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完結●伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心(うぶ)な恋~  作者: 一番星キラリ


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32/50

32:なぜ刀岐なのか?

ハッと意識が覚醒し、目覚めた。


‼


顔を上にあげると刀岐(ときの)と目が合った。


「! 刀岐、起きていたの⁉」


「いや、丁度目覚めたところ」


ニヤッと笑ったその顔は絶対に嘘をついていた。

間違いなく寝顔を見られていた。


「いーじゃん。澪、寝顔可愛いんだし」


刀岐が私の頭に手をのせ、髪に指を絡ませた。


やっぱり、寝顔を見られていた……。


「……澪って、なんで幸徳の奴なんかを好きだったわけ?」


「……!」


「……まさか今も好きなわけないよな⁉」


刀岐が私の腕を掴んだ。


「もーーー。昔の話だから。黒歴史。忘れて」


安堵したように刀岐は息をついた。


「よし。それじゃあ力も回復したし、いくか」


刀岐は自分が起き上がると、私が起きるのを手伝ってくれた。


私は元気になった鈴を肩に乗せ、体育倉庫を出た。


◇


体育倉庫を出ると、混乱はだいぶ収まっていて、ほとんどの生徒が鎮守府の病院に運ばれた後だった。


海斗が私を見つけ、刀岐と私はそのまま鎮守府に連れて行かれ、会議室で事情聴取となった。


別室では理人と結菜が事情聴取を受けていた。


「二人の同級生の理人くんと結菜ちゃんは残念だけど、理の守り手としての力が失われていたわ。他の生徒は穢れを祓われてもちゃんと力が残っていたのにこの二人だけは……。神様はちゃんと見ている、ってことなのかしらねぇ」


私たちの事情聴取を担当したのは颯斗と海斗だったので、雑談のような、明るい雰囲気で会話が進んだ。


颯斗が私たちと話をして、海斗はパソコンで私たちの会話の様子を記録していた。


これがもし星崎参事官が担当していたら……。

しないでいい想像はしないでおこう。


「それにしてもまさかここにきて八年前の百鬼夜行の首謀者が百目鬼(どうめき)と判明するとはね……。偶然にしても因果だわ。伊織(いおり)くんはどう感じているの? 百鬼夜行に伊織くんが関わっていると知っていて、あの呪いの箱を用意したと思う?」


颯斗の問いに刀岐は首を傾げた。


「正直、分からない……。もし俺が百鬼夜行に巻き込まれていたと知っていて、あの箱を用意したなら、相当粘着質で面倒な奴だろうし……。できれば関わりたくない」


「あは。正直過ぎる感想」


「偶然、呪いの箱を使ったとしても、やっぱりウザイ奴に変わりない」


「あら、どうして?」


「あの呪いの箱、三つあったんだ。相当な数の悪霊と怨霊の目が埋め込まれていた。恐らく百鬼夜行事件以降、八年間かけて集めたものだ。そんな手の込んだものを、ただ生意気だと思ったガキに送りつけてくるなんて、それこそ変質的で、ウザイだけだ。それならよっぽど俺が百鬼夜行に巻き込まれていた人間だと分かった上で送りつけられていた方が、マシだな」


「あははは。それはその通りね」


颯斗はひとしきり笑った後


「でもホント、謎ね。そもそもなぜ八年前に百鬼夜行を行ったのか。そしてなぜ今回、伊織くんにしきりに絡むのか」


「あの――」


「なあに、澪ちゃん」


「強い結界が展開されていたり、刀岐のように力の強い理の守り手がいると、霊は寄って来やすいんですよね?」


「ええ、そうよ」


「百目鬼(どうめき)は、刀岐が強いと分かっているから、挑んでしまうのではないですか? なんというかそこに山があるから、登る、みたいな心理で」


「あらあ、澪ちゃん面白い分析ね」


「刀岐も刀岐で、多分、強い敵がいれば、打ち負かしたいって気持ちがあると思います」


私の言葉に刀岐が目を丸くした。


「……澪、俺と知り合ってそんな時間経っていないのに。俺の性格、よく分かってんな」


刀岐の言葉に颯斗が「澪ちゃんの言う通りだわ」と目を丸くした。


「……だから刀岐と百目鬼(どうめき)は勝負がつくまで戦う気がします」


「なるほどね」


「ただ、最初の動機は想像つかないです。八年前の百鬼夜行事件をなぜ百目鬼(どうめき)が起こしたのか。刀岐とは関係なくその事件を起こしたんじゃないかと思いますが……」


「そういえば、宿主のプロファイリングは進んでいるのか? 俺が八咫兵衛(やたべえ)に追わせたからエリアの特定もできたはずだが」


刀岐の言葉に颯斗は指を鳴らした。


「あ、うん。それ、聞いたわ。人物像が浮かび上がって、十人ぐらいまで絞り込めたから、現地調査に入っているって」


「そこまで絞り込めているなら、突き止めることができそうだな」


「まあね。でも特定できた段階で完全に肉体を手に入れられていたら、その身分を捨てて、それこそ妖(あやかし)として闇に紛れてしまう可能性も高いけどね……」


颯斗が小さくため息をついた。


「鎮守府が有能であることを願っているよ」


「伊織くん、手厳しいわね。でもそういうの、嫌いじゃないわ」


颯斗がウィンクした。


「学校は明日からどうなるのでしょうか? 今日の午後は休校になりましたが……」


私の問いに颯斗が痛いところを突かれたという顔をした。


「とりあえず体育館にいた生徒はみんな悪霊や怨霊に憑依されていた。もちろん神の力で祓われていただけど、鎮守府に併設された病院でみんな念のために検査を受けているわ。体育館はしばらく立ち入り禁止になって調査になるし、学校は明日一日休校。明後日以降は一年生と三年生は授業を再開するけど、二年生についてはまだ決まっていないわ」


「そうなのですね……」


「町での実践授業、体育館での実践授業、鎮守府主導による実践授業、このことごとくが、百目鬼(どうめき)によって滅茶苦茶にされている。もはや打つ手なしよね。どうやったら安全に実践授業を行えるか分からないわよ。あ~、星崎参事官にも後で追及されるのかと思うと胃が痛くなるわ」


「でも、今回は内部で百目鬼(どうめき)の協力者がいたんです。仕方なかったと思うのですが……。私としては颯斗さんの仕切りによる実践授業、とてもいいと思っています。事前アンケートも、デュオの代役も、得意・不得意にあわせたカリキュラムの設計も」


颯斗が立ち上がり私を後ろから抱きしめた。


「澪ちゃん、なんていい子なの。そんな風に言ってもらえて嬉しい!」


「……颯斗監察官、俺たち、そろそろ帰ってもいいですか?」


「あ、そうね。もう二時間近く経っちゃったわね。お疲れさま、ありがとうね。部屋を出たら椅子に座って待っていて。悠と陽を呼ぶから」


私と刀岐は頷き、席を立つと廊下へ出た。


颯斗は「じゃあまたね」と手を振り、会議室へ戻った。


【お知らせ】第二部が本日お昼の11時に公開されました!


『千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~【Episode2】天界大騒乱』

https://ncode.syosetu.com/n8017hs/


男主人公、魔王、溺愛、甘々、イケメン、天使、ラブコメ

ここら辺のキーワードが刺さる方、ぜひ遊びに来てください。

※第二部からゆるくR15要素ありますのでご注意ください※




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