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完結●伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心(うぶ)な恋~  作者: 一番星キラリ


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28/50

28:な、なんか愛の告白みたい⁉

「刀岐(ときの) 伊織(いおり)、藤原 澪ですね。こちらへ進んでください」


結界に入ると、眼鏡をかけたツンとした感じの女性職員に声をかけられた。


こちらと言われた場所には折り畳み式の長テーブルが置かれ、そこに何かが置かれていた。


何かが、という表現になったのは、布がかけられていたからだ。


「今から、こちらの箱についた霊の浄化を行っていただきます。万が一に備え、この結界には五人の理の守り手がいるので、お二人は安心して浄化に取り組んでください。なお、用意した箱は、事前に鎮守府で調べ、レベル的に生徒の皆さんで浄化できると判断したものなので、安心してください」


「わかった」「わかりました」


刀岐と私が返事をすると、眼鏡の女性職員はかけられた布を持ち上げた。


その瞬間、鳥肌が立ち、悪寒が走った。


同時に刀岐が私の目を右手で覆い、叫んだ。


「目を閉じろ」


そして私が目を閉じている間にさらに声を挙げた。


「風術、かまいたち」


「うっ」「あうっ」「わあっ」


叫び声が起きた。


「人避け結界、て……何……?」


結界を展開しようとした刀岐の言葉がそこで止まった。


……な、何が起きているの⁉


「一つじゃない……? なるほど、他の二つにも……」


刀岐はそう呟き、落ち着いた声で告げた。


「人避け結界、展開」


さらに。


「半径五キロ圏内、有機体を回避。レベル7。完成まで五、四、三、二、一」


続けて


「特殊空間転移結界、展開」


一呼吸おいて


「移動物質、再構築。非有機体を移動。レベル10。完成まで五、四、三、二、一」


学校では習わない二つの結界を展開すると、手で私の目を覆ったまま、耳元で囁いた。


「今、半径五キロ圏内にいるすべての有機体……つまり人間や動物などが今この空間に一時的に存在しない、という状態を結界で作り出した。加えて一定の範囲の空間をコピーし、展開した結界の中に転移させた。悪霊と怨霊もこの空間に転移させた」


「悪霊と怨霊がいるの⁉」


「澪、用意されていた浄化に使う箱、それは呪いの箱だった。ただの呪いの箱じゃない。百目鬼(どうめき)による呪いの箱だ。箱には沢山の目がある。この箱の目と目を合わせると、本来の目の持ち主の悪霊や怨霊に憑依される。だから澪に目を閉じろと言った。そして呪いの箱は俺たち以外の他の二つの結界でも用意されていた。そしてその結界に入った生徒は怨霊に憑依され、箱を結界の外に持ち出した」


「それって体育館にいた生徒や鎮守府の職員がみんな憑依されたってこと……?」


とんでもない事態に私の声は震えていた。


「全員というわけではない。一部の鎮守府の職員は憑依されたが、憑依されていない職員もいる。それでもざっと百人近くが憑依されてしまった」


「でもみんな天柱封じのペンダントをつけているんじゃ……」


「百目鬼(どうめき)の呪いを使った憑依は特殊だ。天柱から憑依するのではなく、目から憑依することができるんだ。……憑依されてしまった生徒たちは、俺と澪のいる結界に転移させた」


「……!」


「俺はこれから術を使って周囲にいる百体近い悪霊や怨霊を調伏する必要がある。だから澪の目から手を離さなければならない。だがそうすれば箱からの囁(ささや)きで、澪は目を開けることになるだろう。対抗策として、澪の目に特別な力を与える。この力があれば、一時的に俺が見えている世界が見えるようになる。そして目からの憑依を防ぐことができる」


「……! 分かった」


「人避け結界の対象に澪を含めることもできた。だが、これだけ厳重に警備されたこの場所に百目鬼(どうめき)の呪いの箱が持ち込まれたということは、内部に裏切り者がいる可能性が高い。だから澪のことは俺のそばから離したくなかった。俺が絶対に守る。澪は俺の大切な、かけがえのないデュオだから」


……な、なんか愛の告白みたいに感じるのは私だけ⁉


急に心拍数が上がってきた。


刀岐は手をずらし、左目を手で覆ったままにして、閉じている右の瞼に触れた。


えっ、これって……。

瞼に触れているのは……刀岐(ときの)の唇じゃ……。


触れられた瞼に暖かさが広がった。

左目の瞼にも同じように唇で触れた。

右目の時と同じように、瞼に暖かさが広がった。


なんとも言えない甘美な気持ちが沸き起こった。


しかし。


ゆっくりと瞼を開けると、甘い気持ちは吹き飛んだ。


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