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退魔の英雄  作者: 明太子
外界之魔陰
67/81

58 鉄の輪

毎日投稿三日目。

どうやら昨日一日目と勘違いしていたようで.....こっちが正解ですのでご了承を。


では楽しんでください!!

 人生初のアクセサリーは、当然の事人に寄るだろう。大多数はネックレスやら指輪やらまぁ取り外しの楽なモノがそれに該当する。かく云う鬼川祐の初アクセサリーは随分と仰々しい腕輪であった。

 ブレスレットと聞かれれば首を縦には触れない代物。

 重苦しく、見栄えを取っ払った鉄の輪。それは片側に付けるモノではなく両腕に付ける事で意味を成す捕縛の輪。

 その両輪には自由を奪う鎖が巻かれている。

 そうそれは手錠と言うモノであった。

「だーかーらー!!俺は襲われた側だって再三言ってんだろ!!」

「はいはい。みすぼらしい言訳どうも....それで何で襲ったんだ?」

よく吠える狗を宥める素振りでワイシャツ一枚の刑事は祐の前で質問を連投する。

 装飾何て無い灰色の一室には三人が座っていた。一人は容疑者としての祐。後は事情聴取の刑事とそれを記録する一人の部下。

「はぁぁ....なぁそこに人。こいつじゃ話にならねぇから、違う人連れて来てくれよ」

記録係に声を掛ける祐だが、彼は機械のように微細な反応を見せる事さえしない。

 拘束されてから、はや三十分。そもそも罪など犯していない祐は誤認と一辺倒に連呼するが、刑事は頬杖を突きそれを認めない。

「あのなぁ坊主。そりゃ証拠が無ければ俺もこんな事せんよ.....けど、悲しい事に現代には防犯カメラっつう記録装置があってな。────ほらっ」

机に乗っていたノートパソコンをくるりと祐の方に見せつける。

 低画質の画面は、ラーメン屋の一戦を俯瞰した光景であった。

「まぁ初めに何で机にこんな穴が開いたのかは分からねぇけど、先にお前の蹴りが入ってる」

スペースキーを押したと同時動き出した動画。左軸の後ろ回し蹴りが一瞬のタイムラグを挟みつつも魔術師の首に決まっていた。

 刑事は左キーを一度叩き動画が繰り返されを三度は繰り返し見せる。

 そこに祐の言訳の余地など無かった。




「さっきの連行された犯人は何をやらかしたんや?」

現代として似つかわしくない室内喫煙を決め込む刑事は、始末書と睨めっこする新人にふと話しかける。

「あぁ滝澤先輩.....白髪の男でしたら、傷害と器物損害で今、西さんが事情聴取中です」

「─────はぁそう。んじゃどうしてお前は始末書一個書くのにえらく手間取っとんのや?」

喧騒うずまく警視庁。滝澤の煙草が良く震えた。

「それが─────」

一人の刑事は滝澤にラーメン屋の一戦が流れるディスプレイを指さす。

「ん?」と滝澤は目を細める。

「初めの方、どういう原理なのか分からないんですが。明らかに先に手を出されたのは、白髪の方でして......」

左キーを押して祐側の机が吹っ飛ぶ瞬間を男は何度も繰り返す。

 異質な光景。

 それは怪事と変わらぬ、異変。

 だが唐突に滝澤の眼が光る。

「それに店の人も白髪の方は助けてくれたと言っていて。まぁ西さんは白髪が犯人だと決めつけているんですよ」

「──────なぁ。西とこの白髪、何処で取り調べしてる?」

付和ついた声色。男はふと視線を上げると、虐めがいのある弱者を見つけたような瞳を滝澤は宿していた。

「401でやってると──────それがどうかしたんですか?」

「別に。んじゃちっと行ってくるわ......あぁそれと始末書の方は、正当防衛って書いておけ」

机に形式上乗せられた灰皿に煙草を押し付けると滝澤は振り返ることも無く部屋から出ていった。




──────

「つまりお前の犯行は、間違いのないモノだと証明されたわけだ。それでも認めないつもりか?」

弱者をいたぶる事に高揚感を得た西村は、満悦に微笑む。

「んじゃあよ。最初の机が壊れたのはどう説明するんだ?ラーメン啜ってる俺がどうやって壊したんだ?」

「ッ!!..........それは、け経年劣化」

痛いところ突かれ、西村の言葉尻は右肩に下がった。

「いや経年劣化で拳一個分の穴が開くって在り得ねぇだろ。流石にアインシュタインでも証明不可能だと思うぜ」

「──────けど、事実先に手を出したのはお前だ!!!つまりお前が──────


 高潮に達っする刹那に、咄嗟鉄の扉は音を立てて開かれる。

「はい。一旦そこまで───西。後は俺が対応するからおめぇは外行ってろ」

新品の煙草を口にぶら下げるように加えた滝澤はやけに気だるげであった。

(────フレッシュなおっさん?)

どこか雰囲気の似ているその男を網膜に入れると祐は首を傾げた。

「俺が対応するって.....こいつをとっ捕まえたのは俺っすよ!?」

「お前じゃ埒が明かねぇから手助けに来ただけだ。それ、さっさと出ろ」

顎先をくいと廊下に向けると嫌々に西村は腰を上げた。去り際にぎろりと祐を睨み付けたのは、己が手柄に出来なかった嫉みだろう。

「えぇっと......おっさんが俺の取り調べ相手になるって事か?」

「まだ俺はおっさんと呼ばれる年齢ちゃう.......けど憶測は合っとるわ」

気品も見せずに滝澤はパイプ椅子に腰を下ろすと、すうと煙を肺に取り込んだ。

 足を組み入り口から見て右の壁を見つめるとゆったりと口を開く。

(ん......このおっさん、若干魔力を帯びてる)

「まず初め.....お前は無実だ」

「だから何度もそう言って.........えっ!?」

机をドンと叩き脚と脚の間を見下ろした祐は、餌に喰い付いた魚の様に顔を上げた。

「お前......退魔の衆の人間だろ。相手は魔術師って所か?」

滝澤はイカレた断言を口にした。勝ち誇った表情に口を尖らせると、残った煙を祐に吐く。



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初見でしたら第零話から読んでもらえると助かります。

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