ハウンド討伐へ
「おっはよ~!」
元気に部屋のドアを開ける。
久しぶりにぐっすり眠れたぞ!
いやー良かった良かった。
ペン太も目を擦りながらついてくる。
「おぉ、起きたか冒険者。」
いやだから俺まだ冒険者じゃ無いんだよ村長さん。
とりあえず、おはようございます。
「朝飯いるじゃろ?用意してあるぞ。」
あ、飯忘れてた。
昨日は結局何も食べずに寝てたな。
あれだよな。腹って減りすぎると逆に何も感じなくなるよな。
「とりあえず、朝ご飯だ~。」
呑気じゃのうと言いながら、村長さんはしっかり用意してくれた。
パン、野菜のスープ、以上。
水ありますか?と水を要求。
朝は喉が痛くて。
水道が通っているのか、どこかからすぐに水を持ってきてくれた。
受け取って一気に飲む。
多少、喉が痛むが渇きは癒えた。
「ありがとうございます。」
「よい。それより、そこのモンスターは何を食うんじゃ?モンスターテイマーからモンスターの飯については全く聞いておらんでな。」
う~ん。
ペン太は普段は魔石を食うんだが、そんなものはなさそうだしなぁ。
「う~ん。肉が食いたいペ~ン。」
寝ぼけ眼を擦りながら贅沢言っていやがる。
「うん?ペンポサポサペ~ン?こいつは何を言っておるんじゃ?」
当然、ペン太の言葉はテイマーにしか分からない。
ペン太は人間の言葉が分かるのにな。
「あ~............肉が食いたいペ~ンって言ってます。」
肉があるもんなら俺だって食いたいよ。全く。
「ハウンドの肉ならあるぞ。」
あるんかい!
「俺も食いたいです!」
すると、村長さんは何故か驚いたような顔になったが、何も言わずに行ってしまった。はて?
とりあえず、スープでも飲んどこう。いただきます。
うん、うまい。肉は入ってないが、野菜っぽいやつがなかなかうまい。
人参みたいな何かよく分からない野菜は人参みたいな何かよく分からない味がする。ブロッコリーみたいな何かよく分からない野菜はブロッコリーみたいな何かよく分からない食感だ。
そして、じゃがいもみたいな何かよく分からない野菜は.........いや普通にじゃがいもじゃねぇか!じゃがいもみたいな味でじゃがいもみたいな食感はただのじゃがいもじゃねぇか!
なんて異世界の野菜について考えていると、村長さんが戻ってきた。
「ハウンドの肉の燻製じゃ。一応、二つ持ってきたんじゃが。」
なんだか渋っている。
よく分からないが、ハウンドの燻製を頂く。
う~ん。匂いはあれだな。多少臭みがある。
まぁ食べられないことは無いだろう!
一つをペン太に渡すと、少し寝ぼけながらも、口にする。
すると、一気にシャキッとした。
「ひ、久しぶりの食べ物ペン!肉だポサ!」
どうやらやっと覚醒したみたいで、ハウンドの肉を手?で持ってガツガツと食っている。うまそうだな。俺も食おう。
ペン太に毒味をさせた所で、いっただっきまーす!
ガブっと食らいつく。
その瞬間口の中にはハウンドの燻製肉のうま味が............!
「まっず!!!!」
一気にぺっと吐き出す。
いやまずいまずいまずいまずい。
異世界で一番まずいぞこれ。
「なんじゃ。お主、知らんのか?ハウンドの肉はモンスターや動物の餌にしかならんぞ。」
なwぜw食wわwせwたw
つうかよくあんな物食えるなペン太は。
「知っていて持ってこさせたのかと思ったぞ。仮にもテイマーなら、その位知っておくべきじゃ。」
入門書には書いてなかったです。
「それにしても............そのペン太とやらは肉食だったのじゃな。」
ハウンドの燻製肉を食いつくしたペン太が満足そうに
「ペンは雑食だから野菜も食べられるペン!」
と答えた。
「やっぱり、モンスターの言葉はわからんのう。」
ははは。俺もなんでモンスターの言葉が分かるのか分かりません。
パンを貪りながら、村長に聞く。
「そう言えば、ハウンドって............え~と十匹でしたよね。討伐した証とか持ってこなくても良いんですか?」
パンはそんなに不味くない。
水分、奪われるけど。
「昨日も言ったが、何もいらん。そこら辺は大丈夫じゃ。」
と言って、少し間が空く。
「森は見ておる。」
はて?森は見ておる?どういうこっちゃ?
