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37話 オズワルド

 どこからか声が聞こえる。暗闇の中に響いてくるような、悪意に満ちた声だ。ルシアンみたいに低い、男の人の声だけど、今まで聞いてきたどの声とも似つかない、無機質な声。それと同時に、ヴィンセントの体は暗闇に溶けるように消えてしまった。僕はヴィンセントを探そうとするけど、体が思うように動かない。まるで暗闇が逃がさないと、僕の足を掴んでいるみたいだ。クリスもコーラも、暗闇の中でじたばたもがいている。為す術もなく、僕ら三人は不気味な声がする暗闇の中を漂っていた。まるで何もなくなった世界に残されているように。

  

 暗闇に覆われた世界。僕らの体にも、どす黒い闇がまとわりついた。僕は手足をばたつかせて、闇を振り払おうとする。この闇は僕らの存在をも、塗りつぶしてしまいそうだ。その時、暗闇から一人の男の人が現れた。この暗闇と同じくらい黒いボロボロのコートを纏っていて、目元は大きなクマが浮かんでいて落ちくぼんでいる。くすんだ銀色の髪が、暗闇の中で不気味に輝いていた。鼻が高いけど、痩せこけたその顔は、悪魔が人間に化けたみたいだ。その顔を見て、コーラはひどい衝撃を受けたような顔になる。

「やあ、カーラ。久しぶりだね」

貼り付けたような笑顔を浮かべて、男の人はコーラに歩み寄る。彼の足が暗闇に触れると、闇はまるで水たまりのように波紋を広げた。その声を聞いて、全身に悪寒が走る。この声は、さっきの声と一緒だ。僕らを嘲笑うような、悪意に満ちた声と。コーラは怯えた様子で、男の人を見ていた。

「あなたは……」

「会いたかったよ、カーラ。僕だよ、君の親友のオズワルドだよ」

男の人がオズワルドと名乗るなり、コーラは激しく動揺した。オズワルド……。コーラが上の空で良く呟いていた名前だ。この人が、コーラの夢の中に良く出てきていた人なのかな。彼の光のない紫色の瞳は、コーラだけを見つめていた。

「どうしてあなたが……。だって、あなたはあの時……」

「そう……。僕はあの時、君を救えなかった。そのことに絶望して、僕は薬を飲んで命を絶ったんだ」

オズワルドはそう言って、胸元のペンダントを押さえる。金色のペンダントは、所々汚れていた。オズワルドは悲しそうな顔をしている。まるでオズボーンさんが奥さんのキャメロンさんを亡くした時みたいだ。オズボーンさんも一時期こんな風にひどく落ち込んでいた。その時だけは、オズボーンさんの穏やかな顔が曇っていたよ。きっと、オズワルドもその時は、そんな感情だったのかな。クリスも顔をしかめる。何か思い出したくないことを思い出したように、苦々しい顔だ。

「でも、僕は君をどうしても生き返らせたかった。だから君の魂を、魔法で僕の本の中に入れることによって君を蘇らせたんだ。本の中なら、君は死ぬことがないからね」

オズワルドは淡々と語り続ける。その姿こそはみすぼらしい男の人だったけど、言葉の一つ一つには迫力があった。まるで亡霊の恨み言のように。コーラは自分の存在を再認識するように、光の帯を見つめた。あの体も、オズワルドから与えられた仮の姿なのか。本当のコーラは、一体どんな人だったんだろう。

「君達には感謝しているよ。カーラをここまで導いてくれたからね。ここまで来てくれたのは君達が初めてだよ」

僕らを見て、オズワルドは冷たい笑みを浮かべる。そして腕を振り上げて、白い霧を作り出した。霧は僕らを包んでいく。クリスとコーラの姿が、霧の中にかき消えた。同時に、体の自由が効くようになる。僕はありったけの大声で、クリスとコーラを呼んだ。くぐもった声が霧の隙間から聞こえてくる。

「でも、この物語を終わらせるわけにはいかないんだ。この物語は永遠に繰り返され続けるんだよ。絵本が閉じられて、カーラが消えてしまわないためにもね!」

強い決意が込められた声が、霧の間だから突き刺すように木霊する。すると、霧に紛れていくつもの人影が現れた。ぼやけていてよく見えなかったけど、それはどんどん僕の方に近づいてくる。その姿がはっきりした時、僕の頬に冷や汗が垂れる。その姿は……顔がはっきり見えないけど、僕が今まで会ってきた人達だった。

