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第124話:進化条件のおさらい

長い、本当に長い物欲センサーとの戦いだった。

二ヶ月強におよぶ【悪魔蔓延る城】での周回を終え、ついに『魂吸の杖』を手に入れたカイトは、長年引き籠もっていた城にようやく別れを告げた。

次なる目的地は、イストとティロフィの待つ『竜の巣』。だが、猪突猛進に突っ込む前に、まずは自室で、しっかりと現状の整理と進化条件のおさらいをすることにした。


「よし、確認しよう」


手に入れたばかりの漆黒の杖――『魂吸の杖』を机の上に置き、カイトは腕を組んで二人の進化に必要な条件を頭の中で反芻する。


二人の進化条件は、それぞれ以下の通りだ。


ティロフィの進化条件:『暗黒竜の宝玉』と『光輝竜の宝玉』を与えること。


イストの進化条件:『天』の名を冠する者を倒すこと。


「まずはティロフィの条件からだな」


彼女の進化に必要な二つの宝玉は、その名の通り『暗黒竜』と『光輝竜』という二頭の強大な竜種を討伐し、そのドロップアイテムを与えることで満たされる。

かつての地獄を思い出して一瞬カイトの顔が引き攣ったが、すぐに小さく息を吐いて安堵の笑みを浮かべた。


(幸いなのは、この二つの宝玉に関しては『通常ドロップ』に設定されているところだな……。つまり、倒せばほぼ確実に手に入る。これ以上、物欲センサーと血みどろの泥沼戦を繰り広げる必要がないってだけでも、精神的には大分楽だ)


あの悪魔の伯爵の時のような、四着目のコートを引かされるような嫌がらせはおそらく起きないはずだ。確実に一歩ずつ進めるというだけで、カイトとしてはこれ以上ない救いだった。


「問題は、イストかな」


イストの進化条件は、特定のアイテムではなく『天の名を冠する者を倒す』という、討伐型の条件になっている。条件の言葉通りに、エネミーの名称に『天』という漢字が含まれているモンスターを、イストを戦闘に参加させた状態で撃破すればいい。


「天の名の付くモンスターは、どれも一筋縄ではいかない強力なボスやネームドばかりなんだよな……」


もしも、世界各地の全く異なる高難度ダンジョンに一から潜り、出没エリアを探して攻略するとなると、移動だけでも膨大な時間と労力がかかってしまう。しかし、ここでもそれは特に大きな問題にはならない。


(これも幸いなことに、『竜の巣』の二十六層以降に出現するエネミーの中に、まさにその条件に合致する【天龍】と呼ばれるモンスターが存在する。こいつも単独で他のダンジョンなら頂点に君臨するような、かなり強力なモンスターではあるんだけど……)


ルートとしては、これ以上ないほどに美しく噛み合っている。

ティロフィの進化のために『竜の巣』の二十五階層を目指し、そのままダンジョンをさらに一段階深く攻略すれば、二十六階層でイストの進化条件である【天龍】に自然とエンカウントできるのだ。


「と、まぁ、こんな感じか。うん、やっぱり結論としては『竜の巣』の攻略が必須、かつ最短ルートだね」


すべてのピースがカチリと嵌まる音を聞いた気がして、カイトは満足げに深く頷いた。

目的地も、やるべきことも完全に確定した。レベルは二ヶ月の周回で『38』まで上がっており、魔人としてのスキルシナジーも完璧。そして何より、手元には魔法の性能を数段高めるぶっ壊れ武器『魂吸の杖』がある。


「待たせたな、二人とも。準備は万端だ。――よし、明日から『竜の巣』へ向かうぞ!」


カイトは力強い言葉で、その場で宣言した。


『現在のジョブ:魔人(Lv.38)』

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