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親友

この日も華椰葉は地下街に来ていた。

任務だからではない。

燦羅から連絡が入ったからだ。




カランカラン




「あら華椰葉ちゃん! いらっしゃい!」

「お久しぶりです! 燦羅さんに用があって来たのですが......」

「燦羅なら部屋にいるから、どうぞ上がって!」

「はい! 失礼します」




コンコンコン


「華椰葉です!」



「どうぞ入って」


ガチャ


「いらっしゃい! 急に呼び出しちゃったわね」


「いえ、とんでもないです! ......その地下人の忍術についてわかったことって」


「ほんっと華椰葉本題に入るのがはやいわね。まずは座ってちょうだい」


「す、すみません」


少し焦りながら華椰葉は腰掛けた。


「で、忍術を使う地下人を見つけたわよ」


「聞いたときは驚きました。さすがです」


「そんな褒めないでちょうだい。意外と常識的なことだったらしいわ。忍術を使う地下人は」


「常識的?」

華椰葉は疑問に思った。


「そう、私が知らなかっただけみたい!」


「そ、そういうことですか! それでその人たちは一体どこに!」


「華椰葉はすごくこの話に積極的ね。どうしてそんなに気になるの? 確かに忍術を使える地下人なんて驚きだけど」


華椰葉は少し目をうるっとさせて、

「私の大切な人の命を奪ったからです。......でも、仇を取ろうとかそういうことではないです。ただ、忍術による攻撃によって私たち軍と交戦はしたくないのです」


燦羅は悲しそうな顔をしながら、

「......そういうことね」

と言った。


「でも今すぐには行かないわよ。その前に少し話を聞いてちょうだい」


「はい、わかりました」


燦羅は先ほどよりもラフな座り方へと変えた。


「まず、常識的だったってのは地上に出て窃盗とかしてる人は忍術を知っていて当たり前だったみたい。でも、常識的だからといって別にウチでその話をしたりするわけじゃないから私は知らなかったみたい」


「そんなに常識的なことならば、ずっと前から忍術は使われていたのでしょうか」


燦羅は悩みながら、


「ずっと前からあったかはわからないけど、最近になって活発になったのは確かね。忍術を教えてくれる人がきたらしいわ」


華椰葉は集中してその話を聞き続けた。


そして、


「ここからが本題よ」


「忍術の訓練をしている地域があるのだけど、そこに今日は忍術教えてくれるという張本人がくるらしいわ」


華椰葉の瞳孔が小さくなった。


「まぁ、その人を見つけたからってどうする話でもないけどさ」


「はい、まずはその人がどんな人なのか、どこを情報源に忍術を学んできているのかを調べたいです。もし、また人に危害を与えるとなれば話は変わりますが......」


「そうね、賛成だわ。私も地上人との戦いでお互いの誰かが死ぬのはもう嫌だから」


調査をするのは人々が寝静まった頃。

その時にターゲットもその地域に来るらしい。

隠れて調査をするには適しているからありがたいと思った。


それまでの間、少し部屋でゆっくりとさせてもらうことにした。




「華椰葉は生まれてきてよかったって思ったことある?」

それは突然の質問だった。


考えたこともなかった。

でも確実に言えるのは、


「よかったと思ったことはないです」

暗い表情をして言った。


「もちろん、楽しいこと嬉しいことはあります。でも、生まれてきてよかったって言葉につながりは......しないです」


「うん、そうだろうね。だって華椰葉は自分のために生きてるって感じがしないから聞いてみたのよ」


「自分のため......」


そう、華椰葉は自分の痛みなど気にしていない。他人の痛みで華椰葉の怒りは増大する。


「私は華椰葉を解放してあげたいの。そんなこと無謀なのかもしれない。でも、地上人との地下人のいざこざがなくなれば不可能な話ではないわよね」

ニコッとして、華椰葉を思う気持ちを伝えた。


「燦羅さん......」


「ふふっ私って素敵な親友でしょ!」

自慢げに笑った。

燦羅なりの気遣いなのだろう。


「はい、素敵な親友を持って私は幸せです!」


すると、燦羅はジロッとした目をして、

「気になったんだけど、私以外にも親友っているの?」


その目つきにドキッとする。

「はい、私は友人に恵まれていると思います」


その言葉を聞いて燦羅は、

「よかったわ、まさか私だけかと思っちゃったじゃないの」


嫉妬だと思った華椰葉は少しホッとしている。


「みんなそれぞれの個性があって、他人思いで、こんな私のことも大切に思ってくれて......」


その後華椰葉は、親友の話をたくさんした。

燦羅はその話を楽しそうに聞いていた。


そんなこんなで外を見るといつの間にか街の灯りは消えていた。

そして2人は着替えて調査に向かった。




「とにかく私についてきてくれれば大丈夫よ」


「はい」


暗闇を颯爽と駆け抜ける2人。


そして、

「ここよ」


そこは明るかった。

人々が暮らしている場所から少し離れていて、そこで訓練をしているのだろう。

個々で訓練をしている中、ターゲットが現れるまでじっとしていた。


すると、

「忍術の時間だ! 整列!」



「きたわね」


地下人は整列をした。


そして前にターゲットが現れた。


「若い女性?」

華椰葉は想像していたターゲットと違い、驚いていた。


「さぁ、みなさん先日教えた目眩しの術はもう習得しましたか?」




その声はどこか耳馴染みのある声だった。

しかしその姿は大事をとって離れていることから、鮮明に見る事ができない。


「燦羅さん、もう少し近づいてもいいですか」


「あんまり近づきすぎると危険だけど......」


すると彼らは目眩しの練習を始めたのか、ザワザワとし始めた。


「今なら少しくらい近づいても大丈夫そうね」


そして2人は前進した。


だんだんとターゲットの顔があらわになる。


そして華椰葉はその声の持ち主と合致した。


「そ、そんなわけがない」


血の気がサァーと引いた。

目の前の現実に目を背けたくなった。


「もう嫌......やめて......どうか」






そこにいたのは紛れもなくみゆりだった。






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