第53話 ~決意~
——魔王城、謁見の間
カラッ
ガラッガラガラ
瓦礫の中から無骨な手が出ていた。
「ぬぅぅん!!」
バァゴァ〜ン!!
瓦礫を吹き飛ばし、ガイダルが姿を表す。
「………助かった………のかぁ?」
ガイダルの下からカインが、その影たちに守られるようにセノンとエリシアがいた。
「……命は……ね……」
ホコリまみれの服を叩きながらセノンが言った。
「……一体どうなったんだぁ??」
「間一髪、テレポートの容量で脱出したのよ。……コロシアムの真下に出ちゃったからここまで落ちちゃったけど……ガイダルとカインのおかげで助かったわ」
上空の圧迫に押し潰されそうになった時、突然足元の感覚が消えた。
落下していると気付いたガイダルとカインは剛神の盾と影の分身で落下の衝撃からセノンたちを守ったのだった。
「………私の………せいだ………」
座り込んだまま、ポツリとつぶやく。
「エリシア?」
「……レオンが…………あ、あんな事に………わ、わた…………せいで………」
ボロボロと涙があふれる。
「エリシアのせいじゃないわ!!」
「……私が………勇…者……だったら……うぅ……」
「あんなのデマカセよ!!」
「…私は知ってたんですよ!!!勇者の証!!この目を見てください!!」
「翠と碧の虹彩異色は勇者の印だったんです!!…………私が……勇者だったら………レオンはあんな事に…………あんな事にならなかったんです!!」
言葉といっしょに崩れ落ちるエリシア。
「……私が……勇者だったら…………」
絶え間なくこぼれ落ちる涙。
「……レオンがいない……私は……もう……」
あの時、抱きしめてくれた温もりが消えない。
「……立てません……」
セノンはエリシアを見つめながら拳を握りしめる。
パァァン!!
乾いた音が辺りに響いた。
「呆けないで!!まだ誰も死んでないわ!!」
「!!?」
それはかつてエリシアがセノンに言った言葉だった。
「レオンは死んでない!!……」
そう叫びながら、セノンの頬を涙が伝う。
「……アイツはまだ戦っているわ!……私にはわかる!…」
そう言いながらセノンはエリシアを抱きしめた。
「……エリシアにも”視える”んじゃないの?……レオンが必死に抵抗してる心が……」
「………セノン……」
ゆっくりと体を離し、エリシアの瞳を覗き込む。
「アタシは諦めない!!」
強く、硬く固めた意思を込めた思いを瞳に込める。
「……アタシは、エリシアのあの言葉で、どんな時にも諦めない気持ちを学んだわ……エリシア……」
エリシアの前に手を差し伸べるセノン。
「……一緒に助けよう………レオンを……」
「……セノンは強いです………」
涙を拭いながらセノンの手を取るエリシア。
「取り戻すわよ!!……あの変態勇者を!!」
「はい!!……必ず!!」
天空コロシアムに強い視線を向ける二人の女性。
同じ男を愛した親友は、愛するものを取り戻す決意を新たにするのだった。
ーーーーーー
「さぁて、助けるとはぁ決まったがどうする?手立てはねぇぜぇ?」
カインの一言からレオン奪還の作戦会議が始まった。
「……あれは融合じゃないわ……融合ならあんなに姿形が変わるわけがない……レオンを核として顕現したんだわ」
「なんぞ、違いはわからんぞ」
「いい?神だの天使だのってのは、信仰が産んだ形無き意志みたいな物よ。元々体があるならわざわざ依代を必要なんてしないもの!」
「……つまり、ダノスをレオンの体から追い出せばいいと?…」
「なるほどなぁ、それで?」
「初めて身体を得たのよ。五感の刺激が強すぎて、これまで感じていた感覚が鈍ってる。そうでなかったらアタシたちが生きてる事に気付く筈だわ。追撃がないのがまだ慣れていない証拠。チャンスは”今”しか無いわ」
「レオンを目覚めさせれば勝機はあると…?」
「そういう事ね。アタシたちでアイツを叩き起こしましょう!!…………いくわよ!!」
「はい!!」




