表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/43

第21話 〜烈火の支配者〜

サラマンダーの骸が地に落ち、焦げた匂いが漂う。


全員が肩で息をしながらも無事を確かめ合っていた。


その時――


「へぇ〜、中々やるじゃねぇか」


乾いた声が、火口の淵から響いた。


視線を向けると、赤髪を燃やすように靡かせ、背に黒翼を広げた異形が立っていた。


「なっ……誰だ!?」


レオンが剣を構える。


『自己紹介はしておくか。魔王軍、四天王が一人、烈火の支配者、バルギアス……魔王ゼノス様よりお前らを潰すよう仰せつかった者だ』


牙を覗かせ、(わら)うバルギアス。


「てめぇ……サラマンダーを放ったのはおめぇか!?」


カインが低く唸る。


『試金石ってやつだな。勇者とやらがどの程度のもんか、軽く覗かせてもらった。――フン、五百年ぶりに選ばれただけはある』


その声音には、侮蔑と同時に僅かな賞賛が混じっていた。


「フンッ、舐めるなよ……!」


ガイダルが戦斧を構えるが、バルギアスは動かない。


「バルギアスって…まさかっ!?アルフェンを廃墟にした……」


『アルフェン?……あぁ、そういやぁそんな町が昔あったかなぁ?潰しまくってるから忘れてたぜぇ』


セノンの言葉に下卑た笑いを見せるバルギアス。


『ん?おまえら何処かで会ったか?』


それは遠い記憶。


500年前の勇者一行、魔術師のセイリンと僧侶のエレン。


この二人に酷似した、セノンとエリシアが重なったのだった。


『なぁんか、嫌な感じだな…手っ取り早く始末するとするか…』


急に雰囲気の変わるバルギアスに戦闘態勢を取る一行。


「アルフェンの資料によれば炎攻撃を得意とする魔族よ。氷結系の魔法で翻弄して、油断してる間に畳み掛けるのがベストね!純粋な魔族みたいだし、人間を見下しているなら挑発に乗って、こっちのペースに引き込めるかもしれないわ」


「…油断も慢心もなく、最大火力で攻められたら?」


セノンの提案に疑問を口にするレオン。


「あら、察しがいいわね…ジ•エンド、骨も残らず焼失ね…魔力量が違いすぎるわ」


額から汗を垂らしながら答えるセノン。


色々ギリギリなのだった。


「逃げる…選択肢は無いんですね」


「逃げ切れる自信ある?」


「……ありません」


「そう言う事」


より安全を取りたいエリシアだが、今はセノンの案に乗るしかないのだった。


『さぁ、作戦は決まったかぁ?小手調べと行くぜ』


バルギアスが笑みを消すと同時に、火口全体が揺れた。


ゴウ!


空気を裂く音。


灼熱の炎槍が瞬時に放たれ、一行は咄嗟に散開する。


「速いっ……!」


レオンが叫ぶより早く、セノンの目前に炎が奔った。


氷結魔法で迎撃しようとした瞬間、炎と氷が激突し、爆ぜる。


熱波で視界が歪み、耳をつんざく轟音に身体が吹き飛ぶ。


「がっ……はぁっ……!」


セノンの防御魔法は破られ、腕に焼け跡が広がる。


『ハハハ!その程度かよ?さっきまでサラマンダーに勝って調子に乗ってたんじゃねぇのか?』


バルギアスの嘲笑が轟く。


「セノン!」


駆け寄ろうとするエリシアを、バルギアスの炎壁が遮る。


『お前だ……どこかで見た顔だなぁ。五百年前のあの小娘……クク、そうか、似てやがるのか…』


燃え盛る視線がセノンを射抜く。


炎の奔流が一点に集中し、セノンは回避も結界も追いつかない。


「――っ!」


咄嗟に構えた氷の障壁が、轟音と共に粉砕された。


炎が迫り、皮膚を焼き尽くさんとする。


「――《アイスランス》ッ!」


セノンの掌から氷の槍が放たれ、一直線にバルギアスの胸を貫こうとする。


しかし、突き刺さった瞬間――


ジュゥゥッ


乾いた音を立てて霧散した。


氷は一瞬で蒸発し、水滴すら残らない。


「なっ……!」


思わず後ずさるセノン。


『フハハハ!氷だと? 火の王たるこの俺に通じると思ったのかァ!?』


大地を揺るがす咆哮と共に、バルギアスの周囲に灼熱のオーラが立ち上る。


近づくことすら困難な熱量。


「《フローズン・コフィン》!」


全力の呪文を叩き込む。


瞬間、氷の棺がバルギアスを覆った。


ように見えた。


だが次の瞬間、轟音と共に内部から炎が炸裂する。


氷は粉々に砕け散り、辺りに熱風が吹き荒れた。


『効かねぇ効かねぇ! 氷結魔法なんぞ、俺の(ほのお)の前では塵芥同然よォ!』


「くっ……!」


セノンの頬を汗が流れる。


これまで培った技術も、魔力も、まるで通じない。


そして――バルギアスの指先に炎が集まり、槍のように尖り始める。


先ほどよりもさらに濃縮された殺意が、その一撃に込められていた。


『さぁ、氷の小娘……次は避けられるかァ?《ファイヤーランス》』


バルギアスから放たれた炎の槍がセノンを襲のだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