虹貧のレイン⑧
コレで漸く〝プロローグ〟は終わりですよ…長かった…ストーリー的な意味でも、本話的な意味でも…。
次はいよいよヒロインの入学ですよ…ヒロイン周りの交友関係を広げて行きましょう…楽しみですね、ウププププッ。
「〝開け〟―〝智慧の魔本〟」
レインさんが、己の懐から黒い魔導書を取り出し…その〝封〟を解く。
――ジュインッ!――
すると、その魔本は黒い魔力を奔らせると独りでに動き出し…バサバサと音を立ててページが捲れていく。
「ッ何ですか…この〝魔導書〟…!」
「〝僕〟が保有する〈六番目の罪銃〉に相当するもう一つの〝切り札〟だよ」
レインさんはそう言い…ホルダーに残る最後の魔石を砕き、虹の魔力を解き放つと空間に術式を浮かべながら補足するように説明を付け足す。
「〝汎ゆる魔術を記録する魔導書〟…と言うのが区分として適格かな…コレはその中でも曰く付きの品だが…此処には〝僕〟が解析し封入した〝ある魔術〟が眠っている」
「……その、〝ある魔術〟って?」
その説明に私がそう聞き返すと…レインさんがその黒い瞳の中心に私を映し出して、口端を緩めて言う。
「〝再現不可能〟と言われ、〝伝説〟と謳われた…〝偉大なる魔術師達の御業〟……〝失伝魔術〟さ――フフフッ!」
「ロスッ…!?」
明かされた内容に絶句する私を他所にレインさんは身体を上機嫌に揺らしながら…パラパラと捲れていく魔導書を見て言う。
「――あぁ、漸く…やっと〝検証〟出来る…ずっと理論だけが積み上がり、試したくても試せなかった〝古き智慧〟…!…ある意味でコレは、アルベルト君の功績と言っても過言じゃないな」
そう言い、レインさんが楽しげに空間に術式を刻み付ける…私にはその術式の内容が一ミリも分からないけれど…そんな私の疑問を解消するように、レインさんが説明してくれる。
「コレは、〝焼屍術〟…アルベルト・バルバインが作成した魔術理論と、その〝歪み〟だ…その情報を解析した魔導書が、無数に存在する〝失伝魔術〟の中から最も適した術式を選定してくれる――」
――キュインッ――
そう言う内に、バラバラと音を立てて激動する頁が…不意にその動きを止め…一枚の頁を開いたままレインさんの下に飛んでいく。
「ほう…〝選定〟は終わった様だね……選ばれたのは…ほぉ…〝ファリスの浄歌〟か…成る程…つまりそうか、アルベルト君はまだ〝生きている〟訳だね……宜しい、〝事後処理〟が楽になりそうだ」
そして、その頁の内容を流し見たレインさんはそう言い笑うと…私の下に歩を進め…私の手を握る。
「さぁマナリア君…早速〝理論検証〟を始めよう!……今から君は〝術者〟だ、そして僕が〝触媒〟だ…魔術式は僕が刻もう…君はこの頁にある〝詠唱〟で魔術効果の底上げを頼む」
「へ、は…はい!」
「良い返事だ…それじゃあ早速始めよう!――きっと〝良い物〟が見られるよ」
そう言い、無邪気に笑うレインさんの言葉に…私は緊張しつつも彼の手を握り…言われるがままに…その頁へ視線を落とし…〝祝詞〟を紡いだ。
●○●○●○
――ガガガッ!――
「――フンッ!」
真正面から、高速で迫る〝骨翼の槍〟…ソレを躱し拳で砕きながら肉薄し……拳と拳の衝突で半壊寸前の拳に〝魔力〟を込めて…そのまま殴り付ける。
――ドゴッ!――
上位死霊と言えども〝核〟の質が悪い為か、強力な身体能力に相反して…反応が鈍く…容易く私の拳は腹を撃ち抜き…〝狙い〟は上手くいく。
