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地下人

カランカラン


扉が開いた



「ただいまー」



入ってきたのは、

なんか見たことのある雰囲気の人だった。


すると目が合い、


「華椰葉?」


「え」


すると走ってきて華椰葉にハグをした。

「うわー華椰葉じゃないの! 久しぶり」


この色っぽさはまさに、あの時のX!


伊賀家への侵入をした時に、情報をくれた地下人の忍者!

ってさっき「ただいま」って言っていた?


「あら知り合いだったのかい? またどこ行ってたんだよ、燦羅(さんら)。あんたがいなくなった間、華椰葉ちゃんが手伝ってくれてたんだよ」


「あら、そうだったのねありがと華椰葉!」


華椰葉はニコッとした。


「そして彼女こそが私の親友の華椰葉よ! で、このおばさんが私のお母さん」


「おばさんって何よ!」


ポコポコと燦羅の頭を叩いた。


「いてててて」


私、とんでもないところで働いてたんじゃ......

燦羅は私が軍人であることを知っている。

知っているけれど、私をどうこうすることはなかった。

でも他の皆は? 燦羅のお母さん、たくさん話してくれたお客さんたち。私が軍人だと知ったらどう思うのだろう。


「華椰葉、浮かない顔してどうしたの? 疲れちゃったのかしら。一緒に私の部屋で休みましょ」


「あぁ、そうしてあげなさい。華椰葉ちゃん、ありがとさん手伝ってくれて。明日からは燦羅が働くからもう大丈夫だよ! 無理させてすまなかったね」


「いえいえ、私こそお世話になりました」



そして燦羅の部屋へと入っていった。



「どこでもいいよ、好きなとこに腰掛けてちょうだい」


椅子はなく、ただ地面に座るだけだ。


「し、失礼します」


そこから華椰葉はだんまりだった。


「ちょ、ちょっとなんでそんな静かなのよ! ってまぁいいわ。改めて私は燦羅、よろしくね華椰葉」


「はい、よろしくお願いします燦羅さん」


「あーあ、この間あんなにかっこよくXって名乗ったのに、すぐに名前バレちゃったじゃないの」


「まさか、燦羅さんのお宅とは知りもせず......」


「別にあなたのこと疑ったりはしてないわ。お母さんは人の目利きがいいからね。変な人に店を手伝わせたりはしないわよ」


華椰葉はハッと目を見開いた。


「私が怪しくて、ここに呼んできたのではないですか!」


「何言ってんのよ、親友との再会なんだからお話しして当たり前でしょ」


先ほどから親友と言っているが親友になった記憶はない。

"友達"だったはずなのに......


「でも、何かを調査しにここへきてるんでしょ。どう? なにか得られたものはあった?」


「はい、私の考えはここで大きく変わった気がします。これまでみんながみんな自分の正義のために戦っていると考えていました」


「うん、それで?」


「それが確信に変わったんです」


真っ直ぐな眼差しで燦羅に伝えた。


「どちらかの立場にしかいなければ、真実はわからない。双方の立場になることによって、やっと入り口が見えてくる」


「そうね、華椰葉の言う通りよ。私も地上に行ってそう思った。あぁ、この戦いは相手を知らないから終わらないんだなって」


そうか、燦羅は信用できると私自身が直感したのはこれか。私と考え方が似ていて、私が地下人として生まれてきたら燦羅だったのかもしれないと感じた。


「燦羅は、なぜ地上に行くのですか?」


「地上人を知りたいからよ。そして、地下人はなぜ生まれ落ちたその時から地獄なのかと」


あぁ、やはりそうだったんだ。

地上人がいるから、地下人は地獄の人生を送っているんだ。


私は迷った。

この選択をしていいのか否か。

でも、ここにこそ一筋の光が差し込んでいる気がする。


「燦羅さん、私と手を組んでくれませんか。地下人と地上人の矛盾を解放するために」


その言葉を聞いた燦羅は目をうるっとさせ、

「華椰葉、あなたは素敵だわ。もちろんよ。共に戦いましょ、この世界のために」




こうして、地下人の敵である軍人一色華椰葉は地下人の燦羅と手を組むことになった。




「そしたらまず私たちは何をするの?」


「そうですね。まず私が今回調査することは2つあって、1つ目はもう完了しました。そして2つ目がなかなか難しくて......燦羅さんに聞いてもいいですか」


「いいわよ、わかることならなんでも答えるわ」


「忍術を使える地下人はどのくらいいるのですか」


その言葉を聞いてアハハと笑った。


「な、なぜ笑うんですか!」


「地下人が忍術を使える訳ないじゃないの!」


心臓がドキッと止まった気がした。

「え、それはどういうことですか。そもそも燦羅さんも忍者だし」


「あー、私は忍者風よ! 忍術なんて一切使えないんだから」


「そしたら先日の伊賀家への侵入は!」


「あれはぴょんと入って罠に引っかかっただけよ。忍術を使えるようになりたい訳でもなく、ただ地上のあらゆる事が気になるから調査していただけ」


「そう、だったんですね。では、地下人が忍術を使えないとは」


「そもそも忍術を知っている人なんているのかしら。私は幼い頃、地上に出ては隠れて観察をしていた。その時に目にしたのが忍術だったからね。忍術に関する書物が盗まれて地下街に来たとしても、それはおとぎ話と思われて誰も気にしないわ」


「幼い頃......忍者にバレなかったのですね。だから燦羅さんは忍者に興味を持つように」


「えぇ、そうよ。そして、地下人が忍術を使えないのは地下人が窃盗罪で送られてくる人々だから。忍者の家系だったら盗んだって窃盗罪にはならないでしょ」


「そ、そういうことですか! 確かによく考えればわかる事ですね」

なんでそんな単純なことに気づかなかったのだろうと、しょんぼりする。


「でも、もし忍者の家系で地下街に送られた人がいたら話は違ってくる」


そうか、過去にそのようなことが無かったとは言い切れない。それが事実だったら先日の目眩しの忍術を使えることも可能性としてはある。


「ありがとうございます燦羅さん。これを元に地下人のことを調査していこうと思います」


「そうね、私もなにか手がかりがないか地下からも調べてみることにするわ」


華椰葉がそろそろ帰ろうかと立ちあがろうとした。


その時、


「ねぇ、華椰葉ちょっと待ってもらえるかしら。これから手を組む前に一つ聞きたい事があって」


「はい、何でしょう」


「あなたは一色家だから詳しいと思うから聞くけど」


一色家と聞いてドキッとする。



「軍は地下人の窃盗を制圧するときに地下人を殺すじゃない?」



「はい」



一体この先に何を聞かれるのだろうか。





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