表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東の狂犬は、万年Eランクにしか懐かない  作者: 揚げ太郎
【閑話】お菓子な握手
24/27

お菓子な握手

ー クロエ視点 ー

「べ、別にいらない!」

ツバキが慌てたようにブンブンと首を振る。

さっきまでの獲物を狙うような熱い視線からして、絶対にそんなことはないはずだけど……。

「嘘言いなさいよ。一緒に食べましょうって誘ってあげてるんだから、素直に受け取りなさい」

「うー……その……アタシ、甘いものは苦手なんだ……」

ツバキは頑なにお菓子に手を伸ばそうとしない。

そんなに私と一緒に食べるのが嫌なのかと、なんだか少し不機嫌になってしまう。

「なにをそんなに遠慮してるのよ」

「だって……」

ツバキは膝の上で両手をギュッと握り、困ったように伏し目がちになって、ポツリと呟いた。

「受付の姉ちゃん……アタシのこと、嫌いだろ?」

(……っ)

それを正面きって本人に聞くか、普通。

思わず呆れたような苦笑いが漏れてしまう。でも、言葉の裏を読んだり誤魔化したりできず、思ったことをそのまま口に出してしまう不器用さこそが、この『ツバキ』という少女なのだと改めて思う。

「そうね。嫌いよ」

私がハッキリと肯定すると、ツバキは「やっぱり」と言いたげに、分かりやすくシュンと肩を落とした。

私は持っていた焼き菓子を包み直し、そのままツバキの小さな手を取って、無理やりギュッと握らせた。

「でも、このギルドの『仲間』だとは思ってるわ」

「……え?」

予想外の言葉だったのか、ツバキが弾かれたように顔を上げ、戸惑った顔で私を見つめる。

「嫌いなのに……仲間???」

「そういうものなのよ」

なんだか急に、自分の小っ恥ずかしい言動に耐えられなくなってきて、私は真っ赤になりそうな顔を誤魔化すように背を向けた。そして、これ以上何か言われる前に、足早に休息室を出た。

バタン、と扉を閉めた後。

ほんの少しだけ開けた扉の隙間から、こっそりと中の様子を窺う。

するとそこには――両手で大事そうに焼き菓子を持ち、ニコニコと幸せそうに頬張るツバキの姿があった。

(……本当に、現金な子)

今度は、街の甘味屋にでも連れて行ってあげよう。

私は少しだけ軽くなった足取りで、受付カウンターへと戻っていった。

閑話「お菓子な握手」、最後までお読みいただきありがとうございました!


【明日は第3章「その価値の決め方」を掲載します! 】

全13話となります!


明日は12時、20時に更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