「とにかく、期限は今日の夕方まで。今日の夜にはここを出るらしいからな。それまでに、ハウンド十匹を狩ってくるのじゃ!」
は~い。
とりあえず、パンを全て食べた。
ごちそうさま。
「そんじゃ、行ってくるよ。」
そう言って出ていこうとすると
「お主、武器やらなんやら、忘れとるぞ。」
あ、そうだったぁ。
■□■□
「喰らえ!グッさん流剣技!居合!」
言い放った直後、体が高速で動き、ハウンドをすれ違いざま切りつける。
固い物を殴った時のような音と共に、ハウンドが数メートル飛ぶ。
いや、そんなに飛んでないか?まぁいいや。
地面に叩きつけられたハウンドは、そのまま起き上がる事なく息絶えた。
「いやー、多分生まれてはじめてVRMMORPGをやっていて良かったって思ったぞ。やってなかったら、生物を殺すことに抵抗があっただろうからな。」
まぁ、どっちかっていうと、VRは好きじゃ無いんだけどな。
ま~とにかく。
「やっと三匹目ペンね。」
三匹目。
まだ三匹なのか。
はぁ~。
もっと効率よく倒す方法は無いかな。
というのも、この森ハウンドなんてほとんどいない。
そりゃ、歩くたびにわんさか出てきたら、めんどくさいけどさ。
という訳で、少々危険だが、一策。
「ここにたくさんの落ち葉やら木の枝やらがあります。」
「あるペンね。森だからポサ。」
「それらを集めます。たくさん。」
せっせと落ち葉やらを集める。
隣でペン太が頭に?を浮かべているぞ。
「集めました。」
「集めたペンね。」
「ここに俺のスキル、炎球で炎をつけます。」
右手からボォ!と炎球を放つ。
火が燃え移り、すぐに煙が出始めた。
「危なくなったら、消火頼むぞペン太。」
「ペン!?一体何をするつもりポサ!?」
ペン太を尻目に、ポーチからあるアイテムを出す。
てれてれ~!
ハウンドの肉~(今日の朝ごはんの残り)
こいつを焼きます。
実は、ペン太の非常食にと一つ頂戴していたのだ。
ハウンドの肉は大きさこそ手のひらサイズ。
しかし、この匂いにつられてハウンドの一匹や二匹は来るだろう。
しっかし、モンスターはこの臭い匂いでホントに来るのかね。
我が策ながら不安になってきたぞ。
「ま、とりあえず、これでハウンドを誘き寄せよう。少ししたら来るだろう。」
すでに匂いは周辺の森に広がっている。
多分、そう時間はかからないはず。
ん?
「ヒラタ。なんか音が聞こえないかっペン?」
ペン太の言う通りだ。
音が聞こえる。
鳴き声とかじゃなく、もっとこう、なんか............地響きみたいな。
俺の感じたドドドドという地響きは少しずつ大きくなってきた。
それと同時に、だんだん方向も分かってきた。
「こっちか............?」
音の方向に向く。
草むらが広がる............道ではない、足元も見えないような所だ。
そこから、何かたくさんの生物がこっちに向かってきているような............?
「こ、これって............ヤバいペン?」
ヤバいな。
ん?というかなんだ今の音。
今なんか、バウッ!って聞こえたような気がす――――
目の前の草むらがかき分けられ、
「バウ!」
あ!ハウンドが現れ――――
「ガウ!」
あ、もう一匹――――
「「「「「「「「「「ワウ!」」」」」」」」」」
「は?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「逃げろペン太!」
「言われなくても逃げてるぺーン!」
後ろからたくさんのハウンド。
いやもうたくさんなんてレベルじゃねぇ!これ群れごと来てんじゃねぇか!
「来すぎだろ!ハウンド!」
十匹?二十匹?いいえ、おおよそ三十匹。
後ろから恐ろしいくらい鳴き声が聞こえてくる。
ひゃ~!
撤退!戦略的撤退だ!
こんな数、相手にできるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
■□■□
ある場所に、たくさんのハウンドに追われるヒラタ達を見ている人間がいた。
スキルの力か、はたまた魔法か、それとも別の何かか。
机に置かれているその水晶にはヒラタ達の行動が全て映されている。
「フフ。面白いアイデアだ。ヒラタ君。君には期待しているよ。」




