2、初遭遇の10%
第2話を投稿するのに思ったより時間が掛かってしまった、申し訳ない。
前回のあらすじとか入れると、ちょっと特撮っぽくなると思うのは私だけでしょうか。
前回のあらすじ
ある日、春休みを満喫していた俺、天道月夜は、買い物の帰り道で魔物の襲撃に遭遇してしまった。
「くそっ!運が悪い……」
そしてシェルターへ避難している最中に、魔物に襲われている妖精を発見してしまったんだ 。
「誰か……助けて……」
助けを呼ぶ妖精の声に体が勝手に動いてた。
妖精を抱えて逃げ出すも、魔物からは逃げ切れずに絶体絶命のピンチに陥ってしまう。
そこで俺は、妖精の持つ奥の手を使う事を頼んだんだ。
「なるほど、危険なのは人間側だけなんだな?」
「頼む、その奥の手とやらを使ってくれ」
「だ、ダメなの!危ないの!」
最初は危険だと拒否していた妖精だが。
2人とも生き延びるにはこれしか無いと必死に頼み込み、何とか奥の手を使ってもらう事に。
「それじゃあ、私と一緒にこう唱えて欲しいの」
「「吸合!!」」
妖精の秘技【吸合】によって変身する俺と妖精。
『意識が溶け合っていく、俺と妖精が1つになっていく。』
《クレセントムーン!スラッシュ!!》
「やぁぁぁ!!!」
恐らく魔法少女であろう何かに変身した俺たちは、無事に魔物を討伐し家路に着くのであった。
………………………………………………………………
東京:某所
シェルターからほど近い場所で警察車両や魔法少女協会の文字が書かれた車輌が何台か停められ、多くの作業員達が壊れたビルや道路を調べている中で、魔法少女が1人戦闘跡を眺めていた。
「う〜ん……」
巫女風の紅白に染められた着物を着た、ツーサイドアップに纏めた白髪に一房だけ赤のメッシュが入った魔法少女の手には、大きめのタブレット端末が握られており、その周囲にはホログラムのウィンドウが幾つも浮かんでいた。
「現場に残った魔力の波形は協会のデータベースに該当無し……と」
魔法少女はタブレット端末に情報を打ち込みながらも、角度によっては虹色にも見える黄金の瞳を向け、周囲の情報を見逃すまいと注意深く観察していた。
「いったい何処の誰何だろう?」
周囲に見えるのは魔物によって破壊された町並み、しかし現場に残った痕跡から得られる魔物のだいたいの強さからは考えられない程に綺麗すぎる。
(現場の残穢から考えるに、魔物の強さは恐らくBランクはあった筈……私でも1人では勝つのも難しい相手。なのにここまで町の被害を抑えて倒せるなんて、検出された魔法少女の魔力波形は1人分、つまりBランクの魔物を圧倒出来る魔法少女……。)
タブレット端末に目を落とし、これまでの調査で得た情報を整理し、自分の知識と照らし合わせて今回戦ったであろう魔法少女の正体を考える。
(だめだ、わからない。少なくとも私が知ってる中では協会所属の中にも、野良の魔法少女の中にも該当する魔法少女は存在しない)
「お~い!アマ子~!」
少女が考え込んでいると、遠くから足音と少女を呼ぶ声が聞こえてくる。
声のした方向を見ると、そこには小走りで近づいて来る魔法少女が居た。
肩口で切りそろえた海のように深い青色の髪に稲穂のような黄金の瞳、髪と同じく青色の着物風衣装に身を包み、腰には美しい装飾が施された太刀を佩いていた。
紅白の魔法少女、“アマ子”と呼ばれた少女は声の方へ振り向き、青い魔法少女を視界に捉えると目をかがやかせ青い少女へ声をかける。
「スーちゃん!そっちは終わったの?」
「もち!自分が戦った後始末だし、すぐ終わるって」
「そっちはどう、誰が戦ってたか分かった?」
「それが全然分からなくて、戦ってたのは1人っていう事だけは分かったんだけど……」
青い少女の質問に、紅白の少女は頬を掻きながら少し申し訳なさそうに答える。
「わぉ、マジ?スッゴイねその子」
「確かランクB判定出てなかったけ、Bランク成りたてのあたし達でさえかなり苦戦したのに」
青い少女は感心したように頷きながらも、ふと何かに気付いたように紅白の少女へ尋ねる。
「あれ、誰なのか分からないってことは、もしかして無所属?」
「うん、たぶんそうだと思う」
「協会のデータベースに魔力波形が無かったから、もしかしたらこれが初めての変身なのかも」
「もしくは、魔力の隠蔽に長けていてこれまで上手く隠していた、か」
「何はともあれ」
青い少女は少し考え込んだ後、パシン!と左の掌に右拳を打ち付け、ニヤリと好戦的に微笑んだ。
「あたし達のナワバリで勝手に戦おうなんてふてぇ輩は、次に現れたらとっちめてやる!」
「いやいや、守護地域は協会が言ってるだけだし。協会に所属するかどうかは本人の自由なんだから、勝手も何も無いんじゃ……」
(この子はどうして隠れているんだろう、いつか会えるかな?)
