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第19話 〜勇者一行のとある一日〜

幕間 ~勇者一行の秘密〜

➀ 金欠の勇者


バアァン!!


扉が勢い良く開けられ、珍しく慌てたエリシアが部屋に入ってきた。


「レオン様!大変です!!」


血相を書いて話すエリシアに、コレはただ事ではないと感じるレオン。


「とうしたんだ!?」


「…路銀が底をつきました」


「………え?」


ーーーー


「……銀貨3枚か………」


「明日の宿代にもなんねぇな…」


「なんじゃ、金欠とは何があったんじゃい?」


「お金の管理はちゃんとしなさいよ」


テーブルを囲み、置かれた銀貨を全員でみつめ、好き勝手なことを言う面々。


「誰かさんが、毎晩酒飲んで騒ぐからだろうが!!セノンもクソ高い魔導具買い漁ってるの知ってるからな!!」


「「「うぐっ!!?」」」


「……レオン様も先日春画を買われてましたね……」


「うぐっ!!?」


レオン、カイン、ガイダル、セノンが頭を垂れる。


「皆さん!こうなったら、しっかり働いて、稼ぎましょう!!」


「お、おう!!!」(全員)


こうして、この日は一日ギルドの仕事を請け負うこととなった。


② ギルドのお仕事♪


カインとガイダルは冒険者ギルドに来ていた。

掲示板の依頼書を読み漁り、今日のうちに稼げる仕事を探した。


「ホーンラビットの捕獲と薬草の採取しかねぇなぁ…」


「まずはできる事をやるしか無いぞい」


「そうだなぁ…とりあえず、数日は掛かりそうな討伐依頼も受けておくかぁ」


こうして、満月草の採取とホーンラビットの素材集め、アーマードアリゲーターの討伐を受けた。


アーマードアリゲーターは罠を張っておびき寄せる所から始まるため、期間は一週間だった。


それから二人はホーンラビットの生息地へ向かった。


だが、気づいていなかった、ガイダルが素材採取に向いてなかったのだ。


基本、隠密行動が苦手で賑やかなガイダルは、何事にも豪快だ。


その為、ホーンラビットは蜘蛛の子を散らす用に逃げていく。


結局、周りを警戒して、大人しくしていろとカインに叱られてしまった。


「………よし……今だ……」


ホーンラビットを見つけ、ナイフを投擲しようとしたその時…


「ぬがああぁぁあ!!!!」


ガイダルの大声が響き、ホーンラビットが逃げていく。


「あぁ!!ガイダルの旦那よぉ!静かにしてくれよぉ」


「アーマードアリゲーターじゃい!!」


ガイダルがアーマードアリゲーターと戦闘していた。


「まじかよぉ…ツイてんだか、ツイて無いんだか…」


アーマードアリゲーターはその名の通り、外殻が硬い。素材が盾や防具に使われるほどだ。


尻尾が強く、凄まじい攻撃力を誇っているし、それ以上に歯が最強だ。


おかげでA級の討伐モンスターである。


ガイダルは盾で噛み付きを防いでいた。


そんなアーマードアリゲーターにも弱点はある。


腹や首だ。しかし、重心が低いワニなので、通常では攻撃が届かない。


普段なら魔道士をパーティに入れて討伐するのだ。


「しょうがねぇなぁ、手伝うかぁ」


カインの影が伸びてアーマードアリゲーターの下へ入り込む。


「そぉ〜れぇ〜」


影が実体化し、アーマードアリゲーターを下から持ち上げる。


下からの急な力にひっくり返る。


そう、アーマードアリゲーターはひっくり返ると体勢を戻すまで弱点を曝け出す事になるのだ。


「カインナイスじゃい!」


戦斧一閃。


首を切り落とし、討伐&素材ゲットとなった。


その後、ホーンラビットと満月草も採取し、ホクホク顔で戻る二人。


アーマードアリゲーターの状態もよく、金貨10枚となった。


➂名医?エリシア


見つけたのは町診療所の「スタッフ急募!」の看板。


