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第36話 〜決意〜

エリシアが地に降り、羽が消える。


フワリと長い髪が靡く。


「エリシア!!!」


「はい」


笑顔で振り向くエリシア。


そこには、消え去る前までのエリシアがいた。


「ほほう。なかなかやるな。だが……」


ドラゴンゾンビを倒されたルインだが、両腕を広げ、更にゾンビたちを召喚する。


「……ジュール様…」


尖先を向けるジュールに反撃ができないカイン。


「人の魂を思い通りにするなど言語道断です!そのような悪行は、私が許しません!」


そう言うと、両の手を組み祈りを捧げるエリシア。


「大地に清純な光を『ホーリーフィールド』」


空から聖なる光が降り注ぎ、バトルフィールド全体を照らす。


悪意や瘴気を全て払う、神の奇跡だった。


「…カイン…か?…」


これまで感情がなかったゾンビ兵たちが浄化されていく。


「ジュール様!!」


「な、何だと!!?魂の掌握から逃れたというのか!!?」


戦いが始まって初めて狼狽えるルイン。


「…ちゃんと飯食ってるか?カイン」


「お、俺ぁ、全部忘れてぇ…すまねぇ…」


涙と鼻水でグシャグシャになるカイン。


「な〜に言ってやかがる!テメェがテメェらしく生きてくのが自由ってもんだぜ!謝る事ぁねぇんだ」


自由に身体が動くようになったジュールは生前のように笑っていた。


「カイン!いいか、おめぇは誰かに命令されて動く道具じゃねぇんだ!自分の事ぁ、自分で決めろ」


「あぁ!!もちろんだ!!」


カインの目に光が戻る。


昔置き去りにしてきた半身が戻ってきたような感覚。


様々な主に仕えた日々。


名を貰い、「人」となったあの日。


本当の自由の意味。


目を大きく見開く。


銀色に染まった瞳が輝いていた。


ゴゥ!!


身体を巡る魔力が解放される。


閉じ込めていた思い出とともに。


「何だこの力は!!?」


自分が作った魂が、自分の想像を遥かに超える力を持つ事に驚愕するルイン。


この空間にある影がカインに集まっていく。


そこに光の存在は意味をなさない。


影が己の意思を持つかのように集まるのだった。


「何だそれは!?影の隷属だと??お前のような玩具がんぐにそんな力は与えていない!!」


「教えといてやるぜぇ!「人」は成長するのさ!!」


影が実態を持った戦士へと変化していく。


ギュルルルル!!!


更に、ルイン自身の影が本人を縛り上げ拘束する。


「マリオネット•カーニバル!!」


無数の戦士たちが、拘束されたルインを屠っていく。


「ぐおおぉぉおおお!!!」


「最後は嬢ちゃんの仕事だ!!」


「はい!!」


天使の羽が開く。


光り輝くエリシア。


「裁きを受けなさい。『ホーリー•ジャッジメント』!!」


聖なる光の槍がルインを飲み込み、その存在を消滅させていく。


断末魔の叫びすら消し去ったのだった。


魂の…成長…面白い………だから研究は…やめられん……


ルインの声にならない声を聞いたような気がした。


サラサラサラ…


「おっと、ここまでみてぇだな」


ジュールの身体が砂となって崩れていく。


「ジュール様!!」


「おいおい、「様」なんていらねぇんだ。一緒に飯食った仲間だろぅが。オメェが願ってくれたからここまでいれたが…流石に奴さんを倒しちゃぁ身体を維持できねぇ」


「…………」


カインは涙を必死に堪えていた。


「オメェの人生だ。俺達の分まで自由に生きてくれ。”頼んだぜぇ”」


そして、風とともにその姿を消した。


「分かったぜぇ、ジュール」


カインは空に向かって呟いた。


忘却の花園に存在するジュールの魂へ語りかけるように。


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