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砂漠

「じゃ、行ってくるよ村長さん。」


 馬車に乗り込みながら最後の挨拶を交わす。

 ペン太も俺に続いて馬車に乗る。



「行ってくるのだ冒険者。そして、いつか戻ってくるがよい。」



 あっはっは。

 時間があったらね。



「ハッハッハ!気を付けなよ。王都は危険で安全な場所だからね!」


 いやどっちだよ。

 ていうかこの人、王都に行った事無いんじゃなかったっけ?


 まぁいいや。



「頑張ってくるよ。そうそう、門番のおっちゃんにもよろしくね。」



 村長さんは微笑みながら頷いた。


 これで心置きなく王都へ行ける。


 いやーやっとか。

 この世界に来て大体一ヶ月半かな。


 やっとこの世界の中心的存在、王都へ行ける。




「では、乗りましたかな?皆様。」


「あぁ、もう出発してくれ。」



 馬車を操る爺やに合図を送るリヴァイアさん。

 召し使いかなにかな?




「ハイヤー!」



 そんな場違いな掛け声と共にパシンという音が鳴る。

 馬を鞭で叩いた音だ。

 馬は嘶き、走り出す。


 それに釣られて馬車もゆっくり動き出す。


 どうやら、馬車は俺が通った門とは違う場所から出入りするらしく、馬車は王都があると思われる方角に進む。


 さらば、バラー村。






 こうして俺はバラー村に別れを告げた。




 さぁて、王都へは大体一日位で着くって言ってたし、のんびり休みますかね。


 隣に座っているリヴァイアさんに一応聞いておく。



「あのーとりあえず寝ときたいので着いたら起こしてもらっていいですか?」


「いいとも。」



 そう頷いてくれたので俺は安心して寝る事にした。

 時間はまだ夕方位だが、夜はどうやら移動出来ないらしいし、見張りもいるだろうから、今の内におやすみー。



 ペン太も俺の膝で寝ている。



「スペペペペペーン、スペペペペペーン。」



 ふぅわぁ。

 なんだかあくびが出てきたぞ。



 俺は目を閉じて眠りについた。




■□■□



「――――て、――――るんだ――――君。」


 うーんむにゃむにゃ。まだ眠い~後二時間寝かせて~。




「起!き!る!ん!だ!ヒ!ラ!タ!君!」


 うわぁ!

 ここどこだ!馬車だ!

 事態を把握せよ事態を把握せよ。

 何事だ何事だ!



「やっと起きたねヒラタ君。」



 あ、おはようございます。リヴァイアさん。

 ところでなんで急に起こしたりして............?



「とりあえず、外を見てみるといい。」


 リヴァイアさんに言われたので、寝ぼけ眼で馬車から外を見てみる。







「うわぁ!」



 外は夜。


 だがただの夜ではない。


 ここは砂漠だったのだ。



 周りには建物どころか、まともに草木も生えていない。

 さらに驚きなのが、空である。


 普通、地球なら満天の星空が見られるだろう。


 しかし、この世界ではどうやら違うようだ。






 空にはオーロラみたいな光の帯が掛かっており、光る謎の生物がたくさん行ったり来たりしている。まるでUFO。



「すごい。なんですか?あれ。」



 リヴァイアさんに聞くと少々微妙な表情で口を開いた。



「やはり、そうか。」



 頭の上にハテナマークが浮かぶ。



「君、転生者だね?」


 ギクゥ!



「なな、なななな何の事でででしょうかかかかか?」


「フフ。大丈夫だ。転生者だったからといって対応が変わるわけじゃないさ。」



 は、はぁ。そうですか。

 まぁバレてしまっては仕方ない。

 正体を明かそう。



「実は俺、転生者なんです。転生者といっても、元の体じゃなくて、なんか憑依に近い感じなんです。」



 リヴァイアさんは俺の告白には対して興味を示さなかった。



「まぁ、最近は特に転生者が多いからね。別段、珍しい者でもないよ。」



 最近多いのか転生者。


 会えるかな?他のやつらに。



「まぁ、それであの光っている奴らはモンスターだよ。夜は焔では無く光帯が現れるんだ。そこら辺の仕組みは割愛させてもらうよ。」




 光帯............光帯か。

 覚えたぞ。


 それにしても、焔って太陽モドキの事だよな。

 やっぱり、世界が違うと名前って変わるもんなんだな。



「ところで、なんで突然砂漠に?」



 バラー村から王都へ行くのに砂漠を通らなきゃ行けないのか?



