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完結●伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心(うぶ)な恋~  作者: 一番星キラリ


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38/50

38:何が起きていたのか?

あの後、現場では星那の調伏が行われることになったが、そこにサトリ……桜那(さな)が現れた。


桜那は星那が双子の弟であり、星那がこの世から消えると、自分にも影響が出る可能性があると説明した。そして天の鎖でぎりぎりまで力を削り、桜那の力で星那の記憶を消去し、観察下に置くことを提案した。


琴音はそれを承諾し、星那は天の鎖でつながれたまま、何十もの術と結界に囲まれ、朝までそこに拘束されることになった。沢山の鎮守府の職員と桜那も立ち会うことになった。


悠はすばると鈴により回復したが、力が弱まった状態で犬神がまだ憑依していることが分かり、颯斗が対応することになった。


陽はワゴン車の中で術により眠っている状態で発見され、すぐに術を解除された。


怪我や憑依もなく、目覚めた時、騒然とした状況にただただ驚いていたという。


さらに少し離れた場所でかなり弱った状態の百目鬼(どうめき)が発見され、そのまま調伏された。


刀岐(ときの)と私への事情聴取は明日、鎮守府で行われることで落ち着いた。


「では家へお送りしますね」


悠に代わり、海斗がワゴン車を運転し、陽、刀岐と私が乗り込んだ。


私はシートに腰を降ろすと、隣に座る刀岐に声をかけた。


「刀岐、疲れていない? 力の方は大丈夫そう?」


「あ、うん。……大丈夫だ」


私から視線を逸らし、落ち着かない様子だった。


刀岐らしくない反応に思えた。


でも車内は暗いし、なぜそんな反応になったのかは分からなかった。


でも大丈夫というのなら。


「ねえ、刀岐。一体、あの現場で何が起きていたの?」


私は尋ねた。


すると刀岐は琴音を車に乗せたところから遡(さかのぼ)り、何が起き、自分が何をしたのか教えてくれた。


◇


「歩道を歩く星崎を見た時点で、違和感を覚えたんだよ」


「違和感?」


「星崎が一人で歩いている。移動している。それはあり得ないんだよ」


「でもちょっとコンビニに行くとか、そーゆうことはあるんじゃないの」


「それはあるとは思うけど、基本、星崎も相応な力を持っているから、霊を呼び寄せやすい」


「あ、なるほど」


刀岐によると、琴音は参事官という立場だったが、現場経験も豊富で、理の守り手として力も強かった。


力が強い、それは霊や妖(あやかし)を引き寄せやすいことを意味していた。


だからこそ、遠野や二宮のような護衛であり部下を連れ移動するのが常だった。


刀岐の部屋には一人で来るが、地下の駐車場には遠野や二宮が待機していた。


「今日見かけた星崎のそばに、離れたところにも、遠野や二宮の姿が見えなかった。おかしいと思ったよ。それとあの歩き方……」


「でもハイヒールって歩きにくいんでしょ? 私ははいたことないけど」


「星崎はハイヒールでもいつも颯爽と歩いていたし、平気で走れるんだよ」


そう言えば、マンション近くの公園で大百足に襲われた時、琴音はハイヒールで文字通り駆け付けていた。


それがガードレールに手をつくほどヨロヨロしていた。


「それは確かにおかしいと思うわね……。で、何か違和感を覚えながらも、琴音が車に同乗することを良しとしたのはなんでなの?」


「それは何が起きているのか、見極めるためだ。でも車に乗った星崎を観察したが、おかしなところはなかった」


「つまり、霊や妖の憑依は感じられなかったということ?」


刀岐は頷いた。


「何かある」――そう感じ、刀岐は引き続き琴音に注意を向けていたという。


しかし制服や荷物をとるために学校へ向かう道中でも何も起きなかった。


「制服とカバンを持って、ワゴン車に戻ったら、異変を察知した」


「そうなの⁉」


私は何も感じていなかった。


「星崎に変化はなかった。でも悠の様子がおかしかった。憑依されている、と分かった」


「なんですぐに祓わなかったの⁉」


「理由は三つ。まず運転席の悠は憑依されているのに、星崎は助手席でそれを放置していた。迂闊に動けないと思った」


「……!」


「それに澪、お前はすでにワゴン車に乗ってしまっていた。それで俺が動けば何が起きるか分からなかった。お前のことを危険に晒(さら)したくなかった」


……!


刀岐がさらりと口にする言葉に私はドキッとしていた。


「あと車内には術が展開されていて、それを澪はもちろん、俺も、俺のすぐ後ろについて車内に乗り込んだ陽も吸い込んでしまっていた」


「吸い込む……?」


「催眠系の術が展開されていた。催眠系の術は、空気中に眠りを誘発する物質が散布されていることが多い。術を解除し、その物質を排除しても、既にその成分を吸い込んでいるから、体に作用してしまう。その状態で動いても、戦闘の最中に急に眠りに落ちる可能性が高かった」


「さすがの刀岐でも打つ手なしだったのね……」


「そうだな。あの状況で俺ができたことは、星崎が感知しない程度の弱い空術で、車内の誘発物質をなるべく外へ出すことぐらいだった。あとは極力物質を体内にいれないために呼吸の回数を減らし、仮死に近い状態に自分自身をもっていく……。これが精いっぱいだった」


「……そんなことをしていたの⁉ というか目をつぶっていたからてっきり寝ていたと思ったけど、起きていたの……?」


「かろうじて意識を維持している、という感じだったかな」


「それでもすごいよ。陽は車内でぐっすりだったし。私も寝ちゃった上に、体も動かなくて声を出すこともできなかったし……」


「……澪、ごめんな」


刀岐の声のトーンが沈んでいた。


【新連載スタート】毎朝7時更新

『異世界召喚されたら供物だった件~俺、生き残れる?~』

https://ncode.syosetu.com/n0117hx/


クラスのアイドルの女子が

男子二人組に襲われそうになっているところを

助けようとした腕っ節に自信はあるけど

それ以外はごくごくフツーの俺・吉沢拓海。

颯爽と登場したものの、返り討ちにあいそうになり大ピンチ!

気づけば異世界に召喚されていた。

しかも超美少女から!!!

ラッキーと思ったら相手はなんとヴァンパイア。

拓海は血を吸われて死ぬ運命の供物として召喚されていた。

そんな……童貞のまま死にたくない!

死亡フラグ遂行寸前で異世界へ召喚された拓海の運命やいかに⁉

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