第20話 〜サラマンダーの襲来〜
第4章 〜烈火の支配者バルギアス〜
ーー魔王城
『…勇者が選ばれたか……』
窓から雷鳴轟く空を眺めながら呟く魔王ゼノス。
『…終わらせる訳にはいかんな………バルギアス!!』
『は!…ここに!』
誰もいないはずの謁見の間に忽然と現れるバルギアスと呼ばれた男。
赤く燃え上がる様な髪に長い耳と八重歯、背中には漆黒の翼があった。
『勇者が誕生した』
『ほほう、ゼノス様以降、500年ぶりですなぁ』
皮肉交じりにバルギアスが言う。
『ふっ、お前は前魔王から仕える最古柱だからな…奴らが大きくなる前に潰せ』
バルギアスの言葉を軽く流し、支持を出す。
『はっ!』
そしてバルギアスは再び闇に消えた。
『あの破壊神には成すすべもあるまい…』
ーーーーーー
ーー
レオン一行は登山をしていた。
次の街に向かう為に、山を超える必要があった。
今朝方に麓の町を出て、昼過ぎに頂上付近へ近づいてきた。
遥か昔は火山地帯だった様で、視界に広がるのは溶岩石ばかり、草木は生えていない。
「近道だからって…こんな足場の悪いとこ通らなくても良かったんじゃないか?」
「何言ってるのよ!溶岩石にはマグマに溶け飛んだ地中成分が豊富で魔術研究に必須なのよ!」
そう、この登山は素材採取も目的の一つなのだった。
「やっぱり、火口付近の方が魔力濃度が高いわね…」
「元活火山だ、火竜の巣が近ぇらしい、注意するに越した事はない」
カインの言葉も尤もだと、警戒しながら進む面々。
クアァァォ!
そんな事を言っていると上空から吼える声が聞こえた。
空を見上げると3体の飛翔体がいた。
「くっ、火竜か……」
「……!!?違う!!サラマンダーだ!!」
サラマンダーが放った火球が一行を襲う。
「ぬぅぅん!!」
ガイダルが大きな盾を作り出し、火球を防ぐ。
「アイスショット!」
セノンの呪文で氷の散弾がサラマンダーを襲う。
避けるために散開するサラマンダー。
「各個撃破だ!」
レオンとエリシア、セノンとカイン、ガイダルの3組に分かれて戦闘に入る。
ガイダルは盾で攻撃を防ぎつつ、接近戦に持ち込んでいく。
「アンタと組むとはね…」
「もう1年も旅してるんだ。ぞろぞろ信頼してくれよ」
「まだね!背中預けるには早いわね!」
カインの言葉に笑顔で答えるセノン。
その言葉の端々からは本気ではない事が伺える。
この一年でしっかりと「仲間」になっていた。
カインの影から躍り出た分身がサラマンダーに絡みつく。
動きを制限され、地上に落下するサラマンダー。
「フローズン•コフィン!」
氷の牢獄がサラマンダーを覆い、その一体を消滅させた。
「俺達もやるぞ!」
「はい!レオン様」
迂回しているサラマンダーを追って走ってきた二人。
「光刀波!!」
尖先から放った光の刃がサラマンダーを襲う。
「アースバイド!!」
怯んだ所をエリシアの束縛魔法が捉える。
「おりゃあ!!」
レオンの聖剣がサラマンダーの首を刎ね、活動を停止させた。
その頃、ガイダルもサラマンダーを一体、倒していた。
盾による突進で怯んだ所を戦斧で身体を真っ二つに切り裂いていた。
無傷で集まった面々。
「なんとかなったな」
「連携も取れて来たぞい」
この勝利は、魔王敗戦から実力が上がった自分たちを鼓舞するものとなった。




