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Bランククエスト

 王都にヒラタが来て一ヶ月が経った今、ヒラタは死にかけていた!


「ハ、ハラヘッタ。」


「ペンンン............。」


 餓死寸前のスケルトンのような体をしている彼がヒラタ・イヨウであり、その上で飛んでいる細長い鳥がペン太だ。ちなみにペン太は元々まん丸である。


「シヌ、シヌ、ハラヘッタ。」


「ペンンン............。」


 ゾンビのような動きで冒険者ギルドに入っていく。

 中にいた冒険者達は一瞥するも気にせず酒を飲み始める。


「セザンス............コレ............。」


「依頼品のフダリダラの蜜とハウンドの死体ザンスね。確かに受け取ったザンス。」


 残念ながらヒラタには蜜を花から抽出する技術もハウンドの死体を解体する技術もない。そのためポーチに花を詰め込みハウンドの死体は背負ってきた。

 ハウンドの死体をカウンターに置き、ポーチからフダリダラの花を全て出す。


「依頼されていたフダリダラの蜜が銅貨三枚でハウンドの死体が銅貨一枚。計銅貨四枚になるザンス。」


 そう言われて渡された銅貨四枚。

 ヒラタは涙を浮かべた。


 朝っぱらからグーグーうるさい腹を黙らせ、近所の森まで花を探しに行き、弱っているハウンドをなんとか倒して得た報酬がたったの銅貨四枚。時給銅貨一枚とかブラック企業もびっくらぽんである。


「ア............。」


「それにしてもそろそろ何か食べた方が良いと思うザンスよ。それじゃあ体力が落ちて勝てるモンスターにも勝てないザンス。」


 実はヒラタには貯金がある。銅貨九枚の貯金が。今の所持金銅貨四枚と合わせると銅貨十三枚。銀貨一枚と銅貨三枚だ。そのため、食事が全くできない訳ではない。



 だがこの男、ヒラタ・イヨウはケチだった!



 自分で稼いだお金は何が何でも大切に使いたいと思っていたので、我慢できるものはとことん我慢するつもりであった!


「ア............。」


 ヒラタはそう言うとゾンビのように冒険者ギルドから出て行った。



 冒険者ギルドを出るとすぐに広場に行ける道に繋がっている。

 昼間で人は少ないので、スイスイと広場に向かう。広場には噴水があった。とっても綺麗な噴水だ。当然水も綺麗だ。ならばケチなヒラタがする事は一つ。


「ア............ミズ............んくっんくっんくっプハー!生き返ったぜ!」


 俺復活!水さえあれば飢えを凌げるぜ流石俺!


「んくっんくっんくっプハー!ペン!」


 ペン太も生気を取り戻したようだ。鳥だけに。

 まだ細いけど、これでフリーズンも使えるだろう。


 俺の炎球(ファイヤボール)もちゃんと使える。毎日路地裏で鍛練してたから今では複数個同時に出せるようにもなった。これでリボルバーのように連続でぶちかませるようになったぜ。


「よし、次はモンスターギルドに行くか。今日こそ依頼無いかなぁ?」


「ペンー。今日こそモンスターギルドでご飯食べたいポサ。」


 俺もちゃんとした報酬のあるデカイ依頼があればこの貯金も使うんだけどなぁ。無闇に使う事だけは避けたいし。


 という訳でモンスターギルドに向かうヒラタとペン太。しかし歩いている間にも腹は減っていく。足に力が入らなくなってきており、わりと末期だ。

 この前より移動に時間が掛かるようになってしまっていた。


 なので何分か何十分か掛けてヒラタとペン太はモンスターギルドに着いた。


「ルーンさん、いますか~?」


「はいはーい。あ、ヒラタっちじゃん。待ってたよ。」


 待ってた?俺を?ま、まさか!


「ごめん、俺ルーンさんの気持ちに気付けなくて............。ラノベ読んでて鈍感系主人公とかいないだろって思ってたけど、俺もそうだったんだね。」


「何訳の分からない事言ってんのさ。依頼だよ、依頼。ちゃんとしたの取ってきたの。」


「えええマジで!」


「マジ!ただヒラタっちのランクじゃ難しい依頼だから、そこだけが心配かな。」


「と、とりあえず見せて。」


 ヒラタはおぼつかない足取りで依頼掲示板まで寄った。


「なになに?トロールの討伐。Bランク。東の森に住み着いたトロルどもを統率するトロールを討伐してほしい。依頼料は............銀貨九枚!?」


「ふっふーん、頑張って取ったんだよアタシ。」


 す、すげえ依頼だ。この一ヶ月で依頼をこなしまくったので俺のランクは今Dだ。Bランクの依頼は普通受けられない。だけど冒険者ギルドじゃない別のギルドで許可が降りれば受ける事が出来る。チャンスだ。銀貨九枚もあれば食いっぱぐれないぜ。


「受けます!受けさせて下さい!」


「ふっふーん、そう言うと思ったよ。すぐ手続きしてくるから待ってて。あ、ご飯食べる?」


「食べます!」


「ご飯だペン!?待ってたペン!」


 よっしゃあ!久方ぶりの飯じゃあ!


 しばらくするとルーンさん特製肉とパンと謎野菜スープがやってきた。

 もちろんペン太も同じメニューだ。


 久しぶりのマトモな飯を貪るように食べること数分。


「ふいー、腹一杯............ではないけど十分食べたぞ。」


「今日はぐっすり眠れそうだポサ。」


 ヒラタ達が食後の余韻に浸っているとルーンさんがやってきた。


「申請してきたよ。すぐに手配された馬車で向かうようになるよ。」


「えっ、すぐ行くの?」


「冒険者に休みは無いからねぇ。」


 oh、no、ブラック企業。

 しかし生きるためなら仕方ない!


