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第二十五話 オークション戦

「んー、お金ないし」


「出世払いで構わないよ。それに当然オークションで落札した金額、全額をロイに払えってわけじゃないし」


「流石にはやいかなぁ、トラブル物件てのも」


「そそ、どのみち人気ないのよね。だから寝かせるわけ。そうなると後々ほしいって人向けなのよ」


「ふーむ」


(これは買ってもらったほうがいいかもしれませんね。周りの反応を見るになかなか入手できるものではなさそうですし)


(そうするかぁ)


「それじゃあお願いしようかな」


「わかったわ」


(それよりもすでに手に入る前提で話が動いているのが少し怖いが)


(この国最強のお金持ちですからね、ナーラさん)


 それから一週間後。ナーラに呼び出されナーラ邸へ。


「明日はいよいよオークションね」


「妖精銀の解呪はもう終わったのかな?」


「とっくに終わって会場に持ち込まれているようよ」


「ふむ」


「それから付き人というかたちでついてきて。ロイのものになるわけだから実際オークションの場面も見ておきたいでしょ?」


「それはそうだな」


「やあ、ロイさん、お久しぶり」


「ああ、弟さんのミッドさんだね。お久しぶりです」


「ははは、ミッドと呼んでください。それから普通にお話ください。あ、私はいつもこんな話し方なのでお気になさらず」


「わかった」


「ミッドもいくんだっけ?」


「アドバイザーとして」


「困ったときはだいたいミッドに聞いてるのよ」


「ほほぉ、ブレインか」


「そんなところです」


 その後料理を食べ帰宅。


「では明日」


「またね」


「ふふ、作戦通り進んでいるようだね、姉さん」


「べ、別に作戦てほどでも。後々必要になるのは確かだから」


「買ってもらった物品がうちにあるからしばらくはこちらが気になるだろうね」


「それにただ便利な女だと思わせるのは良くない。姉さんの堂々としたかっこいいところを見せて相手を惚れさせるってのは大事だよ」


「そ、それはそうね。いや、そうじゃないけど」


「はぁ~、ロイさんのことになるとなんでこんなにポンコツに」


「ポンコツって!」


 翌日、オークション会場へ。


「いらっしゃいませ、ナーラ様」


 会場にいる人たちは皆、良いお召し物を。お金持ってそうだな。


(来た、ナーラだ)


 周りがざわめき出した。


(今日はどんな戦いを見せてくれるのか)


「なんだか人気みたいだね」


「はは、姉さんは今まで負けたことがなくてね」


「すごいね」


「この前なんか少額上乗せ合戦にあえて乗り、相手が涙目になっても即釣り上げて最後は泡を吹きながら倒れちゃって失神KOだったね」


 こわいな!


「それだけじゃ私が悪者みたいじゃない。あれは相手が挑発してきたからでしょ」


 その後、続々とオークション会場に人が。


(む、あの方は)


(アルタイ家のご子息、ネヴォン様!)


 ナーラが来たとき以上に周りがざわついた。


(有名な人なの?)


(有名も有名。アルタイ家は貴族で、我が国の最上位クラスの豪族でもあります)


(確かに、すごく高そうな服を着てるね)


(はい、彼もお金持ちですよ)


「君がナーラか。噂は聞いているよ。お手柔らかに頼む」


「いえいえこちらこそ」


 丁寧に挨拶をするナーラ。俺達も挨拶を。


「さて、時間まで待つとしよう」


 ナーラの隣に座るネヴォン。


(ハァー、妖精銀奪取計画、失敗に終わるとはな。裏を牛耳るための勉強としてやってみたけどまさかあそこまでひどい状況になるとは)


(人は殺すわ、他国に逃げないわで少し焦ったぞ。裏はほとぼりがさめるまで手は出せないな)


(まあその間、表の顔ナーラを攻略していけばいいか。倒してからのんびり裏も牛耳ればいい)


「これよりオークションを開催します!」


 しばらくして妖精銀の出品が。


「5000万からスタートです!」


(相場は1億。一撃で勝負を決めるとしよう)


「3億」


「さ、3億!? 他には!?」


(決まってしまったかな。しばらく活動できなくなるくらいの出費だが俺の力を見せるには丁度いいか)


(す、すごいね。3億だって。1億あれば一生遊んで暮らせる金額だってのに!)


 心臓が口から飛び出しそうなくらい驚いた。ネヴォンさんはしてやったりのドヤ顔。そらそうなるよね。


(一気に決めに来ましたね)


「どうですか? 現在3億!」


(そう、はじめからこうしておけばよかった。裏なんざ後でどうとでもなるだろうしな)


(前哨戦は楽勝。そしてこのあとも勝ち続け、遂には俺の時代が来るのだ、ワーッハッハッハ!)


「10億」


 ナーラが提示。


「10……1億ですか?」


「10億」


「じゅ、10億!」


 俺とネヴォンさんは顔面蒼白に。


「ちょっと! それはいくらなんでも!」


「そうだよ! 相場は1億くらいだよ!?」


 俺とネヴォンさんで必死に説得。


「10億」


 一歩も引かないナーラ。


「10億! 10億で決定しました!!」


「この4つあとにも欲しい物があったわね」


「あ、うん」


(姉さん、ライバルを倒したのはいいけどロイさんも倒しちゃった気が……)


(表、牛耳るのは無理かも……)

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