第二十九話 戦えサイファー
「それにしてもデカイ」
溶岩の化け物の近くを飛ぶ。
「山1つ分はありますね」
「溶岩を地下から吸い上げているのかな」
「そういえば動きませんね。その吸い上げの関係上動けないのかも」
「ふむ」
『ブバーーーー!』
溶岩をこちらに向かって吐き出した。
「おっと」
「あれが顔ですかね」
『ヴィオォォーーー!』
今度は溶岩でできた腕を振り回しこちらを攻撃。これも簡単にかわす。
かわしながら後ろをとった。
「後ろを取るのは簡単だ。動きが鈍い」
「ロイ様!」
前方にあったはずの顔が急に現れ溶岩をこちらに放出。これも難なくかわす。
「流石です」
「しかしコイツはどうやって倒せばいいのか」
飛び回り様子をうかがう俺達。少ししてアイがなにかに気づいた。
「あ、胸の部分に何やら巨大な球体が」
「そいつが弱点かかな」
「よし、やるか」
やつの胸元に飛び込む。
『ヴィオゥ!』
腕による攻撃をかわしふところへ。
「大回転炎はつり撃」
「ズガガガガ」
『ブォォォーーー!』
超高速回転の剣撃で胸元の溶岩を吹き飛ばした。
「巨大なオレンジ色の球体が見えた」
「破壊してしまおう」
「稲妻落下切り」
剣の振り下ろし中に変化を加える斬撃。切り口が稲妻のマークのように見えるスキル技だ。
『ヴィォォーー……』
球体を切られたマグマの化け物は次第にしぼみ、最終的には溶岩を残し消え去った。
「厄介な相手だ。この手の敵はサイファーが苦手とするタイプだな」
「そうなんですか?」
「スピード重視の機体だからな。火力重視なら一瞬で片付けられただろう」
「溶岩を弾き飛ばしたあのスキル技を連発すればなんとかなりそうでしたが」
「はっはっは。ゴリ押しは最後の手段か相手がよほど弱いときかな」
「それじゃファティアのところへ」
「はい」
『シィァーーーー!』
「ロイ様!」
上空から鳥の魔獣がサイファーを襲った。
「む」
これをかわす。
「いい不意打ちだ」
「上空にまだ数匹いますね」
「ああ」
サイファーの上を円を描くように飛び回る魔獣。鋭いくちばしに爪を有しているようだ。
動きもなかなか早い。
「単純に速さ勝負の魔獣か」
「そのようで」
「それなら」
「サイファーに負けはない」
「ズワン」
そこから急激に飛び上がるサイファー。
「シュワン」
近づき、すれ違いざまに3体を一刀両断。残り8体。
「シア!」
驚く魔獣。
「ロイ様、先程の溶岩の化け物と同様に胸元に球体が」
「ふむ?」
切られ落下していく魔獣を見る。小さい球体が胸元に。
「やつと同じタイプ? なんだろうな、ゲームではどちらも見たことがない」
「私にもわかりません」
「まあいい。とりあえず片付けてしまおう」
「はい」
「ブヒュン」
更に上空へ逃げようとした魔獣を追いかける。
「ズバン」
「シィアーー!」
上昇しながら斬りつける。そして最後の一匹。
「流れ切り」
「ィィーー……」
真っ二つ。そいつも地上へと落ちていった。
「もういないかな」
あたりを見渡す。
「そのようです」
「今度こそ帰るとするか」
俺はそこから飛びたった。
(レフトレス、ヤベー奴だな。俺の召喚獣を簡単に片付けやがった。前にドラゴンを倒したときは変わった機体だな程度の感想だったがその数倍は強いマグマゴーレムを簡単に。更に一体がドラゴン以上、更に超高機動の召喚獣「ソニックビーク」を子供をあやすように簡単に)
(今の俺じゃ逆立ちしても勝てない。まあいいさ、力をつけてから戦えばいいだけさ)
(そして最後には勝つ。この天才召喚術師シャフト様がな)
ファティアがいるところへ。
「おつかれさん。ここからでも見えたよ。化け物を倒してくれたようだね」
「ああ。だが残念だが……」
「そうか」
3日後、城の地下。
「ドラゴンは全滅、ゼラーンも全滅」
「被害は甚大。あの村はもう使えない」
「辺り一帯を溶岩が埋め尽くしていたからな」
「ただ、あそこは鉱石発掘に重要なところだったんだ。だから近くに村を作る予定」
「全く、メチャクチャなことをしてくれた」
大きなため息をつくファティア。
「ゼラーンは全滅したし、後は復興に全力を注ぐってとこだな」
「うん」
翌日、広間にドラゴンが。
「この度は申し訳なかった」
王自らドラゴンの大使に謝罪。
『いやいやもったいない言葉』
『これからも我がドラゴンの国はリンデの国と友好を続けていくことを誓おう』
「ありがとう」