紅白の少女は青い少女を窘めながら、正体不明の魔法少女に思いを馳せる。
戦闘跡が段々と片付けられてきた町並みには夕陽が差し込まれはじめていた。
…………………………………………………………………
「……て、お……て……」
声が聞こえる。
「おき……、なの……」
微睡の中で誰かが呼びかける声がする。
「あと5分……」
ありきたりな台詞が口を衝いて出る。でも仕方ない、昨日は魔物に襲われたり戦ったりでとても疲れていたんだ。
家に着くなり力尽きて、妖精と一緒に二人してベットに飛び込んで寝落ちして……
……今何時?
「起きるのー!」
「ぐぇ!!!」
大きな声と共に腹に結構な衝撃が走る。
突然の痛みにたまらず起き上がると、そこには頬を膨らませ、如何にも怒っています!といった様子のウサギ妖精がいた。
「もう!寝過ぎなの、もうお昼なの!」
ぷりぷりと怒りを示すウサギ、どうやらかなり寝過ごしたらしい。
「くぁ~、おはよう……」
「きゅ、おはようございますなの!」
欠伸混じりに挨拶をすると、ピッと片手を挙げて挨拶を返すウサギ。
どうやら腹に突撃した事で少し満足したらしい。
「とりあえず、シャワー浴びてくる……」
「いってらっしゃいなの~」
………………………………………………………………
さて、シャワーも浴び終わり。朝食兼昼食も済ませ、現在は妖精と2人で俺の部屋にてテーブルを挟んで座っている。
「あ~、とりあえず。昨日色々あって有耶無耶になったし、一旦自己紹介でもするか」
「俺は月夜、天道月夜。よろしくな」
「きゅ!私はルナ、ルナ・ムーンクレストなの。これからよろしくなの!」
自己紹介が終わり、ようやく互いの名前を知ることができた。いつまでも妖精とかウサギじゃあ悪いからな。
「それで、なんだって魔物と一緒に落ちてきたのか、聞いてもいいか?」
「分かったの、でもちょっと長くなるの」
「構わない、教えてくれ」
ルナが言うにはどうやら、妖精達の世界はまだ完全には魔物によって滅ぼされていないようで。無事な村で暮らしていたルナの下に、ある日魔物が攻め入ってきたと言う。
抵抗虚しく村は壊滅、ルナもあと少しで魔物に食べられるといったところで、村の大人が最後の力を振り絞って人間界へのゲートを作り、ルナを逃がしてくれたそうだ。
魔物も一緒にゲートを通って行ったのは想定外だったようだが。
それで魔物と一緒に落ちてきたのか……。
「これが、私が人間界に来た理由なの……」
「そうだったのか。ありがとう、話してくれて」
辛いことを思い出させてしまった。
「それとゴメンな、悲しい事を思い出させて」
「きゅ……」
「いいの、嫌だったら話してないの。……それに」
「それに?」
「月夜は助けてくれたの」
助けた?
「話してほしいと言ったのは俺だけど、そんな理由で?」
「きゅ!月夜はあの時、ホントは逃げようとしてたでしょ?」
うぐ、バレてたのか。
「それでも、月夜は逃げなかったの。ホントは凄く逃げ出したかった筈なのに、逃げる所か私を助けてくれたの」
「確かに、話すだけでも胸がとっても痛くなるけど。月夜になら話せるの!」
ルナはそう言って笑顔を見せる。そこに悲痛な感情は見えない。
助けただけでここまで信頼されるとは、少し照れると同時に何だか心配になる
「ありがとうな、ルナ」
礼を言いながらルナの頭を撫でる。
ルナはくすぐったそうにするが、抵抗はせずに受け入れてくれている。
「どういたしましてなの!」
礼を言うその笑顔は満開に輝いていて、俺はこの時初めて、ルナを助けて良かったと、心の底からそうおもった。
………………………………………………………………
お互いに自己紹介をした日から二日程経った日の夕方、俺とルナは二人で夕飯の買い出しに出かけていた。
「よし、こんもんかな。買い忘れた物は無いよな?」
「きゅ!大丈夫なの。月夜のご飯、美味しいから今日も楽しみなの!」
買い物の帰り道、ルナは夕飯に思いを馳せはしゃいでいる。
暫く歩いていると、ふいにルナが立ち止まり、両耳をピンと立て辺りを見回し始めた。
「ルナ、どうかしたか?」
「……魔物の気配がするの」
ルナは緊張した面持ちで答える。
魔物の気配だと?
「近いのか?」
「そんなに遠くは離れていないの」
パキィィィィィン!!!!
