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東の狂犬は、万年Eランクにしか懐かない  作者: 揚げ太郎
【第6章】 ただいまと言える場所
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弱くても強い皆

   ――ツバキ視点――

 東都市に戻ってくると、なにやら様子がおかしかった。

 どうやらギルドの皆が、アタシを心無い噂から守るために、裏で色々と動いてくれていたらしいのだ。

 アタシより弱い皆が、アタシのことを必死に守ろうとしている。

 そう思うと、胸の奥がむず痒いような、不思議なほど温かい気持ちになっていた。

 ふと、東都市の皆の『名前』が頭をよぎる。

 ……なんでだろう。

 アタシは『強い戦士』の名前しか覚えないはずなのに。最近はトビーやニナ、そしてピノンと、気がつけば勝手に覚える名前が増えていた。

 そう言えば、アタシはなんで……強い戦士しか名前を覚えないようにしてたんだっけ?

 ……そうだ。

 弱い奴は、アタシと違う世界に生きている。気まぐれに優しくしてくれても、必ず恐怖して向こうから離れていく。だから、名前なんて覚えるだけ無駄だと思っていたんだ。

 でも、強い奴なら。アタシと同じ世界で戦える強い奴なら、アタシを置いていなくなったりしない。

 そんな、傷つくことを恐れる臆病な願いを込めていたんだ。

 だから、西都市でレオンハードに拒絶された時、あんなに苦しかったんだ。

 アタシと同じ『強い戦士』にすら理解されないなら、アタシは本当に、たった一人なんだって思い知らされた気がして。

 でも、今アタシの周りにいるのは、強い戦士ばかりじゃない。

 もしかしたら、誰かの隣を歩くのに、強い弱いは関係ないのかもしれない。

 ……いや。きっと皆は、弱くないんだ。力だけでは分からない強さがあって、弱くても強いんだ。

 それならば『強い戦士しか名前を覚えない』というアタシのつまらない意地は、もうここで捨ててしまおう。

 強い皆にアタシは、敬意を表す必要があるから。

「ううん。きっとアタシも望んだやり方だと思う。ありがとう――ギデオン、ルミオン」

 そう素直に声に出した瞬間。

 目を見開いて固まった東と南のギルドトップ二人の顔が目に入り、アタシは途端に気恥ずかしくなった。

「あ、明日から、仕事には復帰するぞ!」

 そう言って、逃げるように足早にギルド長室を後にする。

 バタン、と扉を閉めてロビーに出ると、ギルドに戻ってきたクロエの姿が目に入った。

 アタシの為に、街の大人たちを本気で怒鳴りつけてくれたという彼女の姿。

 西都市の帰り道に、アタシを力強く抱きしめてくれた、あの時の温かさが鮮明に蘇る。

 気がつけば、アタシは無我夢中で駆け出していた。

「きゃっ!? な、なに!?」

 驚いて振り返るクロエの胸元へ、思い切り飛び込んで抱きつく。

「ただいま! クロエ!」

 ぽかんと呆気にとられるクロエの顔がなんだか可笑しくて、アタシは思い切り笑っていた。

 帰る場所がアタシにもあるんだ。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

ちょうどストーリーの折返しになります!

後半を書き上げるので、再開は一週間後を予定しておりますのでよろしくお願いします!


読んでくれている方がいるようで安心しております!

評価等、励みになりますのでよければ応援お願いします!

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