第二十六話 ワイン祭り
今日は休暇。とりあえずギルドへ。
仲のいいベテラン冒険者をみつけ、お話を。
「最近、街中がぶどうの香りに包まれてますね」
「ああ、ぶどう収穫が始まって、同時に加工も行われているからな」
「今年も壮大な祭りが開催されるぞ」
「ははは、楽しみです」
「来週からは祭りの準備、そして振る舞い酒が始まる」
「そこはやっぱりワインを?」
「大昔はワインがメインだったんだらしいがいまは何でもありだ。エールに蜂蜜酒に果実酒に。なんでもあるよ」
「ふむ。葡萄の香りに混じって他の果実の匂いもたまにしますしね」
「ははは、なかなか鼻がいいじゃないか」
「振る舞い酒の準備はもう始まってるんじゃないかな。公園で。暇なら見に行ってみるといい」
さっそく公園へ。
「うおー、でっかい樽を作ってんな」
2階建ての家くらいの大きさの樽が2個ほど。現在は3つ目を作っている感じか。
「ワハハ、でっかい樽じゃろ」
「でかいですねぇ」
酔っ払いのおじいさんが話しかけてきた。
「これをあと8つ、合計10個作るわけじゃな」
「へぇ」
「それがなんと飲み放題になるのじゃ!」
「そいつは凄い」
「人々が世界中から酒を飲みにこの国へ来るぞ」
「ほぉ」
「流石に1日だけじゃながな」
公園を離れ街を散策。
(ぶどうの収穫を見に行ってみては?)
(おお、そいつはいいアイデアだ。さっそく)
馬車に乗り果樹園へ。
「近づくにつれ、ぶどうの香りが強烈に」
果樹園に到着。たくさんの人がぶどうをとっている。次にワインを作っているところへ。その場を見せてもらった。
「収穫後選果。それを破砕します。あそこで下着姿の人達がぶどうを潰しているのが破砕になります」
「破砕が終わったものを発酵させます」
「発酵したぶどうを樽に入れ、それを圧搾機で押しつぶしています」
手動の圧搾機でぶどうを押しつぶしている。下には大量のジュースが。
「この後樽にジュースを入れてワインになるわけです。場所によって色々な作り方があります。その違いを見るのも楽しいですよ」
「よくワインを飲むんで一度見ておきたかったんですよね」
一週間後。公園で振る舞い酒が。
「とんでもない数の人だ」
公園に入り切らないほどの人人人。
(世界中って話でしたからね)
「とりあえず並ぶか」
人は多いが流れがいいため案外早くワインが手に入る。
「どうぞ」
ぐびっとあおる。
「あー、うまい」
「おかわりの際はその木製ジョッキをお使いください。捨てないでくださいねー」
おかわりのために並ぶ。
「いいな。毎日こんな感じで生活したい」
(それはちょっと)
他の場所へ。ここではいろいろな果実酒を振る舞っているようだ。
「おーし、全種制覇するぞ!」
翌日はお祭り本番。
一際大きな会場でファティアが挨拶を。
「みなさ~ん! 楽しんでいってください!」
「うおー!」
「飲むぞー!」
「昨日飲んだけど今日も!」
「盛り上がってるな」
(ファティア様、ナーラ様はお忙しくてご一緒できないのは寂しいところですね)
「仕方ないな。彼女らは国の要人だからな」
(で、でも、私がいますから寂しい思いはさせませんよ!)
「ハハ、そうか。ありがとう」
(ハイ!)
色々見て回る。
ワインの噴水に、ワインの滝。
「真っ赤だな。どちらも実際のワインは使用していないようだが」
「ボエー」
あっちでは歌のコンテストか。
お酒を飲みまくり、気がついたらもう夕刻。
「晩御飯を食べるか」
適当なお店に入りワイン、チーズ、サラミを頼む。
「ふぃー、これらはやっぱりワインに合う」
お次はトマトソースのパスタ。
「合うわー、ワインと合うわー」
そして。
「締めはやっぱり」
お肉を注文。
「ふぉー、血が滴りそうなお肉にワイン。最高だわー」
お祭りを堪能し宿屋へ。そして翌日。
今日からはいつもの朝が。
「あーあたまいた」
二日酔いでスタート。
「うぃー、仕事どころじゃねえ」
ギルドに行くとテーブルで突っ伏した冒険者が多数。
「おはようございます、あいた、つつつ」
受付の人も二日酔いか。
そもそも人が少ない。
「祭りの翌日は開店休業よ。緊急用に一応入れるようになっているがな」
よく見ると掲示板に依頼書が一つも貼ってない。
「それじゃ俺も」
宿屋へ帰り、もう一眠り。二日酔いがなくなったのは次の日になってからだった。