「じゃあ行ってきますルーンさん。」


「行ってら。大切な事は渡した依頼状に書いてあるから。くれぐれも死なないでね~。」


 軽く言ってくるけどそうか、死ぬかもしれないんだよな。トロールの討伐とか初めてだからどうなるか全く分からない。まぁSランクのスケルトンと戦った事もあるから大丈夫だとは思うけど、油断は禁物だからなぁ。


 依頼状を持ってモンスターギルドの扉を閉めたヒラタ。冒険者という名に恥じぬ冒険が、彼を待っている。


 ■□■□


「ここら辺のはずなんだよなぁ。馬車って言ってもたくさんあるからどれか分からないぜ。」


 王都の東端には馬車を管理する場所がある。

 ヒラタは今そこに来ていた。


「あ、あのイライラしてる人じゃないかっペン。まるで誰か遅刻してる人を待っているようだっポサ。」


 あー、あれか。確かに遅刻してる人を待ってそうだな。もしかしたらあれかもしれない。俺一時間くらい遅刻してるからな。


 そう、このヒラタはモンスターギルドを出てから()()()を買っていたので一時間ほど遅れてしまっていたのだ。


「依頼状に書いてあるな。馬車のナンバーは............あ、合ってる。あれだ。」


 馬車に付いているナンバーと依頼状に書いてあるナンバーは合致した。


「おーい!来ましたー!」


 俺が手を振りながら小走りに走っていくと、俺に気づいた騎手が肩を震わせながらなんか投げてきた。


 空気を裂くような音を出しながらその何かは俺に迫ってくる。

 俺は咄嗟に木刀でガードする。手に伝わってくる衝撃には殺気を感じた。


「ブ、ブーメラン............!」


 そう、俺が受け止めたのはブーメラン。こちらも木製だ。しかもこの形、戻ってくるように空気抵抗を考えられていない。


「聞いた事があるぜ。狩猟用のブーメランは威力が強すぎるから戻ってこないらしい。このブーメランはその類いだ。」


 ブーメランを後ろに受け流して炎球(ファイヤボール)の構えを取る。


「一体何をするんだ!」


「それはこちらの台詞だ!一時間も遅刻しておいて良くもまぁのうのうと!」


 えー、そんな怒るー?


「遅刻した事は謝るよ。すまなかった。」


 俺が謝ると騎手は唸った。良く見るとその右手には二投目のブーメランが。もしかしたらこの人、謝らなかったらマジで殺す気でやってたんじゃないかな。


「ぐぐぐぐ、ええい!良いから早く乗れ!一時間分早く着いて早く終わらせろよ!」


 やったぜ。何とか乗せて貰えるらしい。良かった、良かった。


 馬車に乗り込む。リヴァイアサンが持っていた馬車に比べればボロっちいが我慢しよう。タダで乗せて貰える訳だしな。


 それにしてもこの騎手の人、随分若いな。俺の肉体はせいぜい十代後半。この騎手も俺と同年代に見える。背も低いし、この人大丈夫かなぁ?


「そう言えばペン太、前にペン太は馬って言葉を知らないって言ってたよな。でもルーンさんとか普通に馬車って言ってるのは何でだ?」


「知るかポサ。きっとこの馬って名前は人間の間だけで使われているんだっポサ。」


 いやペン太が他のモンスターと交流する機会無かっただろ。強いて言うならグッさんともぐゾンさんか。いやぁ、元気にしてるかなぁ?


「ほう、その梟はペン太というの名前なのか。モンスターテイマーはモンスターと会話できると聞いたが、どうやら本当のようだな。貴様、名は?」


「あ、えーと。」


「いや、聞くまい!」


「聞かないんかい!」


 少々荒ぶる馬をなだめながら、騎手の人は話し掛けてきた。

 ただどうもテンション高いなこの人。


「貴様の呼び方など貴様だけで足りるからな。だがお前はちゃんと俺を名前で呼べ。良いか?我が名は堕天使ルシファー!今はしがない商人だがいつしか世界を支配する男だ!」


「は?」











「は?」


「いや言い直すなよ!だから、ルシファー!ルシファー様と呼べ!」


「は?」


「おいおい、難聴か?ル・シ・フ・ァ・ー!はいご一緒にせーの!」


「は?」


「なんだぁ、もう一回俺のブーメランを食らいたいか?」


「はぁ。」


「なんだその諦めたようなため息は!」


 こいつ............厨二病だ。心の病を患っていらっしゃる。

 可哀想に。現代の医学では直す事は出来ません。


「あーはいはい、ルシファーくん(笑)ね。」


「あ!お前笑っただろ!お前今笑っただろ!」


「はいはい分かったから早く行こうぜ、夜が明けちまうぞルシファーくん(笑)」


「こ、こ、こいつー!」

祝!三周年!

わーわーひゅーひゅー!

祝!五十話!

わーわーひゅーひゅー!


いやぁ、めでたい!去年五話しか投稿してないけど。

毎年正月が終わると「もうこんな時期か」と急いで執筆したりします。

しかも今回は五十話記念でもあります!

実は書き貯めていたやつを惜しげもなく投稿して合わせました!

三周年+五十話記念。なんて素晴らしい日でしょうか。

少し話がズレますが、去年はカクヨムデビューも果たしました。

カクヨムでは主にショートショートを投稿してまして、新たな作家仲間とも出会えたりしました。「人の移ろいは桜」とは良く言ったもので、まさにその通りだと思います。オイラは出会いも別れも大切にしていきたいと思います。


では改めまして、いつも読んで下さる皆様並びにここまで読んで下さった皆様、誠にありがとうございます。オイラもヒラタもこれから精進していきますので、どうぞよろしくお願いします!

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