も、最後までずっと、そばにいてくれたのに。
自分は、何もできないことが悲しかったのだ。
もう涙も枯れたかという頃に、ごしゅじんさまが口を開いた。
「さて、ルイぴっぴ。これからどこに行こうか。どこかに人がいるといいけど」
ルイぴっぴは、こっちを“見つめている”ごしゅじんさまに向かって、
「ごしゅ、と一緒なら、ルイぴっぴ、どこでもいい」
と返した。
まあ、ルイぴっぴは人間の言葉をしゃべったつもりだけれど、実際はむーむー言っているだけだが。それでも、不思議とごしゅじんさまには伝わっていた。
それは絆のなせる業か、以心伝心だからなのか――その場にいるだれにも分からなかったけれども。
「ほいじゃあ、行こうか」
ごしゅじんさまは、片手で地面に手をついて、ゆっくりと立ち上がった。
ルイぴっぴを落とさないように。