「――〝爆ぜろ〟」
打ち込まれた拳から、魔力を腹へ浸透させ…言霊を使い〝術式〟を起動する…その瞬間浸透した魔力は内側から炸裂する致命の爆風となって、アルベルト・バルバインの成れの果てに大きな風穴を開ける。
――ジジジジッ――
(〝魔力残量50%〟…足止めの目標時間まで残り一分)
理想的な局面…想定外のパターンが来なければ…何事も無く目的は完遂出来る…けれど。
「――そう言う時程、〝想定外〟はやって来るものです」
私の予言は、その言葉の余韻が消えるより早く的中する…。
『ガァッ―ゲヒッ…グルァァァッ…!?』
苦悶の叫びと、共に…アルベルトが風穴の開いた〝己の腹〟を掻き分ける…その猟奇的な光景は見るも酷く、零れ落ちた赤熱する臓腑は地面の枯れ葉等を焼き焦がし…広がっていく…その光景に…私が警戒レベルを引き上げていると。
――ビクンッ!――
不意に、アルベルトの身体が跳ね…それから、己の腸から〝何か〟を取り出し…点に掲げる…ソレは――。
「――〝杖〟ですか」
くすんだ乳白色の、〝人間の右腕〟から作られた不気味な杖…その指には真っ黒な〝あの指輪〟がはめられており…ソレは杖と一体化するとドクドクと脈打ちながら…悍ましい瘴気を解き放つ…。
「――残存魔力は、向こうも変化無し…しかし、再生を止め、〝触媒〟を取り出したと言う事は…」
私がそう思考し、アルベルトの方を見据えると…彼は、私の意思を肯定する様に…ニタリと、今まで何一つ変化の無かった顔を歪め…杖を突く。
――ゴウッ!――
その瞬間杖から火柱が上がり…アルベルトの身体は赤から蒼へその炎を変化させて…両手を広げ…叫ぶ。
『※※※※※※※!?!?!?!?』
ソレは、単なる雑音か…それとも何かの叫びか…その叫びと共に炎は彼の口へと収縮し…青い、蒼い炎の塊が生まれる…。
「〝竜の息吹〟の疑似再現…ですか…!」
その蒼炎の、莫大な魔力と…圧倒的な破壊力の威圧感に…私さ脅威への対処を思考する…すると。
『――♪』
そんな私の言葉に、アルベルトの瞳が愉悦に歪み…彼の手が…不意に私の背後を指し示す。
「ッ!?――チッ…〝退路は無い〟…と言いたい訳ですね」
その仕草に、私は彼の言わんとすることを理解する…つまり、彼の真の狙いは私では無く…後方の〝マスター達〟だ。
敢えてソレを伝えた理由は…〝私〟を其処から動かさない様にする為…なんと嫌らしく、悪辣な事を考える。
(残り〝30秒〟…この一手を耐え凌げば勝ち…だが、受けるのは致命的なダメージを負うことになる…。)
コレが常人なら…大いに惑う選択肢になり得たでしょう。
「――良いでしょう…その企み…受けましょう」
しかし、私は〝魔動機〟だ…〝マスターを守る事〟が、絶対の命令…ならば、選択の余地は無い。
――ゴウッ!――
「〝超過稼働〟…!」
自身の核、その安全装置を強制的に外し…危険推移にまで自身の全機能を強化する…。
「マスターに仇為したければ…〝私〟を壊してみるがいい…!」
ドクドクと、熱を上げて唸る〝心臓核〟の鼓動を響かせながら…私がそう言うと…アルベルト・バルバインはその魔力の高ぶりを見て…沈黙し――。
『――(ニヤッ♪)』
焼け落ちた空洞を歪ませ…愉しげに…口を吊り上げる…そして。
――ゴッ!――
自身の身体へありったけの空気を押し込み…その〝蒼炎〟を吐き出した。
「ッ――〝守護形態〟――〝展開〟」
