バラー村
「お、お前達大丈夫か?」
「ハアハアハアハア、大丈夫、ハアハア、です。」
いや~なんでだろ?
修行したはずなのにとっても疲れたぞ。
やっぱり足は鍛えられてなかったのかな?
「ペン~。放すペン~。」
おっと、ペン太がいるのを忘れていた。
放してやると、全くポサと不満を垂らしていた。
「あ~、あれか?お前はモンスターテイマーってやつか?」
あ、分かっちゃいます?
はっはー、やっぱり分かっちゃうか~。
やっぱ、俺って有・名・人☆(キラッ)
まぁ冗談だけど。
ペン太がいるから分かっただけなんだろうけど!
くそぅ。いつか有名な冒険者になってやる。
「俺はさすらいのテイマーでこっちが相棒のペン太。」
ペン太に挨拶するよう促すと羽を上げて
「ペン太だポサ!」
と元気よく挨拶。
挨拶ってそれでいいのか?
「ん?ペンペペポサ?何を言っているんだ?」
そうだったそうだった。
「モンスターと意思疎通............及び会話をするには契約が必要なんだ。」
「後、テイマーなら契約しなくても他のテイマーが連れているモンスターと会話できるっポサ。」
は?なにそれ初耳。
「あ~、あれだな要は。そういう事だな。」
「そうそう。そういう事だぞおっちゃん。」
分かってもらえたみたいで良かった良かった。
そういや、ペン太って村に入って大丈夫なんだろうか?
「そうだおっちゃん。モンスターって村に入れる?一応、契約済みなんだけど。」
すると門番のおっちゃんはウームと唸った。
「モンスターが村に入るのは確か、契約済みの証とかなんとかを提示しないと無理だったような気がするんだが?」
け、契約済みの証?
なんだ?それって?そんなのはあった............っけ?
あ~そういや、エンブレムってのがあったな。
確かモンスターギルドで発行してもらって、エンブレムケースの中で保管するんだっけな。てことは、無いぞ。エンブレムなんて。
モンスターギルドに行ってないからな。
「あ~、ごめんおっちゃん。エンブレム無いわ。」
するとおっちゃんは仕方なさそうに頭を掻いた。
「それならすまんが、村の中に入れる事は出来ない。」
ガガガガーン!
ガ・ガ・ガ・ガーン!
そんな............この村に来るため、道中無理に元気を出して頑張って来たのに。そんな............そんな............事って。
「おっちゃん。かわいそうな旅人を助けると思って村に入れてくれ~。食べ物も飲み物も寝床も無いんだよ~。」
「お願いしますペン~。」
門番のおっちゃんに頭を下げてお願いする。
「むむむう。本当はダメなんだが、そんな事情があるんだったら仕方ない。可哀想だし、入れてやるよ。」
おおー!一目見た時から話が分かりそうな人だとは思ってたけど、おっちゃん話が分かるなぁ。よ、太っ腹。
「ありがとうございます!」
「おう。中には秘密だからな。ここに来るまで辛かっただろう。ゆっくり休め。」
いい人だった。
お礼をしながら、門を潜って村に入る。
村に入ると、そこは非常に人間らしい村が見えた。
デモンナイトの村は外と気温や湿度が違ったり、露店や店があったりしたが、この村は店などなく、外と空気が変わらない。
しかし、木造でしっかりした家と、なにやら作物を育てている畑的なやつがあった。広くはなく、左右を山に囲まれている。
観察していると、後ろから声がかかった。
「言い忘れていたが、この村はバラー村。農業が盛んで、王都にもこの村産の作物が売られる程だ。」
おっちゃんに説明ありがとーと挨拶しておいた。
なるほどバラー村か。
さすが異世界。変な名前。
さて、どうしようか?
「とりあえず宿に行くペン。」
おぉ そうだな。まずは宿に――――
って金なんか持ってねぇよ!
宿になんか泊まれねぇよ!
「よし、今日は村の中で野宿だな。」
「村に入った意味がないポサ!」
いや、モンスターは入ってこないから見張りがいなくてもいいだろ?
意味はあるじゃないか。
「せめて村長的な人の家に泊めてもらうとかしようペンよ。」
ペン太天才か!
その発想は無かったぞ!
こういう村の村長は優しい老人って相場が決まってるんだ。
きっと泊めてもらえる!
そんな謎の自信を持つヒラタなのであった!
「でも、どの家が村長の家なんだろう?大体全部一緒だぞ?」
普通の家っぽいやつは、見た目がほとんど同じである。
「道行く村人さん達に聞けばいいんじゃないかペン?」
道行く村人さん達にねぇ。
でもペン太がいるから怖がられると思うんだよな~。
そう考えたら、一番聞きやすいのは~?
「よし、おっちゃんに聞きに行くか。」
「おっちゃん............ポサ。」
呆れているペン太をほっておいて、再度門の方まで戻る。
「おっちゃーーーん!」
「なんだなんだ?どうしてまた戻ってきたんだ?」
いや~ちょっと質問がありましてね。
それにしても、おっちゃん、ずっと立ちっぱなしなのか?
他の門番っぽい人はいないようだし。
門番って辛いね~。
「村長の家ってどこにあんの?金が無いから宿に泊まれなくて。」
はぁ~っとおっちゃんは深くため息をつく。
それと、後ろから羽ばたきが聞こえてきた。ペン太だ。
「お前ら、なんで金持って無いんだよ............賊にでも会ったのか?」
あはは。賊っているんですね。
「まぁいい。村長の家は宿の向かいの民家の裏手にある。あれだ。畑の近くにある農業道具のたくさん置いてある民家の裏手だ。」
ほーほー。なんとな~くわかったぞ。
「ありがとうおっちゃん。門番頑張ってね。」
おっちゃんに礼を行って、村長の家にレッツゴー。
なにやらおっちゃんが言っているが気にしない気にしない。
「ペン太~。行くぞ~。」
そこら辺に飛んでいたペン太をわしづかみにして、村長の家に向かう。
確かに宿の向かいの農業道具がたくさん置いてある民家の裏手だったよな!
宿は一目で分かるので、すぐに見つけた。
その向かいの家にはたくさんの農業道具があった。
その裏手に回り込む。
「ここか!」
一つの民家の前に立った。
普通の民家とほとんど変わらない見かけだ。
本当にここなのか?
おっちゃんが間違ってるって事は無いだろうな?
ありそうだけど。
「ムググ。放すペン~。」
腕の中でペン太がもがいている。
放してやると、文句ありげな表情だったので、頭をわしゃわしゃしてやった。
改めて村長の家と考えられる家のドアに向く。
そして、大きくドンドンドン!
「すみませ~ん!旅の者ですが、泊めていただけませんか~?」




