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『元転生勇者だけど魔王討伐に惨敗して無職になったので、魔物専門の精肉店を始めたら美味くて滋養があると大繁盛!〜なお、一番美味い食材は魔王の模様〜』  作者: 藤台団二
【第1章】勇者廃業、そして実家の精肉店へ

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第二話(後編):進化したポンコツたち、現る。

お待たせいたしました、第二話の後編です!


無事にドラゴンの仕入れを終えて店に戻ったカイト。


大繁盛の店内でエレノアと切り盛りしていると、突如、店外から地響きのような足音が近づいてきて――?

それでは後編をどうぞ!

「カイト様、おかえりなさいませ! お怪我はありませんでしたか!?」


店に戻ると、割烹着姿のエレノアが小走りで出迎えてくれた。


相変わらず目の保養になる美しさだ。


王族特有の高貴さを漂わせながらコロッケの油の匂いをさせているギャップが、またたまらない。


「ただいま、エレノア。


怪我なんてするわけないだろ。

ほら、最高のレッドドラゴンが手に入ったよ」


「お見事ですわ!

さあ、予約分以外のお肉は、すぐに特設コーナーを設置して、

お並びのお客様にアピールいたしましょう!」


俺が仕入れてきた極上の竜肉を店頭に並べると、

待機していた冒険者たちから

「うおぉぉぉ!本当にドラゴンを仕入れてきやがった!」


「あの店主、やっぱりバグってねえか!?」

と歓声が上がった。


エレノアが

「お一人様、竜肉ステーキ用は二百グラムまでですわよ!」

と凛とした声で捌いていく。


もはや完璧なベテラン女将の風格である。


そんな、いつも通りの大繁盛の営業時間を終え、夕方に差し掛かった頃。


ドス、ドス、ドス、ドス……。


商店街の地面を不穏に揺らす、巨大な地響きが店に近づいてきた。


「あ、あら? カイト様、何かしらこの地響きは……。また新種の魔物の襲撃ですの?」


エレノアが少し身を固くする。


しかし、俺の『食材鑑定(SSS)』のスキルは、近づいてくる四つの強大な気配の「正体」を正確に捉えていた。


「いや……魔物じゃない。

この懐かしい、そして酷く偏ったエネルギーの波形は……」


バシャーーーン!!


店の引き戸が、凄まじい勢いで開け放たれた。


そこに立っていたのは、

数ヶ月前に涙の解散を遂げた、

俺の元パーティの仲間たちだった。


だが――

その姿は、俺の記憶にある彼らとは、色んな意味で見違えるほどに変貌していた。


「カイトぉぉぉ! 会いたかったわぁぁ!」


最初に飛び込んできたのは、聖女マリアだった。


以前は華奢で儚げな美少女だったはずなのだが、

今の彼女はなぜかシスター服の袖を肩まで捲り上げており、

そこから覗く二の腕には、バキバキにキレた筋肉(バルク)が宿っていた。


「教会の奥の院でね、

恐怖に打ち勝つために『筋肉は裏切らない』って学んだの!


今の私は、襲いかかってくる魔物の顔面を聖水パンチで粉砕できるわ!」


どうやら恐怖を怒りに変換した結果、

物理で殴る武闘派ゴリラ聖女へと進化してしまったらしい。


「カイト、無事でよかったぜ!」


次に現れたのは、重騎士ラインハルト。


彼は剣を背負っていなかった。


代わりに、彼の背中にあるのは、

どう見ても城門のカンヌキかビルを解体するための鉄の塊にしか見えない、


超巨大な【鉄塊】だった。


「不器用で剣が当たらないなら、避けるスペースごと叩き潰せばいいって気づいたんだ!