視界を侵食して迫る、炎の並を前に…私は自身の両手を巨大な盾に変え…全身を鋼鉄に変えて炎を受け止める。
――シュウゥゥゥッ!――
熱で視界は覆われ…自身に伝わる発熱が皮膚を赤く染める…蒼炎の持つ圧倒的な火力は、それでも耐熱合金の防壁を溶解させ…皮膚を焼き焦がす…自身の肉体を、魔力で無理矢理修復し、防壁を維持する…たった30秒が異様に長く感じた…その時。
「――〝我が祈りを此処に捧げ〟――〝我は主に祈り願わん〟」
背後から、炎に紛れて響く声が…炎の〝停滞〟を打ち破る…その瞬間。
――ズドォンッ!――
凄まじい音と共に…背後から蒼い魔力が奔り…炎を打ち消した。
○●○●○●
「〝全能の創造者〟――〝人に智慧与え給うた主よ〟――〝罪なき者を救い給え〟」
その祝詞に呼応して…創り上げた〝術式〟は展開されていく。
「〝無垢なる子等に祝福を〟、〝無辜の民に安寧を〟、〝病う生命に癒しの日照りを〟、〝災う悪魔に浄罰を〟」
その祈りは、〝古き祈り〟…遥か昔〝聖女〟と呼ばれた偉大なる北の修道女が、その身を賭して創り上げた〝祈りの魔術〟
「〝善良の芽を摘む事なかれ〟、〝悪業が栄える事なかれ〟」
善良を肯定し、無償の愛と慈悲を以て己の力を振るい続け…彼女が至った〝純粋な祈り〟…ソレの再現が此処に始まる。
「――〝ただ世が善で満ちん事を〟」
祝詞が終える…莫大な魔力がその瞬間真っ白で温かい〝癒しの力〟となり…黒く穢れた炎を鎮める。
枯れた大地は緑に芽吹き…不浄の死霊はその身を濯がれ、穢れを削り落とされる……ソレは…〝焼死の竜人〟も例外で無く――。
『ッ…!?!?!?』
炎を鎮め、眼の前に迫る〝浄化の波動〟に、ソレは驚愕で目を見開き…抵抗の余地なく包まれる。
『ッ――※※※※!?!?!?――※※※※aaaaaaァァァァッ!?!?!?』
苦悶の絶叫は次第に、濁りきった不浄の呻きから…男の悲鳴に変わり…その身をボロボロと崩壊させていく…そして。
――カッ!――
一際強く〝祈りの光〟が放たれたその瞬間…全員が瞼を閉じ…光に飲み込まれる…そして、次に目を開けば其処は――。
――フワッ!――
浄化の魔力が染み付いた…〝森林の聖域〟が…ソミュール山の中腹にまで広がっていた。
「――凄まじい…流石〝失伝魔術〟だ…誰にも再現出来なかったと言うのも頷ける」
〝聖域〟と言う…豊富な浄化の魔力が長時間に渡って浸透した結果現れる…〝不浄を寄せ付けない生命の絶対安全地帯〟…ソレが、たった一度の魔術で、しかも副作用としてこれ程広大な規模で生まれるとは…莫大な魔力の消費に相応しい…〝常軌を逸した術式〟だ。
「――コレは、〝フランハイル教国〟には教えられないな…この術式の為に戦争を起こしかねん」
ソレは彼女の本意でも無いだろう…僕が大事に保管するとしよう…ソレはソレとして…。
「――此方も〝仕上げ〟を済ませよう」
僕はそう言い、両腕をボロボロに崩れさせたアリエルと…地面に這い蹲る、左腕を無くしたアルベルト・バルバインの方へ歩を進め…〈六番目の罪銃〉に手を掛けた。
●○●○●○
「グッ…ァァァッ、クッ…そぉぉぉぉ…!」
地面に這い蹲り…燃え盛る炎の中に囚われ、延々と燃やされ続ける地獄から解放された彼…アルベルト・バルバインは、自身の引き千切られた左腕の付け根を抑え…幻肢痛に叫ぶ。
「何故…何故、私がこんな目に…!」
(それもこれも、全部あの指輪が…いや、あの老人が仕組んだ所為だ…!)
