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東の狂犬は、万年Eランクにしか懐かない  作者: 揚げ太郎
【閑話】お菓子な握手
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名案の挫折、偶然のティータイム

ー クロエ視点 ー

ギルド内のクエストボードを熱心に見つめるトビーの姿を発見した。

「ちょっと、トビ……」

「おっさん、今日はなんの仕事をするんだ?」

声をかけようと足を踏み出した瞬間、トビーの隣にひょっこりとツバキが顔を出し、見事にタイミングを奪われてしまった。

(まぁ、焦る必要はないか……。後で一人の時にでも聞こう)

そう思っていたのだが、待てど暮らせどトビーに一人で話しかける機会が一向に訪れない。

改めて観察してみて思うが、ツバキは本当にトビーの隣によくいる。まるで親鳥にくっつくカルガモの雛だ。流石にギルドの外では別行動もとっているのだろうが、ギルドの窓口職員である私が、ホイホイと持ち場を離れて街まで探しに行くわけにもいかない。

(随分、トビーに懐くようになったのね……)

トビーの横を、時折文句を言いながらもノンビリと歩くツバキの姿を遠目に見ていると、なんだか『私が無理にツバキと関わる必要もないのかな?』と思い始めてきた。

ただでさえ不器用な私が、変にプレゼントなんて慣れない気遣いをしたところで、逆にツバキと気まずくなるだけかもしれない。

やめやめ、もういつも通りでいこう。

私は思考を切り替え、溜まった疲労を一息でリセットしようと、とっておきのお気に入りの焼き菓子と温かいお茶を持ってギルドの奥の休息場へと向かった。

ガチャリ、と扉を開ける。

――するとそこには、なぜか珍しくツバキが一人でポツンと椅子に座っていたのだ。

「「あ……」」

お互い、思わず間の抜けた声が出る。

気まずい。すこぶる気まずい。だが、流石にここで「やっぱりやめた」と踵を返して部屋を出るのは、いくらなんでも感じが悪すぎる。

私は平静を装い、「ふぅ」と一息ついて少し離れた席に着くと、包み紙から焼き菓子を広げた。ふわりと、バターと砂糖の甘く香ばしい匂いが休息場に漂う。

……ん?

なんだか、視線を感じる。

チラリと横を向くと、ツバキが私の手元にある焼き菓子を、ジッと食い入るように見つめていた。

「……一緒に食べる?」

私がそう提案すると、ツバキがバッ!! とものすごい勢いでこちらを見た。

(なんだ……。普通に甘いもの好きだったのね)

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