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完結●伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心(うぶ)な恋~  作者: 一番星キラリ


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49/50

49:ああ、大好きだよ

「陽からはまだ連絡来ていないよな。屋上、行ってみるか」


刀岐(ときの)と私は鎮守府に戻り、その足で屋上へ向かった。


鎮守府の建物の屋上は、半分がヘリポートで、残り半分に小さな鳥居があり、庭園が広がっていた。


今の季節は桜も終わり、新緑が目に眩しかった。


「あ、マンションも見えるし、公園も見えるね」


私は金網越しに広がる景色に目を奪われた。


「公園、広いなぁ……」


私の呟きに、刀岐は「どれどれ」と言って、私の後ろに立つと金網を左手で掴んだ。


そして覗きむように前かがみになった。


刀岐の顔がすぐ近くにあると認識した瞬間、緊張し、頬が赤くなっていると感じた。


「澪、あれ、富士山じゃないか?」


清涼感のあるミントの香りがして、刀岐の息が耳にかかった。


……近い。刀岐ってパーソナルスペース狭すぎじゃない⁉


私は近すぎる刀岐から離れようと


「そこにベンチがあるからちょっと休憩しようよ」


刀岐は私の言葉に頷き、ベンチのそばの自動販売機でお茶を買って渡してくれた。


「そう言えば久光に会った時、信長がどうとか話していたよね?」


私はベンチに腰を降ろして尋ねた。

鈴はいつの間にか霊体化を解き、私の頭に乗っていた。


「ああ、信長の呪魂(じゅこん)のことだろう」


「その、じゅこん、って何なの?」


「澪は歌詠みのことは知っている?」


「うん。穢れの祓いを専門とする私設組織でしょ」


「そう。歌詠みはさ、人の負の感情から生まれる穢れを言霊(ことだま)の力で祓うんだけど……あ、言霊の力って祓詞(はらえことば)のことな。穢れを祓うための言葉だ。で、その祓い以外にもう一つやっていることがあるんだ。道鏡って、歴史で習っただろう?」


「うん。皇位を狙った怪僧だよね」


「ま、簡単に言うとそんな感じの奴。で、この道鏡、死んだ後も隠世(かくりよ)、つまり死者の世界から、現世(うつしよ)、俺たちが生きる世界に暗殺者を送り込んで、この世界の転覆を目論んでいるんだ」


「えええ、そうなの⁉」


「うん。しかも千年前からずっと。歌詠みたちはその道鏡が送り込む、呪魂と戦っている。呪魂は、道鏡が現世に恨みを持つ魂に呪いをかけたもので、この呪いにかかると、負の感情が強化される。元々持っている負の感情が強いほど、それは増幅される。


だから信長の呪魂は相当強かったと思う。


で、この呪魂を使ってターゲットの暗殺を試みる。歴史上の偉人、武田信玄、徳川家康、坂本龍馬とか、いろいろ狙ったらしい。で、その暗殺は成功したものもあるし、失敗したものもある。失敗したもの……それを阻止したのが歌詠みたちなんだ」


「な、そうなの⁉ すごい……」


「ちなみに俺が展開する結界のいくつかは、この歌詠みが使うものなんだ」


「それは薄々気づいていた。授業では習わないよう結界をよく使っているもんね。……刀岐は、理の守り手以外のこともいろいろ知っているし、勉強しているんだね……」


「久光の影響かな。久光は何でも知っているから、俺もそれに負けじと頑張った、かな」


「なるほど……。刀岐は久光のこと大好きだもんね」


「ああ、大好きだよ」


刀岐は無邪気な笑顔を見せた。

その言葉と笑顔が私の心の琴線に触れ、キュンと胸が躍った。


「あ、陽から連絡来たぞ」


スマホを取り出すと刀岐は快活な声で応じた。


◇


「ごめん、ごめん! 思いのほか長引いちゃったよ。いや~、いろいろあったけど、とりあえず部屋に送るよ」


「陽、今日もまだ私たちの護衛なの?」


私の問いに前を歩いていた陽が速度を落とし、私の横に並んだ。


「うん。護衛というか……」


陽はそこで言葉をきり、私を見た。


「小笠原久光の言っていた通りになったよ」


「ということは……」


「引き続き、伊織くんのところにお世話になりながら、除霊や浄化をやりつつ、星那たちの監視をおれと悠で担当することになった」


その言葉に刀岐を見ると……。


「まー、仕方ないな。面倒みてやるよ」


言葉とは裏腹に顔は笑顔だった。


歌詠みについて気になった方はコチラもどうぞ!


完結済『歌詠みと言霊使いのラブ&バトル』

https://ncode.syosetu.com/n7794hr/


バトルパートでは激しい戦闘もあればコミカルな戦いもあり

恋愛パートは思春期の男子らしいHな描写もあれば、甘く切ない展開もあります。

仲間との友情も描かれています。

全67話、通勤通学昼休みでさくっと1ページずつ楽しめると思います。

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