進化
「ここからは我に任せて貰う。」
そう言って、倒れたスケルトンに近づくデモンナイト。一体、何をするつもりなんだ?
あらかじめスケルトンの骨が必要だということは聞いていたが、まさかそのまま運ぶつもりなのか?
「リナトイザソノメタノカンシガワ! ヨネホノントルケス。」
デモンナイトが謎の言葉を発しはじめた。頭がおかしくなったかと思ったけど、元々だったか?
あれ、デモンナイトの体がうっすら輝いているような気がするような?
「エタアヲラカチニレワ。」
謎の呪文が進むにつれ、デモンナイトの輝きが増している。
なんだこりゃ? と首を傾げざるおえない。なんなの? ゲーミングデモンナイトなの?
「ヨセニトイナルカスヲレワ!」
う、一気に眩しくなった! いや、眩しすぎて目も開けられないんだが! 異世界に来た時確かこんな感じだった気がする!
はっ! まさかデモンナイトは異世界転移するのか!?
おい! 異世界転移とか許せねぇだろ! どうせ向こうでやりたい放題するんだろ!
「っ! これは!」
眩しい光の中でグッさんが何か呟く。
「グッさん! 何か知ってるのか?」
眩しい光を手で遮りつつ、質問する。
「あぁ。これは............!」
そして、信じられない言葉を発する。
「進化だ!」
「は?」
進化ぁ?
進化とは子孫を残す過程でその環境にあわせて、変化する事! 一個体での変化は進化ではない! 変態だぁ!
等と考えていると、デモンナイトの輝きが徐々に収まっていく。
そしてそこにいたのは。
「え、デモンナイトか? あれ?」
骨の鎧を纏い、骨の槍を携え、骨の馬を従えているモンスターがそこにはいた。
「フハハハハハハハ!」
あらやだ怖い。
「力が、溢れてくるぞ!」
あらやだ怖い。
「初めて見たぞ。あんなモンスター。」
グッさんが初めて見ただと!?
「あァ、俺モ知らないナ。」
もぐゾンさんも知らないだと!?
デモンナイトが進化したってことは分かるが............いやそもそもホントにデモンナイトが進化したのか? 狂暴化とかして無いよね!?
「あの~、デモンナイトさんでしょうか?」
意を決して聞いてみる。
「そうだ。しかし今は違う。」
あれか、進化して名前変わったとかか。
「デモンナイトの進化形態、スカルナイトだ!」
やっぱりデモンナイトの進化形か。
デモンナイトからスカルナイトに進化するんだな。
あの骨はスケルトンの骨なんだな。だから進化するのにスケルトンの骨が必要なのか。
でも、これホントに進化か?
弱体化にも見えなくは無いんだが。そもそも進化って何なんだよ。
「どうやら今の我はSランクらしい。」
ほへー、スケルトンを取り込んだのに、同じSランクなんだー。
なんで分かるんだよ。名前もランクも。
「新たなスキルも覚えたようだ。なるほどなるほど。」
なんか納得してるみたいだけど、スキルってそんな簡単に分かるもんなのか? あ、でも俺が異世界に来た時も、炎球のスキルの具体的な使い方とか教えてもらってないのに、すぐ簡単に使えてたな!
異世界って不思議だね。
「そいつは良かったが、俺たちは東の平原に急いでいるんだ。報酬とやらをさっさともらってもいいか?」
あらま、グッさん。相手はSランクですのよ。そんなに強気に出て大丈夫ですの?
「良いだろう! 我は今、とても気分が良い!」
良かった............!
「特別に、我がデモンナイトの村に招待しようぞ!」
良くなかった............!
「いやいやいやいやいやいや。」
「どうしたのだ?」
「あの~、俺たち急いでるので、報酬とやらを頂いて早く行きたいのですが~。」
「報酬は村にあるのだ。」
ハイハイ行きますよ行けばいいんでしょ!