ルナに魔力の位置を尋ねていると、数キロ程離れた場所の上空が突如としてひび割れ始めた。
魔物が現れた証だ。
出現の兆候から実際に現れるまでの時間が随分短い。
魔物が出てくる前に、シェルターに避難したかったが遅かったらしい。
前回といい運が無い。
「間に合わなかったか」
「一旦何処かに隠れるの?」
ルナがどう行動するかを訊いてくる。
さてどうするか、このまま何処かに隠れるのも一つの手ではあるが、直ぐに魔法少女が来てくれるか怪しいうえに、ルナと一緒にいる所を見られると確実に面倒くさい事になる。
そうなると、これしかないか……?
「吸合して戦おう」
「きゅ!?で、でも……」
俺の戦おうと言う提案に、ルナは少し躊躇いを見せる。
おそらくは吸合のデメリットを気にしてくれているのだろう。
『付近で魔物が出現しました。直ちに避難してください!』
『繰り返します……』
魔物の出現から遅れて警報が聞こえてくる、協会も把握したらしい。
「俺の事は気にするな。どうしても気になるって言うなら、ささっと倒して帰ろう」
魔物が思ったより家に近い位置に出現してしまった。何時来るか分からない魔法少女を待つよりも、自分で戦った方が被害も少なく済むかもしれない。
それに、おそらく簡単に倒せると言う確信に近い予感がある。
それをルナも感じ取ったのか、こちらを見て頷き、答えた。
「分かったの。でも、約束して、危険な事は出来るだけ避けて欲しいの」
「あぁ、約束する。危ない事はしない、勝てそうに無かったら直ぐに逃げる」
「きゅ、約束なの!」
「それじゃあいくの!」
ルナと手をつないであの言葉を叫ぶ。
「「吸合!!」」
………………………………………………………………
前回変身した時と同じく、俺とルナの意識が溶け合う。
不安そうなルナの感情が流れて来る、俺は心配するなと意識すると、少し安心したような気がした。
男の身体から女性の身体へ変わり、夜色の着物を身に纏い、銀色の仮面を装着する。
胸元につきを模した懐中時計のアイテム【ムーンシェル・ウォッチ】が現れ、そこには10%と表示されている。
「さて……」
ふわりと地面に降り立ち、己の内側に意識を向けると、何が出来るのかが少しずつ理解出来て来る。
「ふむ……」
俺は空に空いた亀裂から出て来た魔物へ目を向ける。
そこには巨大な蝙蝠型の魔物が悠々と上空を飛翔し、獲物を探していた。
《サイスモード!》
「ふっ!」
軽く右手を振り、専用武器である十文字槍【湖月】を呼び出し大鎌へと変形させると、一気に魔物に向かって跳躍する。
「はぁっ!!!」
私はまだ遠くに居る魔物目掛けて湖月を振るうと、柄の部分が凄まじい勢いで伸び、魔物の真上まで刃が届く。
「先手必勝!」
ムーンシェル・ウォッチを湖月に嵌め、ボタンを押して必殺技を発動する。
《クレセントムーン!スラッシュ!》
湖月の刃が巨大化し、伸びた柄が一気に収縮しながら魔物の体を両断した。
「Kiiiiiiiii!!!!????」
魔物は何が起きたのかも理解出来ないまま魔力の塵へと還っていく。
「思った以上に呆気なく終わったわね、これならささっと帰れそう」
そんな事を呟きながら着地すると、突如首元に金属じみた冷たい感触がする何かが当てられる。
「そう、それならち〜っとばかしアタシに付き合って貰えるかしら?」
首元の何かを跳ね除け距離を取りながら振り返ると、そこには俺へ向けて太刀を構える海の様に青い着物風衣装を着た魔法少女が居た。
「嫌だと言ったら?」
私の質問に青い魔法少女はフンっ!と鼻を鳴らして答える。
「それなら、叩きのめして支部に連れ帰るだけよ」
「穏やかじゃあ無いわね、俺貴女に何かしたかしら?」
本当に心当たりが全く無いのだけれど、どうしようかしら。
何がどうしてこうなったのやら?
魔法少女紹介
日輪の魔法少女アマテラス
魔法少女ランクB
白い髪の魔法少女
ある日妖精と契約して魔法少女になった。
専用武器は鏡型魔法具の【ヤタノカガミ】
基本的に大人しく慎重な性格、しかし妙な所で頑固な1面もある少女。よくスサノオに振り回されている。
友人からはアマ子と呼ばれている。
趣味は人助け
剣閃の魔法少女スサノオ
魔法少女ランクB
海色の魔法少女
ある日自力で覚醒し魔法少女になった。
専用武器は太刀型魔法具の【アメノハバキリ】
基本無鉄砲で、考えるより先ず行動するタイプの性格。
しかし戦闘におけるセンスはかなりよく、どんな隙も見逃さない。よくアマテラスを振り回している。
アマテラスのみスーちゃんと呼ぶ事を許している。
趣味は鍛練と実践
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