「これは…」


エリシアは回復魔法ができる自分に最適だと考えた。


「あの〜」


ガラ~ンとした診療所。患者がいるようには感じない。


「…はいよ〜」


気だるそうに出てきたのはここの医者だろうか。


「ん?どっか悪いの?」


「あ、い、いえ、スタッフ募集って…」


エリシアは来るとこ間違えたかなぁと感じていた。


どうも儲かっているようには感じられない。


「ホントか!!?医療の経験は!!??」


急に元気になる医者。


名はジュノと言うらしい。


「は、はい。神聖魔法による回復を少し…」


「じゅ、十分だ!!今日だけでいい!診療所を頼む!!」


なんでも、今日は娘の結婚式があるらしい。


しかし、この町に診療所はココだけ。


使命感が強いジュノは診療所を休む事はできなかった。


そこで、自分の代わりに診療所を請け負ってくれる人を藁にも縋る思いで募集したのだと言う。


「そ、そういう事ならお任せください!」


「まぁ、1日に一人か二人来たら良い方だ。冒険者は自分のパーティに回復役が居るから来るのは爺さん、婆さんくらいだ。」


じゃっ頼んだぜと言ってジュノは出かけていった


キィ


「いらっしゃいませ〜…あれ?診療所でいらっしゃいはおかしいですかね??」


「おや?今日は先生はいないのかい?」


老婆が一人診療所にやって来た。


「はい。娘さんの結婚式で、私が代理ですよ」


「ほう、若いお姉ちゃんだけど大丈夫かい?」


「が、がんばります!え〜と、今日はどうしたんですか?」


「腰が痛くてねぇ」


「わかりました……ヒール!」


黄緑の光が老婆を包む。


曲がっていた腰が真っすぐになり、節々の痛みまでスッキリと治った。


「こ、コリャ何てことだい!?痛みが全く無いじゃないかい!?若返ったみたいだよ〜!!」


「それは良かったです」


「アンタ…さては……名医だね!」


「い、いえ私はただの…」


「ありがとよ〜」


元(?)老婆は銀貨3枚を置いて出ていった。


キイィ


「ここに名医がおると聞いたんだが…」


半刻もしない間に2人目の患者が来た。


「いえ、名医では……今日はいかがしましたか?」


「先日、骨折してしまってな…畑を耕すにもこれじゃなんにもできん」


「なるほど、お任せください!!………ヒール!」


腕の骨折もすっかり治り、ブンブンと振り回してもなんともなかった。


「こりゃすげぇ!!アンタ、ほんとに名医だったんだな!!」


そう言って銀貨3枚を置いて帰っていった。


ーーーー

「いやぁ〜娘の晴れ姿が見れて良かったなぁ」


ジュノは娘の結婚式の後、直ぐに踵を返して町に戻ってきた。それでももう陽は傾き、空を赤く染めている。


「ん?何だありゃ?」


よく見ると自分の診療所の前に行列ができている。何かあったのではと全速力で駆け出した。


「大丈夫か!!?何かあったのか!!??」


「ヒール!!……ふぅ、次の方どうぞ〜」


行列はエリシアの診察待ちだった。律儀に白衣まで着て、しっかりお医者さんをしている。


「どういうこと?」


「あれ?ジュノさん!おかえりなさい。娘さんの結婚式は如何でしたか?」


「なんだよ、先生、帰ってきちゃったの??」


「エリシアちゃん、すごい名医だからさぁ、世代交代しなよ」


町人たちが口々にエリシアを褒め称える。


「なんか、すごい患者さんが来ちゃいました。」


代わる代わるに患者が来て、一日でエリシアが見た患者は100名を超えていた。


儲けた金は金貨3枚分。ジュノは開いた口が塞がらない状態だった。


「もぅ、俺いらんだろ…」


結果、本日の売上は全てエリシアに渡され、明日以降も来てほしいと懇願された。


勇者一行で旅があると、丁重にお断りをしたのだった。



④フリマは大変!!