スケルトンとの死闘がタダ働きだったなんて嫌だからなぁ!
グッさん達に目を向けると、やれやれ、という感じだった。
納得していただけたようだ。
「なら、行きますよ。その村に。」
仕方ない仕方ない。報酬のため報酬のため。
俺は小説の主人公じゃないからタダ働きなんてしないのだ!
「よし、では行こう。」
おー。
ってどこへ?
いや、デモンナイトの村ってことはわかるけど............。
具体的にどっちへ? どの方角へ?
「行き先なら任せるのだ! この馬で我が導いてやるぞ!」
なるほど、馬に乗れってか。
「この馬にはどうやら縮地というスキルがあるらしい。」
ほへー、縮地か............。
俺がやっていたネトゲにも縮地というスキルがあったな。意外と便利なんだよなーあれ。
「短時間で村に行けるぞ。」
そう言いながらデモンナイトはご自慢の馬に乗る。
「では行こう!」
おー。
って待てや。
「俺は良いとして、他の皆はどうするんだよ!?」
俺には、ペン太とグッさんともぐゾンさんというパーティーメンバーがいるのだ!
「お前が持てば良いだろう?」
んな無茶な。
ペン太ともぐゾンさんはかろうじて! かろうじて良いとして。
グッさんは無理だろ!
草だぞ!
根を張ってるだろ!
無理だ。グッさんを、草を馬に乗せるなんて、無理だ! 不可能だ! そう、inpossible!
「グッさんは無理だろ! なぁグッさん。根が張ってるから馬になんて乗れないよな?」
「バカか。根が張ってたらそもそも動けねぇだろうが。」
ごもっともです。
良いから持ち上げて見ろとグッさんが言う。
持ち上げるったってなぁ。
そう思いながらも、ムンズっとグッさんの端を持って............。
「ほっ!」
引っこ抜いた......が......。
あれ? 思ったよりも手応えが無い............?
俺の手にはグッさんがいる。ここからは下側が見えないが、どうなっているんだろう?
そう思いながらそのままグッさんの下側を覗く。
「なっ!」
なんと!
ななんと!
なななんと!
グッさんには根っこが無い!
そもそも、全身が草だったのだ!
上から下までまっ緑!
これではまさに............!
弁当に入っているプラスチックの草じゃねえかぁぁぁぁ!
あぁ懐かしい。地球の弁当............また食いてぇな............。
グッさんともぐゾンさんと、ついでにペン太も一緒に抱えてスカルナイトの馬に乗った。よし、大丈夫だな。
「準備できたぞ。」
安全のためスカルナイトをきちんと掴んでおく。落ちたら大変だからな。
二人乗りは大丈夫なのか? いや、実際には五人乗りだけど。
「それでは行くぞ。」
コクッっとうなずく。
さぁてその縮地とかいうスキルはどのくらいのものなのk
「ハイヤー!」
突然の強風。
ひたすらの強風。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!
いや落ち着けヒラタ。冷静になって状況を分析するのだ。
恐ろしい速さで走っているのだろう。
周りの景色が早送りのように............いやもはや見えない!
きっと残像とか残してるんだろうな。
ていうか息が出来ない!
皆ちゃんといるよな? ってかこの速度なら振り落とされてもおかしくはないはずなのに、何故か全く落ちない。
いや落ちなくていいんだけどさ。
そんなことを考えていたら数秒くらい経っただろう。
ズザザザザザザザっと砂埃を上げながら、凄まじいブレーキを掛けながら止まった。
あれ? もう着いたのか?
馬から降りながら、そうスカルナイトに聞こうとするが、それはできなかった。
手に持っているグッさん一同を地面におき、素早く草むらの方へ移動する。
「おええええええ。」
そしておもいっきり吐いた。
そういや、こっちに来る前は車酔いがひどかったなと思いながら少し地球を思い浮かべたヒラタであった。




