↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心(うぶ)な恋~  作者: 一番星キラリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/50

31:なんか心拍数上がってきちゃったじゃん……

……⁉


刀岐(ときの)は素早く扉を閉めた。


突然薄暗い体育倉庫に連れ込まれ、私は訳が分からなかった。


「俺、ちょっと力を使い過ぎたから休みたい。三十分ぐらいしたら起こして」


刀岐はそう言うと私の口から手を離し、そのまま私を抱き上げた。


「え、休むって、ここで⁉」


「そう。見つかればまたどっかに連れてかれて質問攻めだ」


「で、でも、こんな場所で……」


「大丈夫。バレないようにしておいたから」


刀岐は私をマットにおろした。


「八咫兵衛(やたべい)、鈴の回復をしろ」


そう言うと私から鈴を受け取り、跳び箱の上に置いた。すると霊体化していた八咫兵衛が姿を現し「了解」と言い、跳び箱の上に降りた。


刀岐はマットに腰を下ろすとそのまま横になり私を抱き寄せた。


「な、なんで、私は別に休まなくて大丈夫なんだけど⁉」


「俺が休むのに必要なんだよ、澪が」


刀岐はそう言うと、それが当然というように私のことを腕の中に包み込んだ。


清涼感のあるミントの香りが胸の中に広がった。


「ちょっと、一緒に寝るって一度だけじゃなかったの⁉」


私は刀岐の胸板を拳で叩いた。


が。


刀岐は既に寝息を立て眠りに落ちていた。


まるで気絶するように眠りに落ちてしまった。


……それだけ力を使ったということ……?


使っている。

間違いなく使っている。

とんでもない数の神を、刀岐は一人で降臨させていたのだ。


しかも結界だっていくつも展開していたし、その前に百目鬼(どうめき)の呪いの箱も浄化していた。


疲れ切って当然だった。


私は刀岐の顔を見た。


扉の隙間から差し込む光が、刀岐(ときの)の顔を照らしていた。


少し長めの前髪が閉じられた瞼にかかっていた。

眉毛は左右対称にきちんと揃えられている。

瞼から伸びる睫毛は長く、鼻筋はすうっと通っていた。

彫の深い顔立ちだった。


……!

刀岐の唇って、女子並みに綺麗かも。

形も整っているし、艶もあるし、弾力もありそう……。

私の目に力を与える時、瞼に触れたのはこの唇なんだよね……。

ヤバい。

なんか心拍数上がってきちゃったじゃん……。


私は目をきゅっとつぶり、別のことを考えようとした。


そう、そうだ。


三十分たったら起こせ、って言われたけど、スマホもないし、絶対無理だよ。


羽音がしたので顔を上げると、八咫兵衛が降りてきた。私は小声で尋ねた。


「鈴は回復した?」


「おう。バッチリよ。今はそのまま休ませてある。それでと。コイツのことも回復させないとな」


八咫兵衛はマットの上に降りて、羽で刀岐の髪に触れた。


「……ねえ、八咫兵衛たち神使は私たちの力を回復できるけど、回復って他に手段はないの? 例えば理の守り手同士で回復とか、できない?」


「できるよ」


「本当に⁉」


「ああ。理の守り手はみんな同じ力を持っているから、本来誰でもお互いに回復できるんだ。でも、その方法が人間にとってはちょい特殊だから、やっている奴は少ない。どうしてもっていう緊急時にはやるんだろうけど。あと基本、神使がいるし、たいていの場合それで事足りるから、やらない、っていうのもあるだろうな」


刀岐の言葉がよみがえる。鎮守府の業務の八割は除霊と浄化。


さっきみたいな無茶な力の使い方をすることなんて、そうないはずだ。


「それで、もし回復するとしたらどうやるの?」


「口と口をあわせて、そこに力を送り込む」


「えっ⁉」


「ゆっくり優しく、息を送り込むように力を送り込むんだよ。そうすれば力は体内の隅々に行き渡る」


「……そ、そうなんだ」


「ああ」


八咫兵衛はそう言うと、刀岐の天柱封じのペンダントを器用にずらし、憑依に使う天柱とは反対、右側の天柱に嘴をあて、回復を始めた。


結局。


さっき、私は刀岐(ときの)が展開した防御結界にただいただけで、何もできなかった。


刀岐は私を守るためにそばにいさせた、と言っていたが……。

余計な結界に力を使わせただけで、私はやはり足手まといなんじゃ……。


刀岐の言葉がよみがえる。


「澪のことは俺のそばから離したくなかった。俺が絶対に守る。澪は俺の大切な、かけがえのないデュオだから」


無力な私に刀岐がかけてくれた言葉は、今思い出しても胸に染みた。


私に、何かできないのだろうか?


力をまったく使っていない私はこんなに元気で、刀岐は死んだように眠っている。


せめて回復でもできれば私がそばにいる意味があるのだが……。

まさか口と口で行うなんて……。


私は小さくため息をついた。


八咫兵衛みたいに天柱から回復はできないのかな。

刀岐のためにできることがないか、そんなことをひたすら考えていた。


すると。


体育倉庫は薄暗く、静かで、私は刀岐の寝息を感じていて。


気づいたら瞼が重くなり、そのまま眠ってしまった。


第二部の連載が明日、10月26日のお昼11時からスタートします。

甘々、溺愛、イケメン

そして第二部からゆるくR15要素はいりましたが

お楽しみいただけると幸いです。


『千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~【Episode2】天界大騒乱』

https://ncode.syosetu.com/n8017hs/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。