第48話 ~西端の町~
西端の街ロキ
レオン、エリシア、セノンの3人はアルフェンの後にロキの町まで来ていた。
「変わんねぇな…」
町を歩きながら過去の風景と照らし合わせる。
賑わいを見せる1画がある。
レオンの実家がある商店だった。
「さぁさぁ!今日は大根が安いよ!買った買った!!」
でかい声で客の呼び込みをしているレオンの父、ダール。
「!!!?レオンじゃねえか!!?」
ダールがレオンに気付き目を丸くした。
「!!レオンだって!?」
店の奥から母、レイラが出てきた。
この二人、まるで美女と野獣のような組み合わせだった。
「……よっ!」
右手を上げて軽く挨拶をした。
「よっ!っじゃねえぞ!!勇者に選ばれただの言って連れてかれて連絡も寄越さねえ!心配ばっかかけさせ下がってこのクソ息子が!!」
ごつん!!
ダールの拳がレオンの頭に落ちた。
「あだっ……いってぇな!何しやがるクソ親父!!」
睨み合う二人。
何故か笑顔になるレイラ。
「あ、あの……」
喧嘩になりそうな雰囲気にエリシアが声をかけた。
「!!!!?」
ガバッ!!
エリシアとセノンを見たダールがレオンの首に腕を回し耳打ちする様に声をかける。
「おいおい!このベッピンさんたちはなんだ!?」(ヒソヒソ)
「な、何って、一緒に旅してる仲間だよ」(ヒソヒソ)
「かぁ〜〜!!女と旅だと!!10年早えぞ!!」(ヒソヒソ)
「何だよそりゃ」(ヒソヒソ)
「おい!どっちか紹介しろ!」(ヒソヒソ)
「……母ちゃんに殺されるぞ?」(ヒソヒソ)
「……うっ!!」(ヒソヒソ)
「第一、二人とも俺の嫁だ。親父にゃ渡さねえよ」(ヒソヒソ)
「なぬ!!?二人共だと!!……かぁ〜〜〜!!やるじぁねぇか!さすが俺の息子だ!!」
バシッの左腕を叩くダール。
「…………」
一瞬の静寂。
「…おい、レオン、酒場まで配達言ってこい」
「え??なんで?俺戻ってきたばっかりだぜ??」
「いいから行ってこい!!!!」
ものすごい剣幕で言い放つダール。
「…お、おぅ…」
気圧されながらも答えるレオン。
「エリシア、セノン、すまねぇがちょっと行ってくる」
そう言って荷台を引きながら酒場へ向かうのだった。
ーーーーーー
「…なんだってんだ……」
文句を言いながら酒場へ向かっていた。
「きゃーー!!泥棒よーー!!」
「……なぁんか前にもこんな事あったな……はぁ…」
「オラァ、どけやぁ!!」
パンを抱え、ナイフを持った男が走りながら迫ってくる。
突き出されたナイフを手刀で叩き落とし、瞬時に後ろへ回り込んで意識を刈り取る。
ドサッ
「……あれ?町のチンピラってこんなに弱かったっけ??」
「あ、ありがとうございます!」
パンを取り戻した女性はお礼を言って去っていった。
ーーーーーー
配達を終わらせ、戻るとダールたちは店仕舞いをしていた。
「あれ?もう終わりかよ?」
「まぁな……たまに帰ってきたんだ……飯でも食って行けや」
「お、おぅ」
普段知っているダールの雰囲気と違う事にレオンは戸惑っていた。
気付けばエリシアとセノンは少し俯き気味だった。
「……レオン……お前その腕どうしたんだ?…」
中に入り、一息ついた時ダールが重い口を開いた。
「………気づいてたのか………」
「…馬鹿にすんじゃねえ」
「……魔王軍の奴と戦った時にちょっとな……」
拳を強く握りしめるダール。
「……事のあらましはお嬢さんたちに聞いた。今テメェが置かれてる状況もな…」
「!!?……そうか……」
「…お前が決めた事にとやかく言うつもりはねぇ……ただな……母ちゃんを泣かすことだけはするな……」
強く握り拳が、震える肩がレオンに旅をやめさせたいと物語っていた。
「……これ以上はな……」
「……あぁ!!」
「勇者だろうが何だろうが、俺達の息子だ…胸張って来い!」
肩に手を置くダール。
その言葉は自分たちに言い聞かせているようだった。
「…親父!…俺は……勇者にはならねえ…何時でもどこでもダールとレイラの息子で、このちっちぇ店の息子だ!!……そんな奴が魔王ぶっ倒したら面白いだろ?……俺は…アンタの息子で良かった」
「………ぬかせ……」
ダールの目尻に光るものがあった。
「……気をつけてな……必ず戻ってこい…」
「……あぁ!!」