「流石にヤバイわね…」


ポツリと呟くセノン。


勇者一行の金欠が自分に一因があるとは…ガイダルやカインもギルドへ行き、エリシアも


「お仕事探してきます!」


と言って出ていった。


自分も何かやらなければ…でも研究以外行って来なかったセノンには仕事の選択肢が見当たらない。


「…売るか……」


今あるのは研究で使った魔導機器。


データは取得済みなので、旅の中ではガラクタにも等しい物たちだ。


ーーー


市場に向かい、フリーマーケットエリアに向かう。


空いてるスペースに魔導機を広げる。


1時間が経ち、2時間経っても何も売れないのだった。


「…何やってんだアイツ……」


客が前を通るたびに、野良猫が威嚇するような目を向けるセノン。


本人は買いなさいよと念を送っているのだが、その雰囲気から声をかけることすらしない人々。


「そんなんじゃ売りたくても売れないぞ?」


「…変態勇者……こんな良い物買わないなんてこの町の人間はクズね」


「オイオイ、接客もしないで何言ってんだ…」


「接客??良い物があればちゃんと売れるでしょ」


「お前、商売なめんなよ!全ての商人敵に回すぞ」


取り敢えず商品の詳細を聞いたレオンが店先に立つ。


「久しぶりだな〜腕がなるぜ…」


そこからのフリマはすごかった。


レオンが呼び止める人がドンドンと商品を買って行く。


終いには人だかりまでできる始末だ。


「そこのおねぇさん!!毎日の家事は大変じゃないですか!?お湯を沸かす手間を短くしてみませんか??なんと、この鍋敷きは鍋のお水を一瞬でお湯に変えちゃうんですよ!!え?信じられない??それならここで実演しちゃうよ!!さぁさぁ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!!」


ーーー


「…ムカつくわね…なんでそんなに慣れてんのよ??」


「いや、俺は商人の息子だからな」


完売した後の片付けをしている時にセノンが聞いてきた。


レオンの出自を知らなかったセノンが目を丸くしていた。


「アンタ、冒険者でもなかったのに、勇者になって、命かけて戦ってんの??……馬鹿じゃないの?」


「おいおい…そんな言い方……まぁ、俺にも夢が出来たからな〜商人じゃ叶えられねぇだろうしな」


「夢??命をかける価値があるって事よね……」


「まぁ…そうだな……」


レオンにも何か思う事があるのだろうと少し感心したセノン。


「…ねぇ……その夢って?…」


「前にも言ったろ…ハーレム作って酒池肉林だ!」


「…………はぁ…」


「ん?どうした??」


「感心したあたしが馬鹿だったわ」


いつも通り頭を抑えて大きな溜息をつくセノン。


取り敢えず、魔導機を販売した売上は金貨2枚分となった。


1日の売上としてはかなり上々だった。


そして宿へ戻ると、他の面々も帰ってきた。


「…これで金貨15枚になりましたね!これで暫く路銀には困らなさそうです!」


エリシアが笑顔で言った。


「皆さん、今日はお疲れ様でした!ゆっくり休んでくださいね」


そう言ってウキウキと戻るのだった。


「少しは酒は控えるぞい」


「そうだなぁ……」


「あたしも無駄な買い物はしないわよ」


「……俺も」


ーーーーー


「はぁ、なんとかなりましたぁ。これで暫く旅も続けられます」


ゴソゴソとカバンの中を漁るエリシア。


「あぁ〜やっぱり造形が素晴らしいです〜。流石、巨匠エレンの『ルミナス』です〜」


ガチャ


「あっ」


「あっ」


扉をあけて部屋に戻ってきたセノンと目が合う。


「エリシア…その絵…」


「あ、いや、これは……てへ♪」


絵画の後ろには金貨5枚と書いてあった。


一行の日常はいつでもドタバタです。

次回から第4章をお楽しみください。

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