この期に及んで、そう宣う男の言葉に返答は無く…男はただ只管に責任転嫁と自己弁護を繰り返し…這いずってこの場から逃げ去ろうとする…しかし。
――パァンッ!――
乾いた銃声と共に、己の腕を貫き地面へ縫い付ける土塊の大釘に、アルベルト・バルバインは悲鳴を上げる。
「ウギャァァァッ!?!?!?」
「――勝手に逃げようとするんじゃないよ、アルベルト・バルバイン…」
そんな彼へ…遠くから歩いて来る黒髪の男…レイン・マナルガはそう言い…己の足元で膝を突く美女の前にしゃがみ込む。
「ッ――マスター…無事ですね」
「あぁ、君の働きのお陰だ…僕の采配ミスだった…敵の力量を把握したつもりだったが…まさかアレに〝自死を厭わない覚悟〟が有ったとは思わなかった…すまないな」
そして、彼はその懐から小さな紫の魔石を幾つか取り出すと…ソレを砕き、アリエルに飲み込ませる。
「其処で休むといい…僕は〝後始末〟を済ませておくよ」
「…はい、ありがとう御座います…マスター」
そして、緩やかに損傷を修復し始めた彼女を一瞥した後…レインは銃を片手に…男の目の前に立つ。
「――さて、アルベルト・バルバイン……君に質問しようか…〝あの指輪〟は何処だ?」
「ッ…し、知らな――」
そして、紡がれる…その冷たい言の葉に、アルベルト・バルバインがそう言おうとしたその時。
――パァンッ!――
ソレが言い終わらない内に引き金が引かれ…アルベルトの足を撃ち抜く。
「ウグァァァッ…!?」
「――〝嘘〟は止めておけ、〝偽装魔術〟も使えない程魔力が枯渇した今…君は僕の質問に正直に答える以外の選択肢は無い」
そう言い放つと、再びレインはアルベルトへ問う。
「〝あの指輪〟は何処だ」
「ッ……胸ポケット…胸ポケットの中だ…!」
「……」
その言葉に、レインは這い蹲り喘鳴を上げるアルベルトの胸元を探り、真っ黒な指輪を取り出すと…ソレを金色の瞳でみつめる。
「……〝魔力が空〟だ…僕の魔力を注いでも反応しない…〝完全に機能停止〟してるな…術式は…一度研究室で分解するしかないか」
しかし、何も情報を得られないと分かると…ソレを魔力で結晶化し…腰のバッグに放り込む。
「――さて、それじゃあ本題…君の処遇だが」
そして、再び見下ろすそのレインの真っ黒な瞳に怖じけたのか…アルベルトは必死に舌を回して弁明を口にする。
「ま、待てッ…私は依頼されただけだ――」
しかしやはり、その言葉が最後まで紡がれる事は無く…無事だった残りの足にも穴が開き血が流れる。
「ッ〜〜〜!?!?」
「〝許可なく喋るな〟…それと、君に送られた〝依頼〟については何も話さなくて良い……この指輪の性能からして相当の〝やり手〟だろう…君と依頼を締結した時〝口止めの契約〟をしている筈だ…貴重な情報源の頭が壊れて使い物にならなくなるのは困る」
レインはそう言うと…呻くソレが落ち着くのを待ち…息が落ち着いたのを確認すると…懐のバッグを漁りながら、アルベルトへ告げる。
「〝君〟は学園に引き渡す…無論君の部下の連中も全員…だがその前に〝君達〟には〝特別な処置〟を施しておく」
そして…目当ての物を見つけたのか…ソレを取り出すと…アルベルトに見えるように〝ソレ〟を翳す……その手には、一つの〝玉虫色の魔石〟が握られていた。
「コレは特殊な魔石でね…物が物だけに〝必要な時〟以外には造らない様にしている物だ…」
レインはソレを銃に装填すると…その銃口をアルベルトへ向けながら告げる。
「〝処刑の魔弾〟…あぁ、そう怯えるな…処刑と言ってもコレは肉体を傷付ける事は無い…無論精神を傷付ける物でも無い…ただ………〝魔術回路を完全に破壊する弾丸〟だ」
