Ep.8 スター・ブレイク
カルラはクルリと杖を一回転させ、鳥の魔獣に向けて詠唱を始める。
「光纏し、結晶の楔。
銀の星芒、影追う蒼穹。
蒼き尾を引き、敵を穿て!
煌晶魔法——天穹を穿つ煌晶槍!!」
杖の先に魔力が渦を巻き、巨大な結晶の槍を形づくる。
杖をひと振りすると、その結晶槍は弾けるように猛スピードで飛んでゆく。
結晶槍に気づいた魔物は、急旋回して回避行動を取る……だが、結晶槍もその軌道を変える。
——ズドンッ!
結晶槍が命中——たったの一撃で鳥の魔物はチカラなく落下してゆく。
「やった!さっすが星割りの姫魔女♪」
「ちょっと、変なあだ名付けないでよ」
「良いじゃない。アタシだって星降りの姫巫女なんて言われて、勝手に祭り上げられてんだしさ」
「ウフフ。まぁ、良いけどさ。それじゃあ素材を頂いちゃいましょう。それを売ればお金になるわよ」
*****
——冒険者ギルド。
ゴトッ!
ザワザワザワ……。
「お、おい、あれって……」
「凶鳥のくちばし……あの子たちが……!?」
ざわめく冒険者を尻目に受付に詰め寄る2人。
「はい、退治してきましたわよ。さぁ、ランクを上げてもらおうかしら♪」
「それと換金も一緒にお願いね♪」
「はい……えーっと、少々お待ちください!」
そう言って受付の娘は二階へと駆け上がってゆく。
しばらくして受付の娘と一緒に、一人の男が降りてくる。
「なるほど、なるほど。ふむふむ、ではちょっとカードを見せてもらっても宜しいですか?」
男は2人の冒険者カードを水晶にかざす。
すると水晶に様々な情報が映し出されてゆく。
「ほほう、本当に2人で討伐したみたいですね。これはこれは、大変失礼いたしました。手続きを進めさせていただきますね……では、後は任せましたよ」
「は、はい、ギルド長。ではお二人の討伐実績を評価しまして……Dランクに昇格いたします。それと換金でしたよね……凶鳥のくちばしですと……これくらいになります」
そう言って受付の娘は金貨を差し出す。
「ふ~ん、あれで金貨10枚ですの。美味しいわね」
「はい、無傷の凶鳥のくちばしは、と~っても希少なんですよ~♪」
「10枚かぁ~、もうちょい行くと思ったんだけどなぁ~」
「ちょっとカルラ、アナタも案外がめついわね」
「マリルに言われたくありません。じゃあお金も受け取ったし、宿でも探しましょうか」
*****
「宿代とごはん代が2人で銀貨10枚でしょ……金貨10枚を2人で分けて……必要なものも揃えないとだし……」
「ちょっとカルラ、なに難しい顔してんのよ。お金の心配?だーいじょうぶだって、無くなったらバチコーンって稼げば良いじゃない♪」
「もう、マリルったら気楽で良いわね~。こんな美味しい報酬が毎回上手いこと転がってるとは限らないんだから、キチンと計算して生活しないとダメよ」
「はいはい、分かり申したでござるよ~。姫魔女様~」
「ところで、この後どうするの?このままこの街を拠点にして活動する?」
「う~ん、そうね~。カルラは何かやりたいこととか無いの?アタシはまぁ、強いて言えば……まずはエヴァンスの現状を見ていきたいわね」
「そうね~、私も特に~……あっ、私は他の国を見てみたいわ!さすがにエルフ国はアレだけど……」
「じゃあ決まりね。まずはこの街を拠点にして、生活基盤を整えましょう。それから各地を回ったり、他国を見に行ったりしましょうよ」
「マリルの口から生活基盤なんて言葉が出てくるなんて……信じられないわ」
「あ~、言ったわね、カルラ~!」
2人は今後しばらくは、この城塞都市ランスロットで活動することを決める。
「さぁ、そうと決まれば……まずは冒険者ランクを上げて、高ランク依頼を受けられるようにしないとね」
「どのくらい上げたら良いのかしら?」
「う~ん、最低でもBランク。可能ならAランクかしらね~」
「今Dだから……げっ、あと最低でも二つ上げなきゃじゃないのよ」
「まぁ、Bランクまで上げとけば、生活には困らなくなると思うわよ」
「明日から真っ当な仕事しなきゃか~。めんど~」
——to be Next Story——




