いざ王都へ
「いや~ホントにアンデット領を出たって感じペンね。」
ペン太の言葉に頷く。
アンデット領は暗いイメージでむしむししていた。
変な形の木がたくさん生えていて、足元の草は濃い緑。太陽モドキの光は遮られ、決して爽やかとは言えない環境だった。
しかし、グッさん、もぐゾンさんと別れて歩いて行くとだんだん周りの雰囲気が変わってきた。なんというか...........普通の森だ。
「グッさん、もぐゾンさんと別れたのは悲しいけど、これから王都に行くんだぜ。なんだかワクワクする。」
するとペン太は思い出したように嘴を開いた。
「そういえば、王都はどこにあるのか知ってるペンか?」
あ、聞いてねぇや。
「............まずい気がする。そんなの聞いてないぞ。」
すると、ペン太はバカにしたように、
「全く............ヒラタはバカペンね~。ペンがしっかり聞いておいたっポサ!」
おお!ナイスだけどウザいから殴る。
もちろん飛んでいるペン太にはひょいと避けられる。
「えーと、確かもぐゾンペンは――――王都ハ世界ノ中心ノ人間領ノ中央ニある。アンデット領ヲ東かラ出たラ、そのまマ北ニ向かエ。そしたラ、川やラ道やラが見つかルから、それニ沿って進メ。――――って言ってたポサ!」
なるほどな。
ずいぶん適当だがまぁなんとかなりそうだ。
確かに道や川を見つけられたらいいよな。
そう考えながら、北に向かって木々の間、道なき道を進む。
ペン太は大丈夫だが、俺は足元に気をつけなければならない。
しかし、その必要はあんまりなさそうなのだ。
だってアンデット領から出たとはいえ、森の中。
開けた場所すら見えず、木々が生い茂っている。
木が生えている所には地面があるだろうから、崖を心配する必要はそんなにないのだ!いや、浮遊する木とかあってもおかしくは無いな。異世界だしな、ここ。
いやいやとにかく、俺が言いたいことは道やら川やらを見つけるためにまず周りをよく見ることが大切だということだ。
ザッザッザッと草を踏みしめる。もしかしたら草むらにバッグが置いてあるかもしれない。木に美味しそうな果物がなっているかもしれない。洞窟に姫が隠れているかもしれないし、美人なエルフが戦っているかもしれない。
もちろん、モンスターもいるけどな!
要は、異世界は地球よりよっぽど注意して行動しなければならないということだ。もちろん地球のみんなも周りに注意して行動しろよ!って誰に話しかけてんだ俺。話相手がペン太しかいなくて退屈になってしまったのかもしれない。
あ~暇だな~。
「そうだ!ペン太。しりとりしようぜ!」
こういう時はしりとりに限るぜ!
「尻取り?ホモペンか?」
下ネタぶっこんでくんなバカペン太。
「ちゃうちゃう。言葉の最後の文字を繋げてくあれだよ!」
あれ?我ながら語彙力が。
「あぁ!語尾回しペンね。」
「うわだせぇ。」
「これ勇者が代々伝えた遊びペンよ!?」
だせぇ。なんだよ語尾回しって。
勇者ってもしかしてしりとりを知らないのか?
「勇者が人間に広めたのを聞いて、知能の高いモンスターの中で大流行した遊びポサ。ぶっちゃけ、ペンも知能の高いモンスターに入るポサ。」
自分でいうな。自分で。
でもあれだな。知能の高いモンスターってあんまり人を襲うことなんてなさそうだし、共存できそうなのに............なんで勇者はモンスターを殺しまくったんだろ?
「でも、ペン達は先祖ペンが残した石板を解読して遊び方を知ったっペンから、もしかしたら解読ミスかもしれないポサ。」
やっぱり、石板とかで残すんだな。
直接は伝えてやれないから。
まぁいい。
「とりあえず、その語尾回しとやらをしようぜ。暇だから。」
ちゃんとモンスターが出てきたら戦うペンよ。と言いながら、俺の肩に乗ろうとする。しかし、俺は振り払った!
仕方なさそうに、俺の頭の乗ってくる。
「じゃ、ペンの“ペ”から始めるペン。」
おほぅ、地味に難易度たけえw
”ペ“からか。
あれ?待てよ?
「ペン太。」
「それはズルいペン!」
はっはっはっ。発想力の問題だよ。
「なら.........なら.........タマゴ!ペン。」
タマゴか。
あれ?もしかしたら、この語尾回しってやつでこの世界には何があって何が無いのかが分かるんじゃないのか?
「ご......ゴマ!」
ゴマ?ちっちゃい黒いやつペンか?って呟いていることから察するに、ゴマはあるようだ。
「魔法!ペン。」
無難なやつだなぁ。
“う”か.........”う“といえばあれだなあれ。
「馬!」
「馬?馬って何ポサ?」
そういって俺の頭から降りて、俺の横で羽ばたき始めた。
馬を知らない.........だと............?
どういうことだ?馬っていう生物がいないのか?それとも、ペン太がただ単に知らないだけなのか?
異世界の謎だなぁ。
「あれだよ。四本足で足の速いあの。」
そこまで言って違和感を感じた。
そういや、ペン太はスカルナイトの骨の馬を見ていたはずだ。
なのになんで馬を知らないんだ?
「スカルナイトが乗っていたあれだよ。ペン太も乗っただろ。」
俺がそういうとペン太は首を九十度傾けたが、やがて頭に電球がついたような顔になった。
「あぁ、スカルホースのことペンね!」
スカルホース?
英語にしただけじゃねぇか。
それにしても、馬は通じないのにホースは通じるのか。
勇者だったら絶対に地球の言葉を残そうとするだろう。
もしかしたら勇者は日本人じゃないのかもしれない。
突然黙りこんだ俺を心配するように、ペン太が俺の周りを羽ばたく。
「あぁ、大丈夫だ。ペン太。心配すんな。」
「いや、まだヒラタの番だから早く言うペン。」
殴る。かわされる。
心配しろよペン太のくせに。
心配すんなは心配しろよってことだぞ!
いまだにモンスターテイマーのモンスターに対する接し方がよくわからないんだよな。本は読んだけど、周りに他のテイマーがいないからよくわからない。百聞は一見にしかずってよく言ったもんだよな。
「あ~ごめんごめん。“う”だったよな。」
全く、早くするペン。と文句をいうペン太を無視して、”う“から始まる言葉を探す。
う、う、牛!は多分通じないな。
馬が通じないんだから。
“う”から始まる、異世界でも通じる言葉を探していると、前方から少し風が吹いてきた。さっきまでは無風だったのに。
そのまま、風の吹く方向に向かう。
すると、目の前をふさぐように草むらが出現するが、気にせず手で掻き分ける。ペン太も何かを感じとっているのか、静かにしている。
そのまま、草むらを出ると。
そこには、今までの森とは違う明らかな人工の道があった。
「道だ!」
「道ポサ!」
道に沿って西に向かえば王都。
馬車なんかが通る可能性もある!
「道があるって事は王都に続いてる可能性が高い!よし、王都に向かって。」
「レッツゴーペン!」
王都へと、そして未来へと続く道を歩きはじめた。
王都大騒動編スタート




