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第二十八話 ゼラーン

「それにしても」


「ああ、嫌な予感がするね。前にドラゴンが操られていたし」


「とりあえずドラゴンと一緒に合同で捜索中」


 それから一週間後。


「山中にある少々開けた場所に大きな物体を引きずった跡があったと報告が。そこはワインを運ぶワイズドラゴン達がいつも休憩場所として使っていたところらしい」


「最悪の展開か」


「暴れた様子はないとの話だ」


「奴等か?」


「可能性は高いね。あいつらならドラゴンを眠らせるなんて朝飯前だろうし」


「ただドラゴンは巨大だ。隠すのには限界があるだろう」


「となると奴等が簡単に見つかると」


「うん。もしくは準備万端か」


「ファティア様!」


 ファティアの部下が急いでいる様子で部屋の中へ。


「どした?」


「鉱山の村ラタルがゼラーンに襲撃されました!」


「なんだって!」


「ドラゴン達が村を襲ったのだとか。それから村人たちは開放されましたが村を守った魔戦機乗りたちはおそらく全滅かと」


「現在砦を建設中、魔獣も村に続々と入り込んでいるようです」


「準備万端だったか」


「しかし、まだなんか引っかかるな」


「ん~、ドラゴンが強いとはいえ10体確保しただけでここまで攻勢に出るものなのか」


「そうだな。倒すだけならなんとかなるだろうし」


「まだなにか隠しているかもしれないな」


「警戒しておいたほうがいいだろう」


「どうする? ひとっ走り俺が」


「任せた」


「相手はゼラーン。前にも話したとおり昔ながらの肉体、魔法で戦うスタイル。数は少ないと思うけど魔獣で物量をカバーしたってところかな」


「ただドラゴン達は操られていると思うけど、どうしたものか」


 呪物によるコントロール。呪物か、そういえば妖精銀は最初呪われていたっけ。お。


「妖精さんならなんとかならないか?」


「! そうか、それなら」


「それで、場所はどこです?」


「ここです」


 ファティアの部下の人が地図を出し場所を教えてくれた。


「わかりました」


「善は急げだ。行ってくる」


「やばかったら逃げてきてね」


「もちろん」


 街から出てサイファーを呼ぶ。


「いくぞアイ」


「はい」


 考えを巡らせ、ドラゴン達がなんとかなりそうでよかったな、そう思っていたが。


「なんだあれは」


『ヴィオーーー』


 村には巨大な魔獣が。その体からは溶岩が吹き出し、それが流れて村に。


「ドラゴン達は……。ダメか」


 ドラゴン達は溶岩に飲まれ絶命していた。


「いや、それどころか」


 溶岩は魔獣たちをも飲み込んでいるようだった。更に流れる溶岩から人間の手足のようなものが見えた。


「ゼラーンの人間まで?」


「そうですね、先程の話では村人たちは開放されたと。となるとその村にいる人間はゼラーンの人たちということに」


「奥の手が暴走、といったところか」


「その可能性が高いかと」




 その一時間ほど前、ラタルの村。


「ギアス大魔術師様、あなたのおかげでとうとうここまで来ました」


 ゼラーンのリーダーがローブをはおった老魔術師に話しかける。

 その顔には無数のシワ。かなりの高齢だということが伺える。


「ああ」


「まだ村1つですがこれを足がかりにしていずれはリンデを集中に」


「はは、そうだな」


「どれもこれも5000年を生きる伝説の大魔術師ギアス様のおかげです」


「いやいや、それほどでも。それよりも君たちが作った操りの術、術具はどれも素晴らしいものだな」


「いえいえ、未完成のものをギアス様完成させたのではありませんか。ほとんどあなたのおかげです」


「それから次の手はいかが致しましょう?」


「次は」


「はい」


「ない」


「はい?」


「ここでお終いだ」


「ギアス様、何を言って」


「今ある武装でリンデに勝てるわけなかろう。一応奥の手があるのは本当だがな。それがあっても勝つのは無理」


「ギアス様?」


「ちなみに俺はギアスではない」


 顔の皮膚を引き剥がしていく老魔術師。その下から20最くらいの青年の顔が。


「人間が5000年も生きるわけないだろ」


「! お前は一体!」


「あんたらの技術を得るにはこーやるのが一番手っ取り早いと思ってな」


「んで貰うもんもらったし後はあんたたちに押し付けてずらかろうって魂胆よ」


「なんだと! じゃあ今までのことは」


「あんたらに罪をなすりつけるための言わば芝居だ」


「ふざけるな!」


 怒りをあらわにするゼラーンのリーダー。


「やってしまえ!」


「おぉー!」


「ブシュ」


「ぐっ、な、何故」


 武装したゼラーンの男が、持っていた剣でゼラーンリーダーの心臓を貫いた。


「悪いな、あんた以外すでに俺の管理下だ」


「そ、そんな」


 ゼラーンメンバーの後頭部には巨大な針が。


「それからコイツが奥の手、マグマゴーレムを召喚するスイッチだ」


「ぽちっと」


「なにを!?」


「奥の手が暴走、ゼラーン全滅ってね。いいシナリオだろ?」


「き、貴様ー!!」


「あ、トドメさしておいて、なにするかわからないし」


「ザシュ」


「グ、グアー!」


「ごくろうさん。じゃあ俺はいくよ。あんたらみたいな連中が他の国にもいるんだってな。どんな技を持っているか楽しみだ」


「じゃーね」

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