報酬とやら
「もう行くのか?もう一晩ほど泊まれば良いものを。」
そうスカルナイトが言うも昨日は仕方なく泊まっただけだし。
俺も早くアンデット領を出て、この世界を見てみたいのだ。
やはりもう今日出発するしかないんだ。
「寂しいけど、俺はアンデット領を出て人間領に行ってみるよ。色んな世界を見てみたいからな。」
「ま、俺ともぐらゾンビはまだまだお世話になるつもりだがな。」
グッさん達は自分たちの巣穴をこの村まで伸ばすそうだ。
まぁ、スカルナイト達といれば大丈夫だしな。
後ろのたくさんのデモンナイト達を押し退けてアンデットナイトがスカルナイトに近づいて、何か話している。
なにやら袋を持っているが............?
「おぉ!そうだったそうだった!昨日の宴ですっかり忘れておった。」
どうしたんだろ?
すっかり忘れることってなんかあったっけ?
すると、スカルナイトがゴホンと一つ咳払いをして、アンデットナイトから受け取った袋を開け始めた。
「人間ヒラタとその仲間達よ!」
いきなり叫んだぞ!どうしたどうした?
「スケルトン討伐の功を称して、この宝をくれてやる!」
くれてやる?くれてやるって?
あ!そういやスケルトン討伐の報酬とやらをまだ貰って無かったぞ。すっかり忘れていた。昨日の宴で酒を飲むことは出来なかったけど、色んなデモンナイトと話をすることが出来ていつの間にか寝ていたしな!
酒が飲めなかったのは俺の絶叫を聞き付けてやって来たグッさんたちに止められたからだ。グッさんいわく、未成年の飲酒は体に悪いぞ!とのことだ。中身は二十九だ!と言い返すと、体は十代じゃねぇか。と言い返されました。
とにかく報酬とやらをすっかり忘れていた。
親切な人?たちで良かった。
スカルナイトが渡してきた袋を受けとる。この中に宝が入っているのか。良いものだといいな。
「ありがたく受け取らせていただきます。」
ウム、とスカルナイトが頷き、見てみると良い、と自慢げな顔で言う。これで大したものじゃ無かったら赤っ恥だぞぉ?
「では見させていただきます。」
そう言って袋を少しずつ開けていく。懐かしいな。俺が地球にいた頃、カードパックを開ける時も少しずつ開けていくパターンだった。結構焦らすのが好きなようだ。
肩の辺りでうろちょろして袋の中を覗きこもうとするペン太を頭で追い払い、一気にバッ!と開ける。
するとそこには見慣れた石のようでまるっこいものが。
「って魔石じゃねぇか!?」
はっ!このツッコミ久しぶり。
「確かに魔石だが、色を見よ。珍しい色で、この村の御守りなのだ。しかもこんなに大きいほぼ完全な魔石だぞ!」
って言われてもなぁ。
魔石なんてこの一ヶ月嫌になるほど見たからなあ。
それにしても確かに珍しい色ではあるな。
白より灰色でなぜか光沢があって太陽モドキの光を反射させている。
でもな~んか見たことがあるような?
「なぁグッさん。確かグッさんって鑑定持ってたよな?それで属性見れないか?」
ペン太の属性を調べた時のようにちゃっと調べて欲しい。
俺も鑑定使いてぇなぁ。
「やってみるか。」
そう言って、グッさんは草を伸ばして俺の手の中にあった魔石を取った。そして目の前まで持っていってじっと見ている。
「ほ~。」
なんだほ~ってなんだほ~って!
どうゆうことなんだ。
教えて!グッさん先生!
「骨だな。」
骨?
骨?
あの骨?
「大きさから見てもこいつはスケルトンのような上位のアンデット系モンスターから採れる骨の魔石だ。」
へ~。
あ!どっかで見たことあると思ったらスケルトンを倒す時に握りつぶした魔石とほとんど同じだ。だから見たことあると思ったのか。
まぁあの時は焦っていて、色なんか確認する余裕は無かったけどな。
ん?待てよ?
魔石がそのままあるって事はさ。
「その魔石のスケルトン生きてるってことじゃん!?」
「そうなるな。」
いやそうなるなって。
グッさんの反応とは対称的にデモンナイト達の反応は良かった。
ざわざわっとしてなにやら物騒な言葉も聞こえる。
あ、スカルナイトがなんかアンデットナイトに指示を出している。
そしてこっちに歩いてきた。
「どうやら少し厄介な事になりそうだ。見送りの会はこれで終わりとしよう。」
厄介な事ねぇ。
やっぱスケルトンの魔石を渡していいのかって事だよなぁ。
ぶっちゃけ、俺は魔石なんていらないからなんかもっと役に立つものが欲しいんだよなぁ。
「やっぱりこの魔石は返した方がいいペンか?」
「いヤ、そういう事じャ無いだろウ。」
あれ?違うのか?
「スケルトンの魔石ガそのままこノ村にはあっタ。つまリスケルトンの魔石ヲそのまま取り出しテ、尚且つ簡単ニ倒してしまうほどノ強大な力ガ、かつテこの村にハあったって事ダ。」
そう言って少し言葉を切る。
「しかシ、この村にハそんな記録ハ無い。いつの時代にモ、スケルトンかラ逃げテ隠れテ生活して来タ。そうだよナ?スカルナイト?」
「あぁそうだ。つまりこれが骨の魔石ならこの村の歴史が間違っていることになる。いや、この村の歴史が隠されていると言った方が正しいか。」
そうか。だからさっきのデモンナイト達はあんなにざわざわしていたのか。
「とにかく、我はお前達を送った後もう一度この村の事............先祖の事を調べてみようと思う。その魔石はヒラタ、お前にやる。」
え~いらない。
でも言ったら怒られそうだから言わない。
「もちろん俺ともぐらゾンビはヒラタを送ったらまたここに戻ってくる。その時は協力させてくれよ?」
もちろんだ。とスカルナイトは歓迎した。
というか重要な証拠を俺が持っていってもいいのかな?
歩きながら話すスカルナイトについて行っていると、いつの間にか門から出ていて、そこにはアンデット領の暗い暗い森が広がっていた。
いつの間にか門をくぐっていたようだ。
ちゃんとした挨拶も出来なかったじゃないか。
「では、行くとするか。向かうのは東の平原でいいのだろう?」
「あぁ。そこまででいい。東の平原まで行けば危険なんてほとんど無いからな。」
「ちょちょっと待って。」
まずは忘れ物が無いか確認!
木刀よ~し!
ポーチよ~し!
スキルよ~し!
食料・飲み水よ~し!
お宝よ~し!
魔石がいっぱい。
あ、そうだ。
「スカルナイト、アンデットナイトさんに挨拶しといて。また遊びに来るって。」
まぁ簡単に遊びに来れる場所でも無いんだけどな。
「わかった。では今度こそよいな?では、馬に乗れ。」
見るといつの間にか骨の馬がスカルナイトの近くに出現していた。気づかなかったぞ。
そんなことを考えながら、グッさん・もぐゾンさんとついでにペン太を抱き抱えて、馬に乗った。
硬いし乗り心地も良くないな............ジェットコースターみたいだったぞ。
「準備OK。」
「では行くぞ。落ちるなよ。」
いや落とすなよ!?と言おうとして口を開きかけた瞬間、とんでもない強風で口を塞がれたのだった。




