第二十七話 陰謀の足音
あれから一週間。お祭り騒ぎも一段落し、いつもの生活に。
「いつもの討伐をっと」
「そいや今日はファティアに呼ばれてたな」
夕刻、お城の地下へ。
「ドラゴンがこの国へ?」
「うん。話ができるドラゴン、ワイズドラゴンがね」
「あ、なんか広間でデカイ小屋を作っているなと思ったけどソレか」
「そそ」
「お酒が気に入ったらしく毎年来てるんだ。収穫祭が終わってちょっとしたくらいにね」
「ドラゴンも好きなんだ」
「大好物だって。ワインがあるから人間と仲良くなったとか。神話の冗談らしいけど」
「ははは、確かにここのワインならドラゴンとも仲良くなれるかもな」
「どう? 見にくるー? お手伝いってかたちになるけど」
「ロイって珍しいものが好きだったよね」
「まあ。男の子なら誰しも持ってる冒険心みたいなものかな」
「?」
「コホン。見に行く」
「OK!」
「一応、お仕事の内容は?」
「初日は酒を出す係。出発時は荷に繋がっているロープをドラゴンに引っ掛けたりする係等」
一週間後、ドラゴンたちが到着。
「でかいな」
前に倒したドラゴンより一回りは大きいドラゴン達。それが10体。
「遠路はるばる、よく来てくれた」
ファティアが挨拶を。
『これはこれはファティア王女』
心にまで染み渡るような重低音の声を放つドラゴン。
『はっはっは、本当に遠いからな。疲れたがお酒のためなら』
「わはは、相変わらず好きね」
「今日一日ゆっくりしていって」
『お言葉に甘えさせてもらうよ』
『とりあえずこちらからの贈り物を』
「ありがとう」
大きな包に何やらいろいろ入っていた。
「何が入ってるんですかね」
「ん、ドラゴンの爪とか角とか鱗じゃないかな。薬になったり使い道は様々。他、ドラゴン由来のアイテムがはいってるかな」
「ほほぉ」
「じゃこちらもお酒を」
『おほー!』
酒をドラゴンの前に運ぶ。
「元気になったね!」
『これのために来たようなものだからな!』
人間と変わらないな。数時間後。
『まだまだぁ! 俺は飲めるぞぅ!』
酔っ払って眠りについたドラゴンが、鼻提灯を膨らませながら寝言を。好きだね。
翌日。
『すみません、二日酔いで。明日出発で』
次の日。
『いやいやお騒がせした』
「いいってことよー」
『今年も美味しいワインだった。王もお喜びになるだろう』
『では。また来年』
「またねー」
ドラゴン達は飛び立っていった。
その日の夜、城の地下。
「次は妖精さんだ」
「へぇ、妖精さんも酒を飲むのか」
「飲む飲む。大好物。最近、妖精さんがそのへんで寝転がってるでしょ」
「まさか」
「酔っ払った妖精さんでしたー!」
「好きなんだね」
「まあ、妖精さんの場合はお酒を国へ送るんだけどね」
「ふむ」
「ということでお仕事お疲れ様!」
翌日、ギルドへ。なかに入ると受付の個に呼び止められた。
「ロイ様、妖精銀の配当金が来てます」
「あ、はい」
配当金は断ったんだけど、俺だけ配当金を貰わないのはおかしいってことで結局貰うことに。
(妖精銀まで融通してもらってるんだよな。なんだか悪いな)
「こちらになります、よいしょ」
「ズシャ」
重そうにお金の袋を置く受付の子。
「ぬお、凄い額だ」
ということで。
「魔戦機屋へGO!」
「お、はやいじゃないか。この前オール金になったばかりだろ」
「臨時収入がね、がっぽりと」
「妖精銀はお前らのところか」
「耳が早いっすね」
「はは、商売やってるとな、どうしても。情報は大事よ」
「んでどうする?」
「ボディミスリル、脚ミスリルに! スタンダードね!」
「あいよ!」
「ミスリルか。俺もここまでは来たな」
「そいやおやじさんも元魔戦機乗りだったね」
「そうだ。ミスリルまでだがな」
「ここまで来ると色々付き合いがあるだろ? それでかなり儲かる話ってのを聞きつけてな、この仕事に」
「ふむ。ミスリルくらいで分岐点が来るって言いますもんね」
「嫁にも言われてたからな。魔戦機はそろそろやめてって」
「昔より安全とはいえ稀に死にますからね」
「そう」
それから2週間。ファティアに呼ばれてお城の地下へ。
「どうしたんだ?」
「ワインを運んでいるワイズドラゴン達がまだドラゴンの国に来てないらしい」
「あれから2週間か」
「飛んで3日くらい。だからもうついてるはずなんだけどね」