その言葉に、アルベルトの目が大きく見開かれ…彼の顔はあっという間に蒼を通り越して土気色に変わる。
「〝魔術師〟にとって、唯一無二の〝宝〟…魔術師を魔術師足らしめんとする〝因子〟…体内の魔力を供給し…魔術を行使するために必要不可欠な器官を完全に破壊する…その意味が分かるね」
無論、分かっている…だからこそアルベルトは自身の身に走る痛み等完全に無視して、逃げ出そうとしている…しかし、そんな彼の額に銃口を突き付けレインは冷たく告げる。
「君の〝矜持〟を奪い去る…傲慢な君が散々見下して来た〝非魔術師〟として、これからの生涯を過ごし続けると良い」
「あ、あぁ…待て、止めてく――」
アルベルトはそんな彼へ、必死に恩赦を乞う…しかしアルベルトの命乞いにレインは眉一つ動かさず…その引き金を躊躇無く引く…。
「あぁ…ぁぁぁ……ぁぁぁぁあああアアアッ!?!?!?!?」
その瞬間、放たれた弾丸がアルベルトの身体を透過し…彼は自身の体内から響いているのだろう〝魔術回路の破壊される音〟に悲鳴を上げてのたうち回る。
「――まぁ、生命までは取らないから…精々悔い改めて生きるか…一から魔術を学び直す事だ」
レインは背を向け、アルベルトへそう言い…他の襲撃者達へ歩を進める…そうして、この事件は一先ずの閉幕を迎えた…。
「――ふむ…やはり〝アレ〟では駄目だったのか」
そんな、彼等の騒乱から遥か離れ…何処かも分からない、一室で…壮年の老人が、そう言い…水晶の映像を切る。
「だから言っただろシャーリー?…〝あの呪物〟はコストも使い勝手も悪いって…お前の〝因子〟はこの手の〝軽い仕込み〟じゃ使えないって」
「……ふむ」
そんな彼へそう快活に笑いながら返すのは…真っ白なスーツに半分は笑みを、半分は悲しみを称えた道化の面を被る男…その言葉に老人は肩を竦め…己の手元にある〝黒い装飾品達〟を見る。
「――あぁ、だが気落ちするな〝我が友〟よ…お前の〝因子〟のお陰で〝アレの末路〟は大層愉快な事に成った♪」
そんな彼へ道化はそう笑うと、フロイドの手元にある黒い装飾の一つを手に取り…赤黒い魔力を込め…告げる。
「だが〝破滅の落とし子達〟の効力は十分把握出来た…其処は収穫だな」
そして道化は席を立ち…解散の雰囲気を醸し出して部屋を出ていこうとする。
「うむ…〝来たる日〟の為にも、コレの運用法は考えておこう…お前はどうするのだ…【混沌】」
そんな彼の言葉に老人はそう頷くと…背を向ける道化に一瞥…暗い瞳を向ける。
「俺は〝次の仕事〟が来るまで〝暇潰し〟してる♪」
「……〝魔女狩り〟には行かないのか」
「ハッハッハッ…生憎〝アレ〟には何の興味も無い…が、まぁ気が向けば〝彼奴等〟の仕事も手伝ってやるさ」
「…そうか」
そんな老人へ、道化はそう言うと…手をひらひらと振り暗闇に溶けていく…。
「あぁ…それとだ〝親友〟…お前に一つ〝プレゼント〟だ」
「?…」
その最中…ふと何かを思い出した道化はそう言うと指を鳴らし…男の眼の前に派手な包装の贈り物を用意する…ソレに、老人が包装を外し…蓋を開くと…其処にある物に目を見開き…沈黙する。
「〝俺を追けてた鼠共の首〟だ…ちゃぁんと〝躾〟はしといてくれよ?…〝我が友〟♪」
其処には…〝己の部下〟の首が山程に詰められており…道化はケタケタと愉しげに笑うと…それ以上何を言うでもなく暗闇に消え…其処には、老人と血生臭い〝贈り物〟だけが残されるのだった。
改めて本話は長い…2話に分けても良いレベルで長い…色々詰め込んだ結果がコレだよ。