これなら大雑把に振っても敵が消し飛ぶぜ!」


もはや剣士ですらなかった。ただの破壊兵器である。


「久しぶり、カイト。ボクの魔法、見てほしいな」


眼鏡を不敵に光らせて微笑むのは、第三王子のルシウス。



相変わらず細身でインテリ風なのだが、

その周囲に漂う魔力の密度が異常だった。


「命中精度が悪いのは直らなかったからさ。


ボクの魔術が届く『半径一キロメートル』を、

地面ごと塵一つ残さず完全消滅させる広域魔法を開発したんだ。


これならどこに撃っても必ず巻き込めるよ」


ここでその魔法をぶちかまそうとするルシウスを慌てて止め『残念だ』と言って

笑顔でとんでもない大量破壊兵器の運用を語る王子。


(味方も巻き込まれるだろそれ。)


「カイトー! 待たせたわね!」


最後に突入してきたのは、隣国の王女シア。


彼女は以前よりもさらに鋭い眼光を放っており、

腰の剣からは常にバチバチと微細な衝撃波が漏れていた。


「頭に血が上るのを止められないなら、

逆上した瞬間に音速を超えて突撃すればいいのよ!


魔王が反応するより早く、私が肉片にしてあげるわ!」


猪突猛進を極限まで極めた結果、音速の特攻隊長になっていた。


「みんな……。すごく、その、強くなったみたいで何よりだよ……」


俺は引きつった笑みを浮かべるしかなかった。


確かに強くなっている。


ステータスを見ても、

全員レベルが『120』前後まで跳ね上がっており、

人間の限界を突破している。


ただ、


欠点の克服方法が全員「さらなる超絶脳筋化」という力技すぎて、ツッコミが追いつかない。


「カイト様……この方たちが、例の……?」


後ろからエレノアが恐る恐る尋ねてくる。


「ああ、前に言ってた元仲間のメンバーだ。

みんな、こちらは俺の店を手伝ってくれているエレノア。

一応、この国の第一王女様だ」


「「「「はえ? 王女様!?」」」」


割烹着姿でコロッケのヘラを持った絶世の美女を紹介され、

マリアたちが一斉に目を丸くする。


「ちょっとカイト、どういうことよ!?

あんた勇者クビになって無職になったって聞いたから、

私たちが死ぬ気で修行して迎えに来てあげたのに……


なんで国の第一王女様を女将さんにして、

こんな大繁盛お肉屋さんやってるのよぉ!?」


シアがキーキーと叫ぶ。


「いや、色々あってさ……。

それよりみんな、修行でお腹空いてるだろ?


ちょうど今、最高のレッドドラゴンが仕上がってるんだ。


再会を祝して、俺が特製の竜肉フルコースを振る舞うよ」


俺がそう言って、

奥の調理場からツヤツヤに輝くドラゴンの最高級ロース肉を取り出した瞬間。


肉から漂う、無限浄化されたあまりにも神聖で芳醇な香りに、

世界最強クラスに進化したはずの四人が、ゴクリと同時に生唾を飲み込んだ。


「な、何よこのお肉……

信じられないくらい綺麗な魔力が満ちてるわ……」


マリアのバキバキの筋肉が、肉の匂いだけでソワソワと震え出す。


「よし、今夜は貸し切りだ!

エレノア、特製コロッケもたくさん揚げてくれ!」


「はい、喜んで! 皆様、カイト様のお肉は本当に世界一ですわよ!」


賑やかに始まる、元勇者パーティの同窓会。


美味すぎる魔物肉を口にした仲間たちが、その美味さと異次元のバフ効果に大絶叫することになるのだが――。


この宴の数日後、国から彼らへ、

そして俺の元へ、

『二度目の魔王討伐依頼』が届くことになるかもという話になった。


レベル999のお肉屋さんと、超絶脳筋進化したポンコツ英雄たちの、二度目の旅路はいつになるかはまだ分からないが、確かにカウントダウンが始まっていることを誰もが感じていた。


みんなはその時の為に。まだまだ強くならねばと誓いを立て、再び修行へと立ち去っていった。


(第三話へ続く)

第二話(後編)までお読みいただき、本当にありがとうございました!


ゴリラ聖女、鉄塊騎士、広域消滅王子、音速王女という、とんでもない進化(?)を遂げて帰ってきた仲間たち。カイトの店での再会は大盛り上がりです。


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