「実は予定より遅くなってしまってね。近道のために砂漠を突っ切る事にしたのだけれど、見ての通り、夜が来てしまってね。」


「夜の移動は危険だから、とりあえずここで夜を過ごそうって事ですね。」



 そうだよ。と肯定。


 でも俺、起きる必要あったか?



「そして、夜の間、モンスターからこの馬車を守らなければならない。それを手伝ってもらおうと思ってね。」



 ほうほう。そういう事ですか。

 ん?でも。



「モンスターなんて見当たりませんよ?」



 そうなのだ。

 外の風景を見てもモンスターなんて見当たらない。



「フフ。すぐに分かるよ。」



 そんな意味ありげな笑みを浮かべて俺を外に出した。

 とりあえずペン太を起こす。


 寝ぼけ眼で馬車から出てくるペン太とリヴァイアさんを見ながら、改めて周りを見渡す。やっぱり、モンスターなんていない。


 まぁ、危険だから出てきて欲しくは無いんだけどな。


 それにしても、砂漠の夜は寒いなぁ。



 ブルブル。


 あーなんかトイレ行きたくなってきたな。

 王都まで我慢するかぁ。



「おっと、お出ましだよ。」



 ん?お出まし?


 そんな疑問を口にしようとした瞬間、



 ドシャァァァ!と目の前に水柱ならぬ砂柱が発生した。



「うわぁ!」



 顔に砂が掛かる。



「目に、目に砂がぁ!」


「落ち着くペンヒラタ!モンスターだペン!」



 ななにぃ!

 モ、モモモンスターだとぅ?



 目をごしごしして目の前を見ると、砂柱が無くなり、大人よりひとふた回り大きなサソリが現れた。



「な!な、なんだこいつぅ!」


「ジャイアントサソリだね。Cランクのモンスターさ。」



 まじか。

 デケェ。デケェぞ。

 つうかCランクってもぐゾンさんと同じランクだよな。

 サイズが違い過ぎるだろ。



「夜は彼らの時間だよ。しかし、弱ったね。囲まれた。」



 なんだって!


 周りを見てみると、同じサソリが、一............二............


 四匹!


 四匹も居やがる。

 しかも、馬車をぐるりと囲っている。

 逃がさないぞって事かよ。



「四匹か。丁度良い。一人一匹で行けるじゃないか。」


 

 まじでか。一人一匹。


 俺は基本ペン太との連携で戦うから一人はきついなぁ。

 ていうかペン太は一匹で戦えるのか?




 ん?ちょっと待てよ?


 俺と、ペン太とリヴァイアさん。

 数が合わなくないか?



「では坊っちゃん。私も戦いましょう。」



 そう言って、馬を操る爺やさんが槍のような長い得物を持って降りてきた。


 おぉう。あんたも戦うのかよ。



「フフ。坊っちゃんは止めてくれ、爺や。だが、今回は頼りにしてるよ。」



 リヴァイアさんが頼りにするって事はすごい強いんだろうなこの人も。



 俺達が喋っている間もジャイアントサソリ達はジリジリと距離を詰めて来る。



「さぁ、皆、行くよ。」



 一人ずつ、一番近いサソリに向かって臨戦態勢を取る。





 リヴァイアさんは右手から水の魔法を出し



 爺やは得物を両手で威嚇するように綺麗に振り回す。



 ペン太は嘴から冷気を覗かせ



 俺は木刀を肩に乗せ、炎球(ファイヤボール)を左手から出す。








 さぁ!戦いだ!

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