「全ての記憶をゼロに戻すんだ。物語を最初に戻して、登場人物が何度も同じ役割を演じるためにね!」

どこからか声が聞こえる。暗闇の中に響いてくるような、悪意に満ちた声だ。ルシアンみたいに低い、男の人の声だけど、今まで聞いてきたどの声とも似つかない、無機質な声。それと同時に、ヴィンセントの体は暗闇に溶けるように消えてしまった。僕はヴィンセントを探そうとするけど、体が思うように動かない。まるで暗闇が逃がさないと、僕の足を掴んでいるみたいだ。クリスもコーラも、暗闇の中でじたばたもがいている。為す術もなく、僕ら三人は不気味な声がする暗闇の中を漂っていた。まるで何もなくなった世界に残されているように。

  

十一話 終わりゆく一つの物語

 暗闇に覆われた世界。僕らの体にも、どす黒い闇がまとわりついた。僕は手足をばたつかせて、闇を振り払おうとする。この闇は僕らの存在をも、塗りつぶしてしまいそうだ。その時、暗闇から一人の男の人が現れた。この暗闇と同じくらい黒いボロボロのコートを纏っていて、目元は大きなクマが浮かんでいて落ちくぼんでいる。くすんだ銀色の髪が、暗闇の中で不気味に輝いていた。鼻が高いけど、痩せこけたその顔は、悪魔が人間に化けたみたいだ。その顔を見て、コーラはひどい衝撃を受けたような顔になる。

「やあ、カーラ。久しぶりだね」

貼り付けたような笑顔を浮かべて、男の人はコーラに歩み寄る。彼の足が暗闇に触れると、闇はまるで水たまりのように波紋を広げた。その声を聞いて、全身に悪寒が走る。この声は、さっきの声と一緒だ。僕らを嘲笑うような、悪意に満ちた声と。コーラは怯えた様子で、男の人を見ていた。

「あなたは……」

「会いたかったよ、カーラ。僕だよ、君の親友のオズワルドだよ」

男の人がオズワルドと名乗るなり、コーラは激しく動揺した。オズワルド……。コーラが上の空で良く呟いていた名前だ。この人が、コーラの夢の中に良く出てきていた人なのかな。彼の光のない紫色の瞳は、コーラだけを見つめていた。

「どうしてあなたが……。だって、あなたはあの時……」

「そう……。僕はあの時、君を救えなかった。そのことに絶望して、僕は薬を飲んで命を絶ったんだ」

オズワルドはそう言って、胸元のペンダントを押さえる。金色のペンダントは、所々汚れていた。オズワルドは悲しそうな顔をしている。まるでオズボーンさんが奥さんのキャメロンさんを亡くした時みたいだ。オズボーンさんも一時期こんな風にひどく落ち込んでいた。その時だけは、オズボーンさんの穏やかな顔が曇っていたよ。きっと、オズワルドもその時は、そんな感情だったのかな。クリスも顔をしかめる。何か思い出したくないことを思い出したように、苦々しい顔だ。

「でも、僕は君をどうしても生き返らせたかった。だから君の魂を、魔法で僕の本の中に入れることによって君を蘇らせたんだ。本の中なら、君は死ぬことがないからね」

オズワルドは淡々と語り続ける。その姿こそはみすぼらしい男の人だったけど、言葉の一つ一つには迫力があった。まるで亡霊の恨み言のように。コーラは自分の存在を再認識するように、光の帯を見つめた。あの体も、オズワルドから与えられた仮の姿なのか。本当のコーラは、一体どんな人だったんだろう。

「君達には感謝しているよ。カーラをここまで導いてくれたからね。ここまで来てくれたのは君達が初めてだよ」

僕らを見て、オズワルドは冷たい笑みを浮かべる。そして腕を振り上げて、白い霧を作り出した。霧は僕らを包んでいく。クリスとコーラの姿が、霧の中にかき消えた。同時に、体の自由が効くようになる。僕はありったけの大声で、クリスとコーラを呼んだ。くぐもった声が霧の隙間から聞こえてくる。

「でも、この物語を終わらせるわけにはいかないんだ。この物語は永遠に繰り返され続けるんだよ。絵本が閉じられて、カーラが消えてしまわないためにもね!」

強い決意が込められた声が、霧の間だから突き刺すように木霊する。すると、霧に紛れていくつもの人影が現れた。ぼやけていてよく見えなかったけど、それはどんどん僕の方に近づいてくる。その姿がはっきりした時、僕の頬に冷や汗が垂れる。その姿は……顔がはっきり見えないけど、僕が今まで会ってきた人達だった。

「全ての記憶をゼロに戻すんだ。物語を最初に戻して、登場人物が何度も同じ役割を演じるためにね!